登録商標を守るために

無料商標調査 商標登録革命

1. いつまで戦う必要があるのか?

登録商標を守るためには、時には法的な戦いが必要です。ここでは、具体的な手続きについて解説します。

1-1. 登録異議申立て

商標が登録されると、その情報は商標公報で公開されます。この公報が発行されてから2ヶ月以内に、誰でも「登録異議申立て」を行うことが可能です。

これは、商標登録の正当性を再度確認するための手続きです。

もし特許庁が商標の取り消し理由がないと判断すれば、特に手続きは必要なく、商標はそのまま維持されます。

しかし、取り消し理由があると認められた場合、商標権者は意見書を提出し、反論する必要があります。

もし登録異議が認められた場合、その商標は取り消され、初めから存在しなかったものとして扱われます。この決定に不服がある場合は、知的財産高等裁判所に提訴することができます。

1-2. 無効審判請求

商標登録に関する争いの一つに「無効審判請求」があります。

これは、登録日から5年以内であれば比較的広範な理由で無効を主張することが可能です。この期間中は、商標登録が無効になるリスクを考慮しておく必要があります。

ただし、無効審判を請求できるのは「利害関係人」に限られ、誰でも請求できるわけではありません。公益に関する無効理由であれば、5年の制限はなく、無効のリスクはさらに高まります。

無効審判では、商標権者と請求人が対立し、商標登録の正当性を争います。反論がなければ相手方の主張が自動的に認められるわけではありませんが、商標権者は答弁書を提出し、反論する必要があります。

審理の結果、請求人の主張が認められれば、商標は無効とされ、初めから存在しなかったものと扱われます。この審決に不服がある場合、当事者は知的財産高等裁判所に提訴することができます。

2. 何度戦わなければならないのか?

商標権を守るためには、時には繰り返しの戦いが必要になることがあります。たとえ無効審判で商標登録が維持されると確定しても、完全に安心できるわけではありません。

2-1. 繰り返される可能性のある無効審判

商標権者が無効審判に勝ったとしても、同じ事実や証拠に基づく無効審判の請求はできなくなります。

しかし、新たな事実や証拠が出てきた場合には、再度無効審判を請求される可能性があります。例えば、後から提出される新たな証拠によって、商標権の無効を主張されることも考えられます。

また、無効審判を請求できるのは利害関係人に限られますが、その利害関係人が一人であるとは限りません。

複数の利害関係人がそれぞれ無効審判を請求するリスクも存在します。これにより、商標権者は何度も無効審判に対応しなければならない状況に陥る可能性があります。

2-2. 裁判所の解釈による変化

近年の法改正により、同一の紛争が何度も蒸し返されることを防ぐため、当事者間の紛争はできるだけ一回で解決すべきだという解釈が優勢になってきています。

例えば、裁判例では、新たに提出された証拠が前の審理と実質的に同一であるとして、無効審判の請求を認めませんでした。商標権者にとっては、このような裁判例は心強い味方となるでしょう。

 

・・・上記によれば,本件審判で提出された上記各証拠は,前審決における被告の主張を排斥した判断に対し,同判断を蒸し返す趣旨で提出された証拠の範囲を超えるものではない。
 ・・・前審判と本件審判とでは,商標法4条1項10号違反の根拠として主張されている事実において同一であり,また,これを立証するために提出された証拠も実質的に同一であると評価できる。

 

したがって,本件審判における本件商標が同項10号に該当することを理由とする無効審判請求は,前審決の確定効に反するものとして許されないというべきである。・・・

(知財高判平成26年3月13日平成25年(行ケ)第10226号)

3. 商標登録の守り方:結論として

商標登録が完了してから5年が経過すると、その商標の無効を主張することが難しくなります。また、登録異議や無効審判において商標が維持されれば、その決定が後続の判断にも影響を与える可能性があります。

したがって、時間の経過やこれまでの審判手続きによって、商標が抹消されるリスクは徐々に減少していくと考えられます。しかし、完全にリスクがなくなるわけではないことを常に意識しておく必要があります。

このようなリスクを踏まえ、商標権者としては、適切な対応を続けることが重要です。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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