最近NHK等のテレビ番組で坂本龍馬等の歴史上の人物が注目を集めています。
このことに関連し、坂本龍馬や中原中也等の歴史上の人物の名前を商標登録することについて最近議論が活発になっています。
特許庁では「歴史上の人物の名称を使用した公益的な施策等に便乗し、その遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、利益の独占を図る意図をもってした商標登録出願」については商標登録を認めない指針を昨年の10月に発表しています(商標審査便覧42.107.04 歴史上の人物名(周知・著名な故人の人物名)からなる商標登録出願の取扱いについて)。
この点について産経新聞の大坪記者から先日取材を受けました。
この記事は「郷土の偉人 商標登録めぐり食い違い」との題名の記事としてウエブ上から閲覧することができます。
地域振興の面からできれば歴史上の人物の名称を適切に商標登録により保護したいというのは当然あると思います。特定の業者が権利を独占するよりは地域の公共機関等が商標権を取得するという考え方もあります。
しかし特定の地域がそのような歴史上の人物の名称に関する商標権を取得した場合、その地域以外の地域では使用できなくなるといった問題もあり、話は単純ではありません。
誰にも権利を取らせない、というのも一つの方法ですが、例えば歴史上の人物の名を冠した粗悪な商品が大量に出回った場合、それを規制する方法がないというのも逆に問題になります。
どこまでのラインを商標権により保護し、どこからのラインを商標権により保護しないかの線引きは特許庁の審査方針により決定されてしまうわけではありません。審判や裁判実務の中でその審査方針が改定される余地も十分にあります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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