商標登録の検索前に、初心者がチェックすること【2021年度保存版】

無料商標調査 定休日12/28-1/5

索引

初めに

特許庁で商標登録する前に、こちらの商標が登録できない障害となる事前登録商標がないか特許庁のデータベースであるJ Plat Patで無料で検索して調べることができます。今回は特許庁の無料データベースで調べる前の前準備について、初心者の方でも簡単にできるように、分かりやすく説明します。

(1)まずは検索エンジンで調べてみよう

(A)検索エンジンで調べて商標の位置づけを確認しよう

特許庁で登録を希望する商標があるなら、実際に登録できるかどうか商標登録の検索を行います。先に同じ商標とか似た商標が登録されているなら、後から似た商標を出願しても既に登録されている商標権の権利範囲に当たることを理由に審査に合格できないからです。

いきなり特許庁の無料商標調査データベースで検索する前に、これから登録しようとする商標が適切なものかその位置づけを確認する必要があります。

まずはその商標を検索エンジンで調べてみましょう。

(B)検索エンジンの検索結果で障害が判明した場合は商標を再考しましょう

例えば、特許庁で登録を希望する商標が「イツビシトーキョー」であった、とします。この商標「イツビシトーキョー」を実際にgoogleの検索エンジンで調べてみると、トップに「三菱UFJ銀行」が表示されます(2021年1月26時点)。

現時点では「三菱東京」のネーミングで始まる銀行は存在しないのですが、かつては「三菱東京UFJ銀行」が存在した影響で、現在でも「イツビシトーキョー」で検索した場合、「三菱UFJ銀行」が検索結果のトップにきてしまいます。

これから「イツビシトーキョー」との商標で事業展開した場合、ホームページの検索結果で「三菱UFJ銀行」を上回る実力を付ける必要があります。検索結果で「三菱UFJ銀行」の下位に沈むことになり、こちらのことをお客さまに発見されにくくなってしまいます。

「三菱UFJ銀行」よりも上位の検索結果に表示されるようにホームページを充実させていけば、いつかは「三菱UFJ銀行」を上回る日がくるかも知れませんが、余裕のない最初の段階からあえていばらの道を進む必要はないでしょう。

(C)有名ブランドと何らかの関係があると誤解されるような商標も避けましょう

例えば、一つの仮想事例として、靴の分野で「ジョニーウォーカー」との商標を採用することを考えたとします。

「ジョニーウォーカー」とのネーミングはお酒にはあるのですが、靴にはない、と考えて採用するのは実は危険です。

仮に「ジョニーウォーカー」との商標が靴の分野で登録されていない場合でも、有名な商標と何らかの提携関係があると誤解されるような商標は特許庁では審査に合格させないからです(商標法第4条第1項第15号)。

また実際に靴に「ジョニーウォーカー」との商標を使用した場合、有名な営業表示を使用したとして不正競争防止法などの別の法律で訴えられる可能性もあります。

仮に商標登録されていない場合でも、商標を後から登録できないどころか、逆に訴えられることもあることに注意しましょう。

本家本元から訴えられない場合でも、やはり同じ商標を使っていては、こちらのホームページの検索順位結果が有名どころに押されて下位に沈んでしまいます。

(D)マイナスの意味がないかチェックしよう

商標を実際に採用する前に、その商標にマイナスの意味がないか、辞書、ネット、辞典等で調べます。スラング等で意図しない意味が隠れている場合には、その商標を採用した品格も問われることになります。

お金を掛けて商標登録する前に、問題がないかどうかを調べてみましょう。

(2)関連登録から指定商品指定役務の範囲をチェックしよう

(A)商標をどの権利範囲で取得するのかの参考情報を入手する

特許庁で商標登録する場合、商標のみを登録するのではなくて、その商標を使用する商品や役務を指定します。この指定した範囲で商標権が発生する仕組みになっています。

自分の使用する商品役務とは関係のない商品役務について商標権を取得するのは費用がむだになります。使用しない商品役務について商標権を取得するのは実際には住まない土地を購入するのと同じです。実際に住む土地を購入しないと意味がないのと同じく、実際に使用する商品役務について商標権を取得します。

