傘の商標権にかばん類の権利漏れ疑惑商標権が急増か

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索引

初めに

最近連続して商標権の権利漏れ疑惑ニュースをスクープの形で報告しています。素人さんが商標登録の手続をしたらきっとこの範囲を権利から落とすよね、と予測できる範囲があります。ここ1、2年で取得された商標権を調べてみると、その通り権利漏れが疑われる案件が見つかります。今回は傘の商標権についてかばん類、定期、財布、ポーチ等の小物入れなどが権利に入っていない商標権の実態をスクープします。

(1)傘の商標権の分野でもかばん類の権利が抜けている?

(A)傘の商標権を取得する際に、わざわざかばん類の権利範囲を落としている

商標権は土地の権利と同じで他人に使用させてライセンス料を貰えますし、売却して売却益を得ることもできます。中には何億円で取引される商標権もあります。

土地の権利も歯抜けの権利では高く売却できないように、商標権でもこの範囲を落とすと商標権を購入してくれる相手から見た魅力が大きく下がると思われる範囲があります。

ですから商標登録の際にはお客さまと専門家との間で、本当にこの取得範囲でよいか、この範囲で権利申請した場合、審査にひっかかったらどうするのか、等を事前に綿密に相談して願書を作成し、特許庁に提出します。

ところがここ1、2年の間に、商標権の権利範囲を十分に検討したとは思えない商標権が多数発生しています。実際に特許庁の審査に合格し商標権が発生すると、その事実は商標公報により公表されます。もちろん我々の様な商標登録の専門家はどの様な商標権が取得されているのかチェックします。その中に、なぜかあえて追加料金が不要で取得できる権利範囲を取得しないで商標権になってしまったものがあります。

一度願書を特許庁に提出してしまうと、後から内容を追加する機会は一切ないです。その様な権利内容の追加補正を特許庁は認めていないです。

我々専門家の目からみて、もし商標登録の素人さんが願書を作って特許庁に提出するとしたら、きっとこの範囲の権利を落とすよね、と事前に予測できる範囲があります。

そこを実際に調べてみると、やはり権利取得漏れが疑われる案件が多数見つかります。

今回は、傘の商標権について、その権利範囲の中にかばん類を含まない商標権がどれくらいあるのか実際に調べてみました。

(B)傘の商標権の中に追加料金なしで追加できるかばん類の権利範囲が抜けている案件が急増している

実際に2010年から2020年までに権利が発生した商標権について、権利範囲に傘を含むけれどもかばん類を権利範囲に含まない案件の実数をカウントしてグラフにしてみました。その結果が図1のグラフです。

Fig.1 各年度における商標権のうち、権利範囲に傘を含むがかばん類の権利が漏れている商標権数の変化を示すグラフ

各年度における商標権のうち、権利範囲に傘を含むがかばん類の権利が漏れている商標権数の変化を示すグラフ

図1のグラフに表れているように、2020年にかばん類の権利がふくまれていない傘についての商標権の取得数が急増しています。

(2)なぜ一回の手続で追加費用なしで取得できる権利を取得しないのか

(A)かばん類は、普通は落とせない権利範囲だが

商標登録の専門家なら、この区分に含まれる指定商品・指定役務について権利申請するなら、この範囲は落とせないでしょう、という範囲があります。

この範囲の指定商品の権利を取らないなら、わざわざ映画館に行って、映画を見ないで、ポップコーンだけを買って家に帰ってくるようなものです。

傘を指定商品に含む商標登録の区分である第18類は、かばん類がメイン商品であるといってもよいです。

一声、かばん類といっても実用的なカバー範囲は広く、例えば、次のようなアイテムが権利範囲に含まれます。

  1. かばん類
  2. スーツケース
  3. トランク
  4. ランドセル
  5. リュックサック
  6. キャリーバッグ
  7. 袋物
  8. カード入れ
  9. 財布
  10. 名刺入れ

これらの権利範囲が、傘を指定する際に、無料で追加することができます。

もし傘の商標権を取得する際にかばん類を願書に指定することを忘れると、後から追加することはできないです。

もしかばん類について商標権を取得しなければ、他の人に、私はかばん類の権利は要りませんので、全く同じ商標をカバン類にどうぞお使いください、と宣言するのと同じです。

傘の商標権を取得する際に、無料でかばん類の商標権も得られるのに、あえてわざわざかばん類の商標権を権利範囲から外す理由があるのでしょうか。

(3)依頼者側も手続代行業者側も素人さんが実務を担当しているのでは?

