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商標は、ひらがな・カタカナ・アルファベットのどれが良いか


同じ名称でも、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットでは見た目が変わります。商標を出願するときは、どの表記を願書に記載するかを決めなければなりません。

選択の基本は、商品、ウェブサイト、看板、契約書などで実際に使う表記です。ただし、読みが同じなら別の表記も必ず同じ範囲で守られる、というわけではありません。事業で使う形と、第三者に使われると困る形を分けて検討します。

1. 商標の表記は実際に使う形から選ぶ

例えば、事務所名の候補には次のような表記があります。

  • ファーイースト国際特許事務所
  • ファーイーストコクサイトッキョジムショ
  • ふぁーいーすとこくさいとっきょじむしょ
  • Far East International Patent Office

日本語の案内で漢字交じりの名称を常用するなら、その表示を出願候補の中心に据えます。商品のパッケージでカタカナだけを使うなら、カタカナ表記を優先する考え方が自然です。

名称とロゴを常に一体で使う場合でも、将来ロゴだけを変更する可能性があります。名称を標準的な文字で出願する案、ロゴ全体を図形として出願する案、双方を別々に出願する案を比べてください。別出願にすると費用は増えますが、名称やデザインを個別に扱いやすくなります。

2. 読みが同じでも権利範囲が同じとは限らない

商標の類似性は、主に外観、称呼、観念から検討されます。外観は見た目、称呼は読み方、観念は文字から受け取る意味です。実際の判断では、これらを取引の事情とともに全体として見ます。

したがって、ひらがなとカタカナで読みが同じことは類似を判断する材料になりますが、それだけで結論が決まるとは限りません。日本語と英語の意味が対応していても、需要者が直ちに同じ意味を理解するか、見た目や呼び方がどの程度近いかによって結論は変わります。

また、商標権はマークだけで決まる権利ではありません。出願時に指定した商品・サービスとの組合せで範囲が定まります。表記が似ていても商品・サービスが離れていれば扱いが異なる場合があり、反対に、同じ分野で紛らわしい表示を使えば侵害の問題が生じます。

一件の登録だけで全表記を確実に押さえられると考えず、事業上欠かせない表記が複数あるときは、それぞれの出願も検討します。

例えば、日本語名を主に使いながら、製品本体には短いアルファベット名を表示する事業では、顧客が目にする二つの表示がどちらもブランドとして働きます。一方が他方の単なる読み替えだと決めつけず、各表記について先行商標と使用予定を確認するほうが安全です。

出願予算に上限があるときは、売上の中心となる表示、模倣されたときの影響、名称変更の難しさを比べます。優先度の高い表記から出願し、事業の拡大時に追加出願を検討する方法もあります。

3. 出願後に商標の表示は変更できない

願書を提出した後、商標の構成を別の表記へ実質的に変更することはできません。例えば、カタカナで出願した商標を、審査の途中でアルファベットへ差し替える扱いにはなりません。別の表示を権利化したいときは、原則として新たな出願を行います。

出願前には、ウェブサイト、パッケージ、広告、店舗表示で使う名称を確認します。社内で表記が揺れているなら、今後どの形へ統一するかを決めてから出願するほうが、登録後の運用と証拠管理を行いやすくなります。

登録後は、実際の使用例が分かる資料を日付とともに保存してください。請求書、商品写真、広告、ウェブページの記録などが候補になります。

4. 海外展開では現地で使う表記を基準にする

日本で取得した商標権の効力は日本国内に限られます。海外で商品やサービスを展開する場合は、保護を求める国・地域でも権利取得を検討します。

現地でアルファベット表記を使う予定なら、その表記を出願候補にします。日本語の国内登録があるからといって、その英訳やローマ字表記を海外で当然に保護できるわけではありません。

マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願を日本から行う場合、日本の基礎出願または基礎登録が要ります。国際出願のマークは基礎商標と同一でなければならず、指定する商品・サービスも基礎の範囲内です。海外で使うアルファベット表記をマドプロで出願するなら、同じ表記の国内出願または登録を準備する流れになります。

国際登録を行っても、指定した各国で登録の可否が審査されます。販売国、製造国、ライセンス先を確認し、出願国と時期を決めてください。

5. デザイン入り商標を登録するときの注意点

文字に特徴的なデザインを加えた商標と、文字だけの商標では、登録される表示が異なります。

デザイン入り商標と文字商標の比較

デザイン入りの表示を登録した後、文字だけの表示しか使わなくなった場合、その使用が登録商標と社会通念上同一と認められるかは個別判断です。常に同じ商標の使用として扱われるとは限りません。

日本国内で、登録商標が指定商品・サービスについて継続して3年以上使用されていない場合、第三者から不使用取消審判を請求される可能性があります。ロゴを変更する予定があるなら、変更後も名称を守りやすい出願構成を先に検討します。

6. 文字商標の表記に関するよくある質問

Q1: ひらがな、カタカナ、アルファベットを全部登録しなければなりませんか?

A1: 全部の出願が常に必要なわけではありません。日常的に使う表記、売上の中心となる商品・サービス、第三者に使われると困る表記を確認し、優先順位を付けます。

Q2: カタカナを登録すれば、同じ読みのひらがなも必ず排除できますか?

A2: 必ず排除できるとは限りません。称呼が同じことに加えて、外観、観念、指定商品・サービス、取引の事情を含めて類似性が判断されます。

Q3: 日本語名を英訳した商標も同じ権利で守られますか?

A3: 英訳という関係だけで同じ権利範囲になるとはいえません。海外で使う英語名が決まっている場合は、その表記自体の調査と出願を検討します。

Q4: 名称とロゴは一緒に出願したほうが安く済みますか?

A4: 一件の結合商標にすれば出願件数は抑えられますが、登録されるのは名称と図形を組み合わせた全体です。名称だけ、ロゴだけでも長く使う予定があるなら、別出願との比較が欠かせません。

Q5: どの表記を選ぶか迷ったら、何を準備して相談すればよいですか?

A5: 現在使っている名称とロゴ、今後使う予定の表記、商品・サービスの一覧、販売予定国を用意してください。候補ごとの先行商標を調べ、費用と事業上の優先度を比べて出願内容を決めます。

表記の選択で迷ったときは、「最もよく使う形」と「失うと事業に困る形」を先に特定することが出発点です。そのうえで、類似性と商品・サービスの範囲を確認すれば、出願件数を増やす場面と絞る場面を判断しやすくなります。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘

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