誤解していませんか?商標の使用に関する基本的な理解

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1.広告に関する誤解

「商標をどんなサービスに使うか?」と聞かれた際に、「広告で使うので、指定役務に入れてほしい」と依頼されることがよくあります。確かに、特許庁の「特許情報プラットフォーム」を使って「広告業」を検索すると、第35類に属する多くの広告関連サービスが見つかります。

しかし、ここで注意すべきポイントがあります。商標法で定められている指定役務は、他人のために行うサービスであることが条件です。

例えば、第35類の「広告業」は、他社から依頼を受けて、その企業のために広告を制作し、報酬を得る業務、つまり広告代理店のような活動が該当します。

ですから、自社の商品やサービスを自社のパンフレットやウェブサイトで宣伝する場合、それは「広告業」としての指定には当たりません。

また、ウェブサイトを運営する個人が増えている今、「バナー広告」も同じく第35類に分類されます。自分のウェブサイトの一部を他社に提供して、そのスペースに広告を掲載し、報酬を得る場合、これは他人のために広告を行うため、「広告業」に該当します。

このように、商標を使用する場面に応じて、適切な役務区分を選定することが重要です。

2.Webサイトに関する誤解

商標を「ウェブサイトに使いたい」との依頼を受けることが多くありますが、実際にはウェブサイトそのものは商標法上の商品やサービスには該当しません。

例えば、他人のためにウェブサイトを作成するサービス(システムエンジニアなど)の場合、これは第42類の役務に該当します。しかし、多くの依頼者が誤解しているのは、商標の使い方に関する部分です。

商標法では、商標の使用方法がいくつか想定されており、その一例が「商品やサービスに関する広告や取引書類に商標を付し、それを電子的に提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)です。

簡単に言えば、ウェブサイトは商品やサービスに関する広告の一部として商標を使う「媒体」であり、ウェブサイトそのものが商標の対象ではありません。

そのため、ウェブサイトの名称やロゴを商標として保護したい場合には、そのウェブサイトで扱っている商品やサービスを指定することが必要です。

商標は、ウェブサイト自体ではなく、そのウェブサイトが提供する商品やサービスに対して使用されるべきです。この点を理解することで、商標登録の際に誤った指定を避け、より効果的な保護を実現できます。

3.名刺に関する誤解

商標を名刺に使用したい、という相談を受けることがあります。しかし、商標登録制度は、商品やサービスに使用される名称やマークを法律で保護する仕組みです。ここで、考えてみてください。取引先と交換する名刺は、果たして「商品」と言えるでしょうか?

確かに、他人のために名刺を印刷して販売する「名刺屋さん」は存在します。

しかし、多くの方が名刺を使うのは、自分の商品やサービスを売り込むために取引相手と名刺交換を行う場面です。この場合、名刺自体は商標法上の商品ではなく、商標は名刺に付けられた目印として機能します。

名刺と商標の使い方

名刺は、商標法で定められた「取引書類に商標を付して頒布する行為」に該当します。つまり、名刺交換は取引の一部であり、その対象となる商品やサービスに対して商標登録が適用されるのです。

特許庁の「特許情報プラットフォーム」で検索すると、「名刺用紙」や「名刺入れ」は見つかりますが、「名刺」そのものはヒットしません。これは、名刺が個別の内容で印刷されるため、商標法上の「商品」とは見なされないからです。

名刺屋さんの商標登録

もし名刺屋さんが商標を登録したい場合は、「名刺の印刷」というサービスとして第40類の役務に該当する形で登録されます。つまり、名刺そのものではなく、名刺印刷という役務の提供に商標を使用する形で保護が認められるのです。

4.看板に関する誤解

商標を「看板に使いたい」という相談もよくあります。しかし、商標登録制度は、商品やサービスに使用される名称やマークを保護するものであり、看板そのものが商標法上の商品には該当しません。

看板は、店先に立ててお客さんに商品やサービスをアピールするための広告手段です。つまり、看板は商標を使用して商品やサービスを宣伝する媒体であり、看板自体が商標の対象ではありません。

看板の商標登録の考え方

商標を保護する際には、看板自体ではなく、看板で宣伝している商品やサービスに対して商標を登録する必要があります。つまり、商標は看板を使って広告される商品やサービスを対象に保護されるのです。

看板を製作する業者や設置する工事業者が商標を登録する場合は、そのサービス(看板の製作や設置)に対して商標登録を申請します。しかし、一般的な店舗の場合、看板を使用して宣伝する商品やサービスを指定して商標を登録することになります。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 秋和 勝志
03-6667-0247

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