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ロゴマークを変更する際に留意すべきポイント


ロゴマークを変更するときは、見た目だけでなく、登録商標、著作権、制作者との契約、商品やウェブサイトの切替を確認します。新しいロゴが完成してから権利関係を調べると、修正や公開延期が必要になることがあります。

1. 登録済みのロゴは後から差し替えられない

商標登録は、願書に記載した標章と指定商品・指定役務を単位として行われます。登録済みロゴの図形や文字を、新しいデザインへ自由に差し替える制度ではありません。特許庁の審査基準でも、出願した商標中の文字、図形、記号などを変更・削除する補正は、原則として要旨を変更するものとして扱われます。

新しいロゴを確実に保護したい場合は、新ロゴについて別の商標登録出願を検討します。旧登録を直ちに放棄する必要があるとは限りません。旧ロゴを商品、保証書、店舗、ライセンス先などで使い続ける期間を確認し、更新や整理の時期を決めます。

2. 新旧ロゴの商標権を確認する

新ロゴが旧登録商標に似ていても、常に旧登録だけで十分とはいえません。登録商標と使用中の標章が社会通念上同一と認められる範囲か、第三者への権利行使でどこまで保護されるかは、変更の程度と具体的な使用態様によって異なります。

  • 文字の追加、削除、つづり、配置を変えていないか。
  • 図形の輪郭、向き、構成要素を変えていないか。
  • 色だけの変更か、色の組合せ自体が識別要素になっているか。
  • 指定商品・指定役務が、現在と今後の事業を含んでいるか。
  • 新ロゴに近い他人の先行商標がないか。

長期間、登録商標と異なるロゴだけを使用すると、更新や不使用取消審判への対応にも影響し得ます。新旧ロゴの使用期間と証拠資料を分けて保管してください。

ロゴの変遷を記録する

企業のロゴは事業や表現方針に合わせて変わります。次の画像は、スターバックスに関する複数の登録商標を並べたものです。各登録の権利範囲は、それぞれの登録商標と指定商品・指定役務を確認して判断します。

スターバックスのロゴマークの変遷

(商標登録第5397021号、第2255194号、第4095958号、第5452171号の商標公報より引用)

3. 制作者との契約と著作権を確認する

外部のデザイナーや制作会社へ料金を支払っただけでは、著作権が当然に発注者へ移るわけではありません。契約書、発注書、利用規約を確認し、著作権の帰属と利用許諾の範囲を特定します。

著作権を譲り受ける契約でも、著作権法27条と28条の権利が譲渡対象として明記されていない場合、それらは譲渡人に留保されたものと推定されます。既存ロゴを基に新しい表現を作る場合は、二次的著作物に関する権利まで契約に含まれるかを確認します。

また、著作者人格権は譲渡できません。著作者の意に反する改変は同一性保持権の問題になり得ます。著作権を譲り受けていても、それだけであらゆる改変が自由になるわけではありません。

4. 変更前に契約書へ定める事項

新規制作を依頼する段階で、将来の変更を想定した契約にしておくと、担当者交代や媒体追加の際に確認しやすくなります。

  • 採用案と不採用案、元データ、フォント、写真、素材の権利帰属。
  • 著作権を譲渡するか、利用を許諾するか。譲渡では27条・28条の権利を含むか。
  • 色、比率、文字、アニメーションなど、発注者が変更できる範囲。
  • 著作者人格権を行使しない旨を定める場合の対象行為と範囲。
  • 第三者素材のライセンス条件と、商標登録への使用可否。
  • 類似案の再利用禁止、秘密保持、納品形式、制作過程の記録。

著作者人格権の不行使条項があっても、条項の文言、変更内容、契約当事者などによって判断が変わります。実際の改変が契約の想定範囲に入るかを個別に確認します。

5. ロゴ切替時の実務チェック

  1. 新ロゴの商標調査と、必要な商品・サービスの洗い出しを行う。
  2. 制作者、著作権者、素材提供者との契約を確認する。
  3. 新ロゴの商標出願と公表時期を決める。
  4. 商品、包装、看板、ウェブサイト、アプリ、SNS、広告の切替対象を一覧にする。
  5. 販売店、製造委託先、ライセンシーへブランドガイドラインを配布する。
  6. 旧ロゴの在庫、修理部品、保証書、契約書をいつまで使うか決める。
  7. 使用開始日、使用媒体、画像、発注書、請求書を証拠として保存する。

会社名の変更、ドメイン名、SNSアカウント、屋号の届出は商標登録とは別の手続です。ロゴ変更の工程表に含めて確認します。

6. ロゴ変更についてのよくある質問

Q1. 色を変えるだけなら新たな商標出願は不要ですか。

一律には判断できません。登録商標が色彩を限定しているか、図形や文字の構成は同じか、実際の使用が登録商標と社会通念上同一といえるかを確認します。

Q2. デザイン料を全額支払えば、ロゴを自由に変更できますか。

支払いだけでは判断できません。著作権の譲渡または利用許諾、27条・28条の権利、著作者人格権、第三者素材の条件を契約書で確認します。

Q3. 著作権を譲り受ければ、著作者人格権も移りますか。

移りません。著作者人格権は著作者だけに属し、譲渡できない権利です。必要に応じて、不行使の合意や個別変更の承諾を確認します。

Q4. 旧ロゴの商標登録はすぐに放棄しますか。

旧ロゴの在庫、保守、ライセンス、模倣品対策を確認して決めます。切替期間中に旧ロゴを使うなら、権利を維持する必要性が残ることがあります。

Q5. 新ロゴの公開後に商標出願してもよいですか。

先に公開すると、第三者の出願や模倣への対応が難しくなる場合があります。候補が固まった段階で調査し、発表・発売と出願の順序を決めてください。

参考:特許庁「商標登録出願の補正と要旨変更」文化庁「著作権契約書作成支援システム」文化庁「著作者人格権に関する留意点」特許情報プラットフォーム J-PlatPat

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
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