多くの物の価値は購入するときが最大で、購入後はその価値は下がります。
1. はじめに
ある物を購入した後、多くの場合、その物の価値は時間と共に減少していきます。家電製品や自動車、住宅といった有形の財産は、購入後に徐々に価値が落ちていくものとされます。
ただ、この規則が当てはまらないものがあります。「無形財産」に関しては、価値が時間とともに増していく場合があります。その代表例として「商標権」があります。
2. 時間の経過と共に価値が高まるものとは?
商標権とは、あるブランドやロゴに関連する権利のことです。この権利は、ブランドの価値が上昇するにつれて、その価値も増大していきます。
例として、読売巨人軍やユニクロ、鹿島アントラーズといった知名度の高いブランドの商標権を挙げてみましょう。これらの商標権は、設立前の誰からも知られていない時点では特段他の商標を取得するのと同じ費用で取得できます。でも、今ではその価値は数十億、数百億と評価されることもあります。
このように、商標権を持つブランドが成長し、認知度が上がれば上がるほど、その価値は増します。そして、それは取得時の価格を大きく上回るものとなります。
だからこそ、商標登録を検討している企業や個人は、迷わず商標を取得し、そのブランド価値を高める努力を続けます。ブランドを築き上げる努力は、将来的にその商標権の価値を飛躍的に高めることに繋がります。
3. 商標権の価値を高めて継続ライセンス収入・高額売却につながるように未来に種をまく
一般的に有形財産が目に見える形で存在するのに対し、無形財産は目に見えない存在です。日常では無形財産に関わることが少ないため、その価値の上昇が理解しづらいかもしれません。しかし、商標権はブランドを育てることでその価値が増し、企業や製品の魅力を高める大切な要素となります。
多くの有形財産は、取得時の価値が最大です。ですので、最も価値の高いものを、最も安く入手することがこれまでの行動パターンだったと思います。
これに当てはまらないのが商標権です。
入手した時点では、誰もこちらの商標権など知らないので、価値は事実上のゼロです。誰も価値のないものにお金を払って入手した経験もないですし、他の人も誰も知らない商標権に対してお金を出してまで譲ってください、とはいわないです。
商標権の価値がスタート時点でゼロなのは、どのブランドもそうです。どのブランドもスタート時点は価値はゼロでしたが、google等のようなブランドは手の届かない価値までブランドの価値を高めています。
例えば、googleの商標権はいくらなら譲ってもらえるか、想像すれば分かると思います。
ただ、googleも商標権の範囲が同じで、スタート時点より前の時点であれば、あなたの商標権と取得価格は同じです。その後の成長力が違う、ということです。
商標権を取得してその価値を高めるのは、本業の事業で収益を得つつ、商標権のライセンス対価や売却益の二本柱で自社の収益構造を高めるのと同じです。
最後に、商標権の価値は取得費用で決まるものではないという点を強調しておきたいです。ブランド力を高めることで、商標権は時間とともに価値を増していくのです。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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