マドプロを使って海外でも商標登録を!

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1. マドプロとは?

海外で商標登録を検討する際、各国に直接出願する方法のほかに、もう一つ便利な手段があります。

「マドリッド協定議定書」(通称:マドプロ)です。マドプロを使うと、加盟国の中から商標登録したい国を指定し、一度の手続きで複数の国に出願した効果を得られます。

以前と比べて、海外での商標登録がずいぶん手軽になりました。

マドプロは現在、世界116か国(2026年1月時点)で締結されており、対象国は特許庁の公式サイトで確認できます。

ここがポイント!

マドプロを活用すれば、手続きの手間を大幅に減らし、複数国の商標保護を一度の申請で実現できます。国際展開を考えているなら、検討する価値は十分にあります。

2. 出願できる条件は?

マドプロで商標を海外登録するには、いくつかの条件があります。

日本国内での出願・登録が前提

その商標がすでに日本国内で出願されているか(基礎出願)、または登録されている(基礎登録)ことが前提です。

同じ商標であること

マドプロで出願する商標は、日本国内の基礎出願・基礎登録と同一のものでなければなりません。デザインやマークが異なると認められません。

指定商品・サービスが同一または範囲内であること

出願できるのは、基礎出願・基礎登録と同一、もしくはその範囲内の指定商品やサービスに限られます。ただし、国ごとに指定商品やサービスを絞ることは可能です。

同じ出願人であること

出願人(名義人)は日本での基礎出願・基礎登録と同一の人物や企業でなければなりません。名義が異なると出願は無効になります。

ここがポイント!

これらの条件を満たせば、マドプロを使って複数国の商標登録を一括で進められます。国ごとに出願する手間を省きたい企業に向いた手段です。

3. 国際登録に至るまで

商標の国際登録には、いくつかの手順があります。マドプロで手続きが簡素化されますが、全体の流れを押さえておきましょう。

日本での商標出願・登録

最初に、日本国内で商標を出願するか、登録済みの商標を基に国際出願を行います(基礎出願・基礎登録)。

願書提出と国際登録日

願書は日本の特許庁に提出します。受理日がそのまま「国際登録日」となり、特許庁からWIPO(世界知的所有権機関)へ手続きが進みます。

WIPOでの方式審査

WIPO国際事務局が方式審査を行い、問題がなければ「国際商標登録証」を発行します。同時に、指定した国々に登録が通知されます。

各国での実体審査

指定した各国で個別に実体審査が行われます。審査の結果はWIPOを通じて出願者に通知されます。

更新手続き

国際商標の有効期限は登録日から10年です。更新手続きはWIPO国際事務局に直接行い、指定した国々の登録を一括で更新できます。

ここがポイント!

マドプロを使えば、複数国の商標登録を効率よく進められます。更新手続きも一括で行えるため、長期的なブランド保護にも向いています。

4. マドプロで出願するメリットは?

複数の国で商標登録する場合、各国ごとの手続きに時間と労力がかかります。マドプロなら一括で手続きが進むため、負担が大きく減ります。

特許庁への一括出願

最大のメリットは、日本の特許庁に一度出願するだけで、WIPO国際事務局を通じて指定した複数の国に商標が伝達されることです。国ごとに別々の手続きをする手間が省けます。

願書作成が簡単

出願に使う願書は1通のみで、英語での作成が認められています。各国に個別出願する場合は各国語への翻訳が要りますから、その手間を大幅に減らせます。

審査期間が決まっている

マドプロでは、各国が審査結果を通知する期限が1年または18カ月と定められています。表向きは結果を長期間待たされることはありません。一方で、最終的な登録までは各国の対応次第で、数年かかる場合もあります。

費用の節約

複数国への出願を一括で行うため、個別出願よりコストを抑えられる可能性があります。国ごとに代理人を雇う手間も省け、支払いも一つの通貨で済みます。

反面、審査にストレートで合格できなかった場合は、日本から外国特許庁に直接手続きできません。それぞれの国で現地代理人に依頼する形になり、国ごとに数千ドル単位で請求されることもあります。

マドプロを使わない場合は、最初から現地代理人の費用が確定しています。マドプロを使う場合は、拒絶対応が出たときに初めて現地代理人の費用が発生するため、選択肢の幅は広がります。

ここがポイント!

