中国において「ユニクロ&無印良品&ダイソー」を一つにまとめた様なブランドがはやっていることから、この問題についてフジテレビの世界HOTジャーナルから取材を受けました。
中国で「MINISOU/名創優品(メイソウ)」として正方形の赤字に白抜きの文字のブランドで展開している業者があるのですが、日本のダイソーとかユニクロとか無印良品とかとの関係で問題にならないのか、という取材です。
結論からいうと微妙ですね。
裁判に持ち込んでも一刀両断というわけにはいかないように私は思います。
ダイソーとかユニクロとか無印良品は日本で非常に有名ですが、例えばユニクロは正方形の赤字に白抜きのマークを使用していますが、正方形の赤字に白抜きの文字表現全体について権利をユニクロが独占している訳ではありません。もちろん「ユニクロ」の文字を使えば商標権侵害、不正競争防止法違反で訴えることができますが、異なる文字列まで全面的に訴追できるかどうかは簡単ではありません。
また日本では「ダイソー(登録商標第5270671号)」と「メイソウ(瞑想との漢字付き、登録商標第4862045号)」とが衣服関連の分野で商標権が共存しています。
そもそも商標権同士が抵触する場合には登録は認められませんから、日本の特許庁は「ダイソー」と「メイソウ」とを異なるものと見ていることが分かります。
もちろん中国国内で商標の権利を主張することができるかどうかは中国国内で商標登録されているかどうかに依存します。日本国内で商標登録を済ませていても、日本の法律が及ぶのは日本の領域内だけですので、中国国内までは日本の商標権の効力は及びません。
また日本で有名であっても中国国内で知られていなければ受けることのできる保護のレベルも低下する傾向にあります。
今回の事例は中国国内で裁判で争っても、結論が最終的にどちらに傾くかは争いになると思います。
侵害になるかならないか微妙なラインを突いてくるあたりは、日中境界線ぎりぎりの場所で石油や天然ガスを一方的に吸い上げようとする姿勢と共通するところがあると私は感じています。
ちなみに日本から輸入したものではない商品を日本産であると偽るのは不正競争防止法(中国では反不正当競争法といいます)に違反しますので、中国国内でも認められるものではありません。
なお、今回の「MINISOU/名創優品(メイソウ)」の問題についての私のコメントは平成26年5月3日(土)のフジテレビの世界HOTジャーナルで放送されました。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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