商標登録におけるパロディの扱いとは?

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商標登録を検討する際、「パロディ商標」が登録可能かどうか、気になる方も多いでしょう。

結論として、商標法には「パロディだから登録できる」または「パロディだから登録できない」といった規定は存在しません。

商標登録の審査では、パロディかどうかではなく、他人の商標権との関係性や類似性が重要視されます。

審査の基準:パロディかどうかではなく、類似性が焦点

たとえパロディであっても、先行する他人の登録商標に類似し、その商標権を侵害する可能性がある場合、登録は認められません。商標登録が認められるかどうかは、次の2つのポイントで判断されます。

1. 商標同士の類似性

他人の商標と見た目、読み方、意味が似ているかどうか。

2. 指定商品やサービスとの関連性

その商標が使われる商品やサービスが、先行商標の指定範囲と競合するかどうか。

パロディだからといって特例はない

もし審査官が「このパロディ商標は先行商標に類似しているため登録不可」と判断した場合、次のような主張をしても効果はほとんど期待できません。

  • 「これはパロディだから特別だ」
  • 「本家に敬意を払ったオマージュである」
  • 「パロディなのは明白だから、誤認混同は生じない」

審査官が問題視するのは「他人の商標と類似しているかどうか」です。この争点が解消されない限り、登録は認められません。

パロディ商標とコンセント制度との関係は?

注意すべき点は、平成6年4月1日から施行されたコンセント制度との関係です。コンセント制度は、先行する他人の商標権の権利範囲を侵害するような商標であっても、商標権者の許可があるなら、例外的に登録を認める制度です。

通常は、本家本元の許可は得られません。自社のブランドの信用を貶めるような商標の使用を本家本元は許可しないのが普通だからです。他人に、差止請求・損害賠償請求を認める権利を無料で渡す権利者はいないです。逆に本家本元が自分でパロディ商標の権利を取り、パロディ商標の使用希望者に、使用料を請求してくるのが普通です。

もし、本家本元が自らパロディ商標を出願する場合、出願人が同一人物であるため、「他人による出願」とはならず、この点で問題は生じません。

本家本元の登録商標と、パロディ商標は、権利者が同一の場合は登録されることがあります。

商標法の基本的なルール

商標法には「他人の商標権と抵触する内容の商標登録は認めない」という明確な規定があります。この規定に基づき、パロディかどうかに関係なく、公平な審査が行われます。

まとめ

商標登録において、パロディだからといって特別扱いされることはありません。他人の商標権を侵害しないよう、登録申請前に十分な調査と準備を行うことが重要です。

また本家本元の許可があれば登録を認めるコンセント制度も施行されていますが、パロディ商標は本家本元の売上向上に貢献できることが明確な場合以外は許可される可能性は低く、コンセント制度に便り過ぎるのは危険です。

弁理士・弁護士への相談も含め、慎重に進めることをおすすめします。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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