先日の6月2日と3日に、東海ラジオから取材があり、「安蒜豊三の夕焼けナビ」でホンダのスーパーカブの立体商標について解説しました。
登録できる商標は文字とかマーク等の平面のものに限定されず、立体の形状も立体商標として特許庁に登録することができます。
有名な立体商標としては、例えば、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダース大佐とか、不二家のペコちゃん人形、コカコーラの瓶などがあります。
今回はホンダのスーパーカブが立体商標として特許庁に登録を認められた点について取材を受けました。
立体商標を登録する際には、権利の設定を求める立体商標と、その立体商標を使用する商品・サービスを指定する必要があります。
この指定する商品が、立体商標との関係で商品そのものの形状を選択した場合には特許庁はこれまでほぼ登録を拒絶する審査を実施してきました。
例えば、車のタイヤの形状の立体商標について、権利化する商品としてタイヤを指定した場合には特許庁はまず登録を認めません。事実上タイヤの立体商標の商標権者以外の人がタイヤを販売することができなくなり、社会的な混乱が生じるからです。
ですので、特許庁では立体商標については、「商品そのものの形状の登録は認めない」という判断がなされます。
反面、国民に広く知れ渡るようになった立体商標については登録を認めて法的に保護するだけの価値が生じてきたと考えることもできます。
コカコーラの瓶、ヤクルトの瓶などは国民に広く知られていることが認定され、立体商標の登録が認められました。
今回のホンダのスーパーカブもこれまで昔から数多く販売されてきて国民に絶大な信頼を得ている点が評価された結果、立体商標として登録されたことになります。
実際、二輪自動車の形状そのものの立体商標としてはスーパーカブが初めての登録例になるはずです。
立体商標の凄いところは、権利の存続期間が事実上無限であることです。
アイデアを保護する特許制度でも、デザインを保護する意匠制度でも、表現を保護する著作権制度でも保護期間が定められています。
ところが商標権は更新をすることにより権利期間を更新することができますので、ほぼ永遠に権利を維持し続けることが可能になります。
なお、スーパーカブの立体商標が登録されたからといって、これまでに製造販売されている二輪自動車全体が使用できなくなるわけではありません。
あくまでスーパーカブに酷似するバイクが規制の対象になります。
「スーパーカブの立体商標が認められたらスポーツタイプのバイク等のスーパーカブとは関係のない一般的なバイクを売ることができなくなる」、というのはガセネタですのでご安心ください。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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