アイコンは商標登録した方がいいですか?

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(1)アイコンは商標登録できるの?

iPhoneやandroidのスマートフォンのアプリには、アイコンが目印となるものもあります。これらは、商標権で保護することができます。

またアイコンはデザイン性があるため、意匠法でも保護されるのでは、と思った方もいらっしゃるかもしれません。意匠登録できる場合とできない場合があります。

意匠登録できる場合

意匠登録できる場合
液晶画面などが付いている装置で、表示されるアイコンなどの画像を部分意匠(注1)として登録することができます。
例えば、エアコンのリモコン装置に映し出されるアイコンです。
  (注1)部分意匠とは、物品の特徴のある部分のことです。

意匠登録できない場合

アイコンなどの画像は、物品の機能に必要なもの、およびその物品にあらかじめ記録されたものでなければいけません。
例えば、汎用コンピュータにインストールしてモニターに表示されるようになったアイコンです。

(1–1)商標登録するメリット

アイコンを商標登録するメリットは以下になります。

  • 登録したアイコンを独占することができます
  • まったく同じもののほかに、類似のアイコンにも権利がおよびます
  • 消費者などの対外的な信用が上がり、広告宣伝にもなります
  • 日本国内だけでなく、国際的な権利にすることもできます
  • 更新し続ければ、半永久的な権利となります
  • アイコン(商標)の使用差し止めや損害賠償請求ができます

ほかの商品・役務の商標登録のメリットとほぼ同じですが、国境がないインターネット上で使用されるアイコンだからこそ、注目したいメリットも存在します。「国際的な権利にすることもできる」ことです。

これは、日本で商標登録を行なっていたら後々、海外で商標登録する際も簡単に登録することが可能です。

(1–2)しないリスク

アイコンを商標登録しなかったときのリスクも、ほかの商品・役務の商標登録をしなかったときに起こりうることと類似しています。
具体的には以下のようなことが挙げられます。

ブランドの信用が低下します

他社の似たようなアイコンのアプリの評価が悪かった場合、それと間違えられてブランドの信用が低下します。商標登録をしていれば、使用差し止めや損害賠償請求をすることができます。

使用差し止めや損害賠償請求の危険性があります

商標登録は先に使用した者に対してではなく、先に出願した者にその商標に対する権利があるとされています。そのため、商標登録せずに使用していた場合、よく似たアイコンを使用している他社が訴えてくる場合があります。

売り上げを奪われる可能性があります

売れてきた頃合いで、競合他社にそのアイコンを真似されてしまい、売り上げがそちらに流れる可能性があります。

(2)商標登録されている例

現在、存在するアプリのアイコンがすべて登録されているわけではありませんが、主要なものは登録されています。

どのようなアイコンが、どんな区分で登録されているのでしょうか。参考のために、見ていきましょう。

国際登録1074794   Apple Inc.のミュージックアプリのアイコン



特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 第35類「娯楽コンテンツ、すなわちダウンロード可能な電子出版物・音楽ファイル及び画像ファイル並びにビデオ記録物のインターネット並びに他のコンピュータネットワークおよび電子通信ネットワーク経由で提供される小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」など
  • 第41類「娯楽の提供、すなわち音楽・映画・音楽ビデオ・テレビジョン番組・映画・最新のイベントおよび娯楽ニュース並びに娯楽・スポーツ・ゲーム・文化イベント及び娯楽関連のプログラムの分野における書籍・雑誌・新聞を特徴とする情報およびデータベースの提供」など
  • 第45類「オンラインによる社会的ネットワーク作りのための役務の提供」など

商標登録第5615488号  ツイッターのアイコン



特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 第9類「コンピュータソフトウェア、通信ネットワーク(インターネットを含む)を介して文字データ・メッセージ・ブログ形式の電子出版物・ウェブサイトへのリンク情報・画像データの送信・編集・管理を可能にするコンピュータソフトウェア」など
  • 第16類「ノートブック、ペン、文房具類、転写紙、紙類、ステッカー」
  • 第18類「かばん類、袋物」
  • 第21類「マグカップ、飲料水の保存用瓶」
  • 第25類「被服、ワイシャツ類、スウェットシャツ、靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」
  • 第35類「広告業、市場調査又は分析、インターネットによる広告、インターネットによる市場調査、企業動向の分析」など
  • 第38類「コンピュータ・携帯型コンピュータおよび有線または無線の通信機器を利用したユーザー間のリアルタイムでかつ双方向のオンラインによる通信」など
  • 第41類「ユーザーが作成したコンテンツを特徴とするブログ形式のオンラインによる電子雑誌の提供」
  • 第42類「無線または有線ネットワークを利用してまたはコンピュータまたは携帯機器を介して行う人々と組織とのコミュニケーションのために使用されるソフトウェア・アズ・ア・サービス(SAAS)によるコンピュータソフトウェアのホスティング」など
  • 第45類「インターネット上でのウェブサイトを利用した友達として交流を希望する者への友人の紹介」

