索 引
1. 商標区分は、商品とサービスを分けて調べる
スポーツの商標だから第28類、と一つに決めることはできません。シューズやウェアを売るのか、ジムを運営するのか、大会を開くのかで、出願に記載する商品・サービスが変わります。同じ名前を付ける事業でも、商品とサービスの両方を確認してください。
ランニングシューズや運動用シャツは第25類、かばんは第18類、タオルは第24類、運動用具は第28類が主な検討先です。スポーツの指導や運動施設の提供は第41類に含まれます。ただし、区分番号だけを指定しても、その区分の全商品・全サービスが権利範囲になるわけではありません。願書には具体的な指定商品・指定役務を書きます。
出願時には、特許庁の類似商品・役務審査基準と分類に関する案内で、出願日に適用される分類を確かめます。過去の登録例は参考になりますが、そのまま転記すればよいというものではありません。
2. J-PlatPatでランニングシューズを調べる
J-PlatPatの「商標」から「商品・役務名検索」を開き、調べたい商品名を入力します。以下は原記事で掲載した検索画面です。表示や検索件数は取得時点のもので、現在の画面と異なる場合があります。

「ランニングシューズ」と入力して検索すると、商品名に対応する区分と類似群コードを調べられます。表現が見つからない場合は、「運動靴」など商品の種類を示す言葉でも探し、結果の説明まで読みます。

掲載画面では検索結果が3件あり、ランニングシューズについて第25類、類似群コード22A01という記載を確認した例を示しています。スパイク付きなど運動用特殊靴に当たる商品では、同じ第25類でも類似群コードが異なる場合があります。「スポーツ用」という販売時の呼び方だけで決めず、実際の構造や用途も確認してください。
類似群コードは、特許庁の審査で商品・サービスの類似を判断するために使われます。同じコードなら原則として類似すると推定されますが、区分番号と同じ意味ではありません。別の区分に同じコードが付くこともあります。仕組みは特許庁の類似群コードの説明をご参照ください。
3. スポーツ用品メーカー・ジム・教室の登録例
以下の登録番号、名義人、日付は原記事の掲載資料を引き継いだものです。現在も権利が存続しているか、名義が変わっていないかは、出願や使用の判断をする時点で登録情報を確認してください。
スポーツ用品メーカー

ナイキの掲載カードは、登録0470527(第470527号)、区分28の例です。本文にあった「第4705527号」はカードの番号と一致しないため訂正しました。この一件から第18類や第25類の権利まで取得したとは読み取れません。シューズ・ウェア・かばん・運動用具の分類は、それぞれの商品について別に調べます。
スポーツジム
ジムで運動を教えるサービスや、会員に運動施設を提供するサービスは、第41類を検討します。スポーツの教授と運動施設の提供は、事業として併せて行っていても確認すべき役務名は別です。自分の施設ではどちらを行うか、願書に両方を記載できているかを確かめます。
ザバススポーツクラブの例は商標登録第3339422号です。プール、ジム、各種スクールという原記事の事業例と、第41類の登録カードを掲載しています。
女性専用30分フィットネスとして紹介したカーブスの例は商標登録第4975079号で、掲載カードの区分も41です。施設の運営に加えて自社ブランドのウェアなどを販売する場合は、その商品の指定も別に検討します。
スポーツ教室
サッカーや水泳を教える教室では、スポーツの教授を含む第41類を確認します。原記事に掲載した明光サッカースクール(商標登録第5474915号)とドゥ・スイミングスク-ル(商標登録第3053758号)のカードは、いずれも第41類の事例です。
4. スポーツ大会は運営とグッズの両方を確認する
大会名を使う場面は、開催案内や申込みページだけとは限りません。大会のTシャツ、タオル、記念品、運動用具などにも同じ名前を付けることがあります。Tシャツの第25類、タオルの第24類、運動用具の第28類という商品の検討と、大会を企画・運営するサービスの検討を分けて進めます。
大会の開催については第41類の「スポーツの興行の企画・運営又は開催」など、実際の活動に対応する役務を調べます。スポーツを教えることと大会を開催することは同じではないため、「スポーツの教授」だけで大会運営まで指定したつもりにならないようにしてください。
東京マラソン(商標登録第4952187号)と箱根駅伝(商標登録第5903377号)の原記事の登録例を掲げます。区分欄の「…」は省略を示しています。掲載カードだけでは全区分や指定商品・指定役務を確認できないため、登録番号から詳細を開いて読みます。
主催者自身が商品を作る場合と、他社に名称の使用を許して商品化する場合では、権利の管理や契約も確認します。ロゴの使用条件、品質確認、どの商品で使用を認めるかを決める際にも、登録の指定商品・指定役務が判断の出発点になります。
5. 出願前に、名前を使う商品・サービスと資料を確認する
ジムの名称だけを思い浮かべて出願すると、指導、施設提供、物販のいずれかを見落とすことがあります。看板、会員向け案内、商品タグ、オンライン販売ページなど、名前を表示する場所を挙げると、何に権利を確保するのかを具体的に検討できます。
区分が決まった後は、その商品・サービスについて、先に出願・登録された同じ名前や似た名前がないかを調べます。「商品・役務名検索」は分類を探す機能です。それだけで、自分の商標が登録できるか、他人の権利を侵害しないかまで調査したことにはなりません。
相談時には、候補の名前とロゴ、事業内容、商品一覧、販売・開業予定、既に持っている登録番号をお知らせください。メーカー、ジム、教室、大会のどれか一つに当てはめるだけで済ませず、兼業やグッズ販売も含めて確認します。
当事務所へのご依頼は商標の調査・相談フォームをご利用ください。出願費用は料金案内に掲載しています。区分数で特許庁への料金が変わるため、費用だけを見て商品・サービスを落としていないか、指定内容と併せて確認してください。
6. スポーツの商標区分についてよくある質問
Q1. スポーツ関連ならすべて第28類ですか?
いいえ。ウェアや靴、かばん、タオル、運動用具、指導、施設提供などで分類が異なります。商品とサービスを具体的に挙げて調べます。
Q2. ジムを第41類で登録すれば、Tシャツも守れますか?
第41類の登録だけでTシャツを当然に保護できるわけではありません。自社ブランドの商品として扱うなら、第25類の商品の指定も検討します。
Q3. 区分と類似群コードは同じですか?
別のものです。区分は商品・サービスの分類で、類似群コードは審査で類似を推定するための符号です。同じ区分でもコードが分かれることがあります。
Q4. 有名な大会の登録内容をそのまま使えますか?
参考にはなりますが、自分の事業に必要な商品・サービスがすべて入っているとは限りません。省略されたカードではなく、登録の詳細まで確認します。
Q5. 商品・役務名検索で見つかれば、商標登録できますか?
分かるのは主に商品の名称や分類です。商標そのものの識別力や先行商標との関係は別に調べ、出願内容を検討します。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘
