無料商標調査 商標登録革命

商標を複数人で共同出願する方法と共有権の注意点

商標登録出願の出願人は1人に限られません。複数の個人や法人を出願人にして共同出願し、登録後の商標権を共有できます。

ただし、各共有者の使用と、持分の譲渡、ライセンス、審判、存続期間の更新ではルールが違います。「連名で登録すれば後は各社が自由に処分できる」とは限らないため、出願前の取決めが欠かせません。

1. 商標は複数人で共同出願できる

共同開発した商品、複数社の共通ブランド、事業者とクリエイターが共同で管理する名称などで、共同出願が候補になります。出願時に複数の出願人を記載するほか、単独で取得した商標権の持分の一部を後から譲渡し、共有にする方法もあります。

権利者が複数であること自体は、商標の識別力や類似を判断する基準を変えません。商標、指定商品・指定役務、先行商標、その他の登録要件は、単独出願と同じように審査されます。

登録例は現在の権利者を再確認する

共有商標の例に、「ポケモン」の商標登録第4161357号があります。本記事の取得時点の記録では、株式会社ゲームフリーク、株式会社クリーチャーズ、任天堂株式会社が権利者として記録されていました。権利の移転や存続期間により情報は変わるため、利用前にJ-PlatPatで現状を照会してください。

2. 願書の出願人と持分の書き方

特許庁の電子出願ガイドでは、出願人が2人以上のときは【商標登録出願人】欄を繰り返し設けます。持分の定めがある場合は、各出願人欄の次に【持分】欄を追加し、「50/100」などの分数で記録します。小数は使えません。

連名で商標権を得るためには書き換える必要あり

共同出願を代理人なしでオンライン手続する場合、実際にオンライン送信した人以外の出願人は、出願日から3日以内に手続補足書を提出します。全員の正確な氏名・名称、住所・居所、識別番号と、代理権の範囲を出願前に揃えます。

3. 共有者自身の使用と第三者への許諾

商標法35条が準用する特許法73条2項により、契約で別段の定めをしていなければ、各共有者は他の共有者の同意を得ずに自己で登録商標を使えます。この点は、持分の譲渡や第三者への使用許諾と異なります。

専用使用権を設定する場合や、通常使用権を許諾する場合は、他の共有者全員の同意が要ります。共有者の子会社、販売会社、加盟店などの別法人が使うときは、共有者自身の使用と決めつけず、許諾関係を確認します。

  • 専用使用権:設定行為として登録し、設定された範囲で専有的に使う権利
  • 通常使用権:契約で決めた範囲で登録商標を使う権利

「共有者の同意がある」という事実を後から証明できるよう、使用者、対象商標、商品・役務、地域、期間、品質管理と対価を書面化します。

4. 譲渡・質権・審判・更新の注意

持分の譲渡と質権

共有者が自分の持分を第三者へ譲渡し、または質権の目的にするには、他の共有者全員の同意が要ります。持分の一部譲渡で権利者を追加するときは、契約だけで終わらせず移転登録の手続を行います。

審判と審決取消訴訟

共有商標権について無効審判や取消審判を請求されるときは、共有者全員が被請求人になります。共有の権利に関する審判を共有者側から請求する場合は、原則として全員で請求します。

ただし、共有商標の登録を取り消す審決や無効とする審決が出た後の審決取消訴訟については、各共有者が単独で提起できるとする最高裁判例があります(最高裁平成14年2月22日、平成13年(行ヒ)第142号)。審判段階と審決取消訴訟を区別してください。

審決取消訴訟の検索画面

存続期間の更新

商標権が共有の場合、存続期間の更新登録申請は権利者全員で手続します。一部の共有者を申請人から漏らした申請は手続上の問題になるため、満了日、費用負担、代理人、必要書類を早めに確かめます。

5. 共有契約で決めておく事項

  • 各共有者の持分と、出願料・登録料・更新登録料の負担
  • 各社が使える商品・役務、地域、表示方法と品質管理
  • 子会社、取引先、加盟店へ使用を許す条件と同意の手順
  • 警告、異議、審判、訴訟を行うときの意思決定と費用負担
  • 事業終了、組織再編、対立時の持分譲渡、優先買取り、価格の決め方
  • 更新を続けるかの判断日と、共有者が連絡不能になった場合の対応

商標権の共有は協業を反映しやすい反面、一部の処分に全員の同意を要するため、事業上の意思決定が止まるリスクがあります。単独で取得し、契約で使用を許す方式とも比べて、事業に合う形を選びます。

6. よくある質問

Q1. 個人と法人を組み合わせて共同出願できますか?

できます。各出願人の氏名・名称などを願書に記載し、持分の定めがあるときは持分欄も設けます。

Q2. 各共有者は他の共有者に無断で商標を使えますか?

契約で別段の定めがなければ、各共有者は自己で登録商標を使えます。別法人の子会社や取引先に使わせる場合は、第三者への使用許諾として全員の同意を確かめます。

Q3. 自分の持分だけを売却できますか?

他の共有者全員の同意を得て、持分移転の登録手続を行います。他の共有者の同意なしに自由に譲渡できるわけではありません。

Q4. 共有者の1人だけで更新登録申請できますか?

共有商標権の更新登録申請は権利者全員で行います。代理人が手続する場合も、全員の代理権を確認します。

Q5. 単独所有と共有のどちらがよいですか?

協業の実態、出願費用の負担、ブランド管理、ライセンス、事業終了時の処理によって変わります。将来の同意取得が現実的かも含め、出願前に比較します。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

参考資料

商標のことでお困りですか?

商標登録の出願・調査・侵害対応について、
弁理士が無料でご相談に応じます。お気軽にお問い合わせください。

ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘

コメントする