商標登録第5555408号  グーグルのアイコン



特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 第9類「グローバルコンピュータネットワークおよび通信ネットワークを介したデジタルメディアおよびデジタル情報の発行および共有のためのコンピュータソフトウェア、ソフトウェア開発用コンピュータプログラム」など
  • 第38類「インターネットおよび通信ネットワークを介したデータおよびメッセージの伝送交換を含む電気通信(放送を除く)、一般的興味の分野においてユーザー間でメッセージを送信するためのチャットルーム形式による電子掲示板通信その他の電子掲示板通信」など
  • 第41類「社会的論評・文化的論評および政治的ニュースの分野におけるブログ形式のオンラインによる電子雑誌の提供、インターネットおよび通信ネットワークを介した社会的論評・文化的論評および政治的ニュースの分野における電子雑誌の形態における電子出版物の提供」など
  • 第42類「インターネットおよび通信ネットワークを介した電子出版物を制作または共有するためのオンラインによるコンピュータソフトウェアの提供、オンラインによるソフトウェア開発用コンピュータプログラムの提供」など
  • 第45類「インターネット上でのウェブサイトを通じた一般利用者向けの友達探しおよび紹介のための情報の提供、インターネットの電子掲示板を用いたプロフィール・日記等の個人に関する情報の提供」など

商標登録第5385019号  クックパットのアイコン



特許庁の商標公報・商標公開公報より引用

  • 第9類「料理および料理レシピに関するデータ管理用コンピュータソフトウェア(ダウンロード可能なものを含む)、その他のコンピュータソフトウェア(ダウンロード可能なものを含む)」など
  • 第16類「紙製包装用容器、コーヒー・紅茶抽出用のペーパーフィルター、オーブン用の調理用紙、調理用紙製シート、調理に使用する肉または魚の水分・油分を吸収するための不織布製または紙製もしくはプラスチックフィルム製のシート」など
  • 第29類「 食用油脂、乳製品、食肉、食用魚介類(生きているものを除く。)、肉製品、加工水産物、卵、加工卵」
  • 第30類「アイスクリーム用凝固剤、家庭用食肉軟化剤、ホイップクリーム用安定剤、食品香料(精油のものを除く。)、茶、コーヒーおよびココア、調味料、香辛料、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー」
  • 第31類「食用魚介類(生きているものに限る。)、海藻類、野菜、糖料作物、果実、あわ、きび、ごま、そば、とうもろこし、ひえ、麦、籾米、もろこし、飼料」
  • 第32類「ビール、清涼飲料、果実飲料、ビール製造用ホップエキス、乳清飲料、飲料用野菜ジュース」
  • 第33類「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」
  • 第35類「インターネット等の通信ネットワークによる広告、その他の広告、電子商取引の利用促進のためのポイントの蓄積・集計・管理および清算、トレーディングスタンプの発行、インターネットにおけるショッピングモールを介した商品の売買契約の媒介または取次ぎ」など
  • 第41類「技芸・スポーツまたは知識の教授、料理に関する教授、セミナーの企画・運営または開催、料理に関するセミナーの企画・運営および開催、料理教室の企画・運営および開催、料理に関するコンテストの企画・運営および開催、興行の企画・運営または開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行およびスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」など
  • 第42類「通信ネットワークシステム用装置またはこれらによって構成される設備の設計およびそれに関する助言、機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)またはこれらの機械等により構成される設備の設計、デザインの考案」など
  • 第43類「宿泊施設の提供、宿泊施設の提供の契約の媒介または取次ぎ、料理の提供に関する情報の提供、料理のレシピに関する情報の提供、料理の献立情報の提供、飲食物の提供に関する情報の提供、飲食物の提供、会議室の貸与」など

これは、ロゴとアイコンが同様のものです。そのため、ロゴを商標登録していれば、アイコンも保護できます。

(3)まとめ

いかがでしたか。よく使用しているアイコンが商標登録されていることがわかったのではないでしょうか。

アイコンを商標登録するメリットは、ほかのものを商標登録するときとさほど相違がありません。
しかしアイコンは、ほとんどの人がもっているスマートフォンに表示され、見られる頻度が高くなります。自身のアプリの信頼を上げるためにも、消費者が間違えないようにするためにも商標登録をして権利を守りましょう。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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