(A)権利申請漏れがあると後で大きなトラブルになる

商標権は後で売却できる権利ですから、仮に権利申請漏れがあったことが発覚すると、後でその権利価値が本来の売却額よりも低い値で評価される可能性があります。

このため専門家が傘についての商標登録について相談を受けた場合、他の人が傘の商標権を取得する場合、この様な権利範囲も取得していますよ、あなたも取得しなくて大丈夫ですか、と注意を促すことができます。

これから商標登録の手続きをするお客さまは、追加料金をわざわざ払って取得するほどでもないと考えている場合でも、今回取得すれば無料で権利範囲に含めることができる。もし今回取得しなくて後から取得する場合は最初の料金と同じ費用を払う必要があるので、結果的に倍額の料金を払う必要があるのを知ると、それなら、と検討される方がほとんどです。

もし専門家と権利を取得されようとするお客さまとの間で権利範囲についての相互理解がきちんとされているなら、図1の様なグラフにはならないと思います。

2020年だけ権利漏れが疑われる案件数が跳ね上がらず、以前と同じように各年度のばらつきの範囲に収まるようにグラフの形が推移すると予測できます。

なぜ2020年度になって、傘の商標登録の際に、わざわざ大切なかばん類の権利範囲を落としてしまうのか。

私の見立てでは、傘の商標権を欲しいと出願代行業者に依頼する側も、その依頼を実行する出願代行業者側も、専門家は全く担当していないのでは、ということです。

専門家なら、お客さまが傘の商標権を取得されようとするなら、本当にそれだけでよいか確認するからです。それがなされていないからこそ、図1の様なグラフになるのではないか、と私は思っています。

つまりバイト派遣を大量に並べて、願書ひな型にお客さまに言われた事項を記入するだけで内容を確認することなく特許庁にそのまま提出しているのではないか、ということです。

(B)なぜ傘の商標権にかばん類の権利範囲がふくまれないのか

傘の商標権にかばん類の権利範囲がふくまれない理由は、願書作成の担当者が、傘の商標権を取得する際に、追加料金なしにかばん類を追加できることを知らないからだと私は思います。

知っていて、それを案内しなかったとすれば、お客さまになぜ出願のときにきちんと教えてくれなかったのかと厳しい追及を受けてしまうことが分かるので、きちんとお客さまに傘の商標権以外に無料で追加できる範囲があることを伝えます。

もし傘の商標権以外に追加費用なしで取得できるかばん類の権利範囲があることが後から分かった場合、お客さまは手続き料金の同額をもう一度払って、かばん類について商標権を取得する必要がでてきます。

出願費用だけではなく、審査対応費用も登録費用も2倍かかります。それだけではありません。住所変更、会社名変更、権利移転、更新など、ありとあらゆる費用が、今後2倍かかります。最初にきちんと願書に傘に加えてかばん類を追記しておくだけで、未来永劫払い続ける料金を節約することができます。

これを案内しないのはありえないです。

誰がその費用を払うのか、払った結果、誰がその費用を受け取るのか、お客さまは容易には納得してくれないです。

それが分かっていて案内しない理由は一つですね。実際にお客さまに対応に当たっている担当者が商標登録の専門家ではない、ということです。

商標登録により自分がお金儲けのできる専門家ではあるけれども、お客さまが商標登録することによりお客さまの商標権の価値を最大化する専門家でもなく、また傘の権利を取得するだけではかばん類の商標権が含まれることを知らない担当者ではないのか。私は本当にその点を疑っています。

(4)まとめ

宣伝広告でお客さまを大量に集め、派遣バイトにひな型当てはめで大量の出願を捌けば手続き業者は儲かります。

どの業者がどの様な出願を行っているかは直ちには分かりませんが、少なくとも図1のグラフから権利範囲に欠陥が疑われる案件が増加している事実だけは確認できます。

ただ、そのような形で稼ぐことができるのは、お客さまが真実に気がつくまでの間です。

誰がこのような形での商標登録を推奨しているのかお客さま視点から事前に直ちには分からない以上、お客さま自身が注意する必要があります。

今回取得する傘以外に、無料で取得できる権利範囲をきちんと教えて欲しい。また今回出願する権利内容の範囲に、説明を受けていない範囲が含まれているがゆえに、こちらが後で困ることはないか、きちんと説明してほしい、と伝えましょう。

誠実な専門家ならきちんと対応してくれます。

安易に特許庁に願書を提出すると、後で抜けた権利を取り戻すためにこれから未来にむかってずっと倍額料金を払い続ける必要が生じます。さらに権利漏れがある部分をライバルに食いちぎられて、それを取り戻すために、また何十万円の費用が必要になることもあります。

そうならないように、願書を特許庁に提出する前に、弁理士がきちんと対応したかどうかを確認するだけでなく、願書に記載されている代理人に直接聞いて確認するのを忘れないでください。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247


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