平成25年(2013年)12月2日(月)放送のTBSテレビの恵キャスターの「ひるおび」に出演、「倍返し」などの流行語の商標登録についてコメントしました。
これまで中国でアップルが商標登録問題に巻き込まれて6000万ドルを支払わなければならなくなったことが報道されたり、加護亜依の名前が商標登録されている問題が報道されたりして、最近では商標登録について広く知られてきたのではないでしょうか。
その反面、自分が流行らせたわけではない流行語を特許庁に無断で出願するケースが増えてきているように感じます。
これまでお知らせしてきたように、特許庁も有名な商標を横取りするようなケースについて審査には簡単には合格させません。
ですので、多くの方は出願するだけで審査に合格できない形で決着を迎えるパターンが多いと思います。
もちろん、流行する前から特定の商標を使用していて、実際に流行する前に特許庁に出願を完了していたなら特許庁も文句はいいません。
問題は、昔から流行語になった言葉を使っていたが、商標登録を済ませていなかったケースです。
テレビで有名になったので、他の誰かが商標登録してしまうとこちらが不利になる。だから防衛のために商標権を取得しよう、と考えた方も中にはいると思います。
ところが商標法には、昔から商標を使っている人に限って、その商標を優先的に登録する、といった規定が存在しないのです。
商標登録されるかどうかは、やはり、先に特許庁に出願の手続きを終えた者になります。
「他の人に先に商標登録されると事業に支障が生じる可能性があるので、防衛的に商標権を取得しようとした」という言い訳は、流行語を横取りしようとする者も言い訳として使います。ですので、防衛面だけを主張しても特許庁は厳しい取り扱いをすると思います。
ただし先に使用することにより法的に保護する価値が生じているなら、それを登録して保護するのも商標法の趣旨に沿うともいえます。また流行する前から使用したことを証明することができれば、少なくとも他人の流行語を横取りするために使用を開始したのではないことを主張することもできます。
このため場合によっては流行語が登録されるケースも出てくることもありえます。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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