マドプロは、時間とコストの両方を節約できる仕組みです。ただし、このメリットは審査にストレートで合格できた場合の話です。拒絶対応が出れば現地代理人の費用が上乗せされるため、ケースバイケースである点に注意してください。

5. マドプロのデメリットは?

マドプロにはメリットが多い一方で、いくつか注意点もあります。

加盟国以外への申請は不可

マドプロは加盟国でのみ利用できます。現在の加盟国以外への商標登録は対象外で、個別に出願するしかありません。

国内の商標が抹消された場合

国際登録から5年以内に、日本国内の基礎出願が拒絶されたり基礎登録が抹消されたりすると、国際登録も失効します。これを「セントラルアタック」と呼びます。各国で救済措置が用意されている場合もありますが、追加費用がかかります。

親ガメがこけると子ガメもこける関係です。日本国内の登録に失敗すると、海外の権利を全て失うので要注意です。

登録国が少ない場合の費用

出願する国が1カ国だけなら、マドプロを使わず直接その国に出願した方がコストを抑えられる場合があります。手続きの効率を優先するか、費用を抑えるか、比較検討してください。

現地代理人が要るケース

各国の審査で拒絶や補正を求められた場合、その国の代理人を雇うことになります。追加費用がかかるため、初期の見積もりよりコストが膨らむ可能性があります。

ここがポイント!

マドプロを使う際は、これらのデメリットも把握しておきましょう。加盟国以外への出願制限、5年以内のセントラルアタックリスク、費用の増加を考慮して、最適な商標登録方法を選んでください。

6. 出願手数料の納付方法と金額は?

マドプロで国際登録する際は、WIPO国際事務局と日本の特許庁にそれぞれ手数料を支払います。

WIPO国際事務局に納付する手数料

手数料は次の3項目の合計額です。すべてスイスフランで支払います。

  • 基本手数料
  • 付加手数料(指定国ごとにかかる手数料)
  • 追加手数料(商品やサービスの区分が3を超える場合にかかる手数料)

加盟国の中には、付加手数料の代わりに「個別手数料」が適用される国もあるため、事前に確認しておきましょう。

手数料の詳細はWIPOの公式サイト(英語)で確認できます。

WIPO国際事務局・手数料一覧表

https://www.wipo.int/pct/ja/fees/

日本の特許庁に納付する手数料

日本での出願手数料は、特許印紙を書面に貼付して支払います。予納制度や口座振替は利用できないため、直接印紙を購入して納付してください。

  • 国際登録出願手数料:1件 9,000円

ここがポイント!

出願時には、国際と国内でそれぞれ別の支払いが発生します。WIPOへの支払いはスイスフランのため、事前に準備しておきましょう。

7. まとめ

海外での商標登録は、マドプロを使えばハードルがぐっと下がります。グローバル化が進む今、大切な商標を日本国内だけでなく海外でもしっかり守ることが、事業を支える基盤になります。

マドプロを活用して、ビジネスの国際展開と商標保護を両立させてください。

8. よくある質問

Q1. マドプロとは?

「マドリッド協定議定書」の通称で、一度の手続きで複数の加盟国に商標登録できる国際制度です。2026年1月時点で116か国が加盟しています。

Q2. マドプロの出願条件は?

日本国内で同じ商標が出願・登録済みであること、指定商品・サービスが基礎出願の範囲内であること、出願人が同一であることが条件です。

Q3. セントラルアタックとは?

国際登録から5年以内に日本国内の基礎出願・登録が失効すると、すべての指定国の国際登録も失効する仕組みです。

Q4. マドプロを使わない方がよいケースは?

出願国が1カ国だけの場合は、直接出願の方がコストを抑えられる場合があります。

Q5. 費用はどのくらい?

WIPO国際事務局への手数料(スイスフラン)と日本の特許庁への出願手数料(1件9,000円)がかかります。指定国数や区分数で変動します。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘

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