ただ、実際にどの範囲の商品役務を指定するか、判断に迷うと思います。この場合は、他社がどの範囲で商標権を取得しているのか参考にします。

A.ラインの場合

例えば、スマホでチャットができるラインの場合は、次の参考情報リンク1で具体的な情報が得られます。

参考情報リンク1:ラインの登録商標:商標登録第5669069号

ラインの場合は次の範囲で商標登録をしていることが分かります。

  • 第 9類:携帯電話機、電子メール・チャットに関する通信機能を有する電子計算機用プログラム等
  • 第38類:インターネット利用のチャットルーム形式による電子掲示板通信、電子メールによる通信等
  • 第41類:ソーシャルネットワーキングサイトを利用した娯楽及び娯楽情報の提供等
  • 第42類:インターネット・移動体電話による通信を介した電子掲示板・電子会議室・チャットルーム・ブログ用サーバーの記憶領域の貸与等

B.フェイスブックの場合

例えば、フェイスブックの場合は、次の参考情報リンク2で具体的な情報が得られます。

参考情報リンク2:フェイスブックの登録商標:国際登録第1075094号

フェイスブックの場合は次の範囲で商標登録をしていることが分かります。

  • 第 9類:アプリケーションプログラムインターフェース(API)用のコンピュータソフトウエア等
  • 第35類:コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告等
  • 第38類:インターネット利用のチャットルーム形式による電子掲示板通信、電子掲示板による通信、オンラインネットワークサービスの運営等
  • 第41類:コンピュータネットワーク経由でのオンラインによるゲームの提供等
  • 検索エンジンの提供、ユーザー作成コンテンツ又は特定のコンテンツ・個人プロフィール・音響・ビデオ・データ画像を含む個人化されたウェブページの形態でのコンピュータに関する役務の提供等
  • 第45類:オンライン経由での社会ネットワーク作り等

ここで上記の第9類とか第35類等の区分けを区分といいます。この区分が特許庁の課金単位になっています。
多く指定すれば権利が幅広く確保できますが、費用がかかります。

また費用を抑えて一部だけの権利を取得すれば、権利を取得していない範囲について他人に権利を取られてしまう危険があります。
どの範囲について権利を取るかについては、取得しなければならない部分と、取得するに超したことはない部分に分けて考えます。

他人に権利を先に取られてしまうと、後からこちらの業務展開ができなくなる最重要範囲から権利取得を考えます。

(3)ライバルの取得した権利範囲を参考にする

(A)実際にライバルがどの範囲で権利取得しているか調べてみよう

上記のラインとフェイスブックの登録例をみて、イメージがわいたら、次にライバルがどの範囲で商標登録をしているか調べてみましょう。

以下に特許庁の無料商標検索データベース「J Plat Pat(ジェイプラットパット)」を使った場合の調べ方を解説します。ジェイプラットパットの使い方は、該当のページの上部にヘルプデスクの案内が表示されていますので、分からなかったらきいてみましょう。ヘルプデスクで無料で調べ方を教えて貰えます。

特許庁のホームページにアクセスします

特許庁のJPLATPATはこちらから
特許庁のホームページ

特許庁のホームページは、検索エンジンで「特許庁」とのキーワードで検索すれば検索結果からアクセスすることができます。無料の商標データベースJ Plat Patを開きます。

商標のタブの中から商標検索を選びます

特許庁データベースで商標検索を選択
J Plat Patの検索画面

検索項目の「出願人」のところにキーワードを入力します

今回の場合は、説明のための一例として熊本県を入力してみます。

ライバルの情報を入力して検索
J Plat Patの検索画面

あとは下の検索ボタンを押せば、検索結果が表示されます。

検索結果から目的の商標情報を選びます

ライバルの検索結果が表示される
J Plat Patの検索画面

該当の登録情報をクリックすることにより、それぞれの商標がどの範囲で登録されているかを調べることができます。

今回はくまモンを例に取り上げて説明しましたが、できるだけ多くのライバルの登録結果を調べて、どの範囲で権利化されているか調べて見ましょう。

これらの情報を元に、どの範囲で商標登録すればよいかの全体像が見えてきます。

(4)まとめ

商品役務の選び方のポイントは、区分が課金単位になっているので、同じ区分について2回以上に分けて権利化するのは避ける、という方針を守ってください。

同じ区分の中の指定商品指定役務を2回以上に分けて権利化すると、費用が2倍、3倍と膨らみます。

このため費用が同じなら1回の出願で必要な範囲の権利確保をするのがよいです。

また必要な権利範囲は複数の区分に渡って分散している場合もあります。

できるだけ根気よく調べて、権利取得漏れがないように注意しましょう。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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