本日8月20日放送のフジテレビ「ノンストップ!」で加護亜依の商標問題のコーナーを監修し、あわせて加護亜依の名前が前に所属していた事務所で商標登録されている問題について番組内でコメントを行いました。
加護さんが所属していた前の事務所は、加護さんの同意を得て商標登録を完了したと主張していて、加護さんが無断で芸能活動に「加護亜依」の名前を商標として使用した場合には、裁判も辞さない構えです。
これに対して、「加護亜依」というのは本名だから、本名を名乗ることができないのは行きすぎでは、という声もあります。
商標法はこの辺りはどうなっているのでしょう?
氏名の扱いについて商標法では、自己の氏名を普通に用いられる方法で使う場合には、商標権の侵害にはならない、という規定があります(商標法第26条第1項)。
ところが、この「普通に用いられる方法で」商標を表示した場合に商標権の侵害にならない、という規定がくせ者です。
というのは、「普通に用いられる方法で」なければ、商標権を侵害してしまう場合があるからです。
具体的には「私は加護亜依です。」と名乗る場合は、もちろん商標権の侵害にはなりません。自分の名前を名乗っているだけで、商標を使用しているわけではないからです。
これに対して「加護亜依」の文字の部分を、例えば立体文字にデザイン化して、冠番組として目立つように表示した場合には、もはや「普通に用いられる方法で」氏名を表示しているとは言えません。
このように「普通に用いられる方法で」はない方法で商標を表示した場合には商標権の侵害問題に発展する場合があります。
つまり名前の表示の仕方によっては、商標権の侵害になったり、ならなかったりする場合が出てくることがあるのです。
もちろん、「加護亜依」という名前を変更して登録されている商標と違う名前にしてしまえば、今回の商標権侵害の問題はクリアすることができます。
しかし「加護亜依」側の新しい事務所は名前を変更するつもりはないとしていますので、今後も「加護亜依」名前の表示の仕方を巡って問題が生じる可能性があります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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