意匠制度、リニューアル!〜意匠法が大幅改正される予定です〜

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索引

1.保護対象が広がります!

意匠法は「物品の見た目」を保護するものですが、現行の意匠法において保護の対象となる「物品」とは「有体物のうち、市場で流通する動産」です。
そのため、例えば以下のようなものは、意匠法で保護される物品としてはNGです。

  1. 土地やビルといった、いわゆる不動産
  2. 電気、光、熱などの無体物
  3. 気体、液体など、固有の形態を有していないもの
  4. 粉状物や粒状物の集合しているものであって、固定した形態を有しないもの
  5. 靴下のかかとのように、物品の一部であって、それのみでは独立の製品として取引されないもの

ただし例外的に、デジタルカメラや携帯電話、DVDレコーダー等にあらかじめ記録されている画像については、物品の「部分」の意匠として登録できる場合もあります。

物品の「部分」の意匠として登録できる場合
意匠審査基準より引用

しかし今後は、意匠法で保護できる対象が広がることになります。
例えば、今まで知的財産権での保護が難しかった「建設物の外観や内装デザイン」や、クラウド上に保存されている画像といった「意匠に係る物品自体には記録・表示されていない画像」も意匠登録して保護できるようになる予定です。

2.権利の存続期間が変わります!

現行、意匠権の存続期間は「登録日から20年」ですが、これが「出願日から25年」になります。
基準の日が変わってしまうので単純には比較できませんが、現状審査にかかる期間は1年程度であることを考えると、ほとんどの場合で権利期間が長くなると言えるでしょう。

3.関連意匠制度が変わります!

バリエーションのデザインを保護する制度として「関連意匠」という制度があります。
現行法では中心となる親の意匠(「本意匠」と言います。)があって、これと似ている子どもの意匠たちを「関連意匠」として登録する制度なので、他の子どもの意匠とは似ていても親の意匠とは似ていない意匠は、その仲間に入れないのです。
しかし、今回の改正で、本意匠とは似ていなくとも他の関連意匠と類似する意匠であれば、関連意匠として保護できるようになります。

また現在、関連意匠の出願ができるのは、「本意匠についての意匠公報の発行の日前(意匠法第10条第1項)まで」=大体8ヶ月くらいなのですが、今後は本意匠の出願日から10年以内にまで大幅延長されます

4.「1つの出願には1つの意匠」に限られません!

現行法では「一意匠一出願」が原則です。
つまり1つの出願に複数の意匠を記載しても認められません。

例えば以下のような記載をしたらアウトです。

  • 意匠に係る物品に「コップ、湯飲み、ジョッキ」のように複数の物品名を記載する。
  • 意匠に係る物品が「コップ」で、1つの出願に複数の形のコップの図を記載する。

本意匠とは似ていなくとも他の関連意匠と類似する意匠であれば、関連意匠として保護できる
意匠審査基準より引用

しかし今回の改正により、この縛りもなくなりそうです。

5.でも模倣品の取り締まりは厳しく!

一定要件下ではありますが、登録意匠の模倣品をパーツで分けて製造したり輸出したりする行為が、意匠権の侵害として取り締まれるようになります。

6.まとめ

これら以外にも、特許法等も改正ポイントがあります。
詳しくは経済産業省のこちらのサイトをご参照ください。

http://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190301004/20190301004.html

なお、これらの改正案はこれから国会に提出されるため、いつからスタートするかはまだ分かりませんし、もしかしたら変更点があるかもしれません。
しかし「デザイン経営」宣言をしていることから、意匠の保護に力を入れているのは明らかです。
そのため、今後、意匠制度はより使いやすくなり、意匠権は皆様の権利を守るより強力な武器になることでしょう。

それではまた。

ファーイースト国際特許事務所
弁理士 杉本 明子
03-6667-0247

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