特許庁での印鑑の扱い方をご存知ですか?

無料商標調査 次回定休日2/10

特許庁に書類を提出する際、押印した書面が「あなたの印鑑」として登録されます。

しかし、何年も前に使った印鑑を忘れてしまうこと、ありませんか?(いや、できれば覚えておいてほしいですが…!)

法律の改正により、多くの場合で押印の手続は不要になっていますが、商標権等の権利は土地の権利と同じ性質を持つため、他人による無断変更を防ぐ意味で、現在でも押印手続が必要な場合があります。

今回は、特許庁における 会社の印鑑 の扱いについて詳しく解説します。

1.会社の印鑑には種類がある!

会社を設立するとき、多くの企業は 3種類の印鑑(ゴム印を含めると4種類) を準備します。

① 代表者印(会社の「実印」)

令和4年1月1日以降は、特許庁で求められる押印には、実印か、実印により証明可能な法人の代表者印を使用することが求められます。

代表者印(会社の「実印」)が、最も重要な印鑑で、会社を代表する正式な印鑑です。

📌 代表者印の特徴
✅ 会社設立の際、法務局に登録する
✅ 会社の印鑑証明書が取れる唯一の印鑑
✅ 一般的に「丸い二重構造」だが、形の決まりはない

この印鑑は 会社の法的な契約や重要な書類 に使用されるため、慎重に管理する必要があります。

また、社名と「代表取締役之印」と彫られるのが一般的ですが、イラスト入りでも代表者印として認められることもあります。

② 銀行印(金融機関との取引に使う印鑑)

会社が銀行口座を開設するときに登録する印鑑です。

⚠️ 代表者印を銀行印として兼用することも可能ですが、リスクを考えると分けて管理するのが一般的です。

理由は、万が一銀行印が流出すると、会社の財務管理に大きなリスクが生じるからです。

③ 社印(会社の「認印」)

見積書や請求書など、日常的な業務に使う印鑑です。

🏢 社印の特徴
✅ 会社名のみが彫られている
✅ 正方形(角印)が一般的だが、形に決まりはない
✅ 「普段使いの印鑑」として重宝する

社印は重要書類には使いませんが、頻繁に使用するため、紛失しないよう管理しましょう。

④ ゴム印(業務効率化のための印鑑)

ゴム印は、社名・住所・代表者名 などをまとめて押せる便利な印鑑です。

📝 ゴム印の活用例
✅ 住所や社名を何度も手書きする手間を省ける
✅ 契約書や請求書などの押印作業がスムーズに
✅ 書類の統一感を出せる

ゴム印は 正式な印鑑ではありませんが、業務の効率化には欠かせません。

ここがポイント

会社の印鑑には、それぞれの役割があります。

  • 代表者印(会社の「実印」):法的に最も重要
  • 銀行印(金融機関用):代表者印と分けるのが安心
  • 社印(認印):日常業務で使用
  • ゴム印(業務効率化):社名・住所を簡単に押印

特許庁でも印鑑の登録は重要です。会社の印鑑を適切に管理し、 「どの印鑑を、どこで、何に使うのか」 をしっかり把握しておきましょう。

2.特許庁における印鑑の取り扱い【会社編】

会社では、一般的に 複数の印鑑 を使い分けています。

しかし、特許庁に書類を提出する際に「一般的な代表者印の構造」と異なる印鑑を使用すると、特許庁から確認の指令が届き、すぐに受理されません。

また、たとえ一般的な代表者印を使用しても、特許庁に登録されている印鑑と一致しない 場合も、指令を受けることになります。

では、もし 特許庁から指令を受けてしまった場合、どう対応すればよいのでしょうか?

【ケース別】特許庁から指令を受けた場合の対応

✅ ケース①:押した印鑑が本当に「代表者印」である場合

📌 解決策:「印鑑証明書」を提出する

特許庁は、「本当に会社の代表者印なのか?」を確認したいだけなので、印鑑証明書を提出すれば解決します。

✅ ケース②:押した印鑑が実は「代表者印」ではなかった場合

📌 解決策:「代表者印」を押した書面を再提出する

もし間違えて別の印鑑を使ってしまった場合は、改めて代表者印を押した書類を提出しましょう。

ただし、「代表者印」が 一般的な構造(丸い二重構造)ではない 場合は、印鑑証明書を添えて提出するとスムーズに処理されます。

✅ ケース③:押した印鑑は「代表者印」だが、特許庁の登録印鑑と違う場合

📌 解決策(方法は2つ)

  • 方法①:特許庁に登録されている印鑑を押した書面を再提出する
  • 方法②:「印鑑変更届」を提出し、特許庁の登録印鑑を「代表者印」に変更する

どちらの方法でも解決しますが、今後の手続きをスムーズにするためには「印鑑変更届」の提出をおすすめします。

✅ ケース④:押した印鑑が「代表者印」ではなく、かつ特許庁に登録されている印鑑も「代表者印」ではない場合

📌 解決策(方法は2つ)

  • 方法①:特許庁に登録されている印鑑を押した書面を再提出する
  • 方法②:「印鑑変更届」を提出し、登録されている印鑑を「代表者印」に変更する

このケースもどちらの方法でも対応可能ですが、今後の手続きのためには「印鑑変更届」を提出するのがベストです。

✅ ケース⑤:会社名を変更したが、代表者印を変えておらず、印鑑に彫られた社名が現在と異なる場合

📌 解決策(方法は2つ)

  • 方法①:「印鑑証明書」を提出する
  • 方法②:代表者印を現在の社名に変更し、「印鑑変更届」を提出する

このケースでも、「印鑑変更届」を提出することで、今後の手続きがスムーズになります。

ここがポイント

特許庁での印鑑の取り扱いにはルールがあります。

✅ 特許庁に登録されている印鑑と一致しないと、指令が出る
✅ 対応策としては「印鑑証明書の提出」または「印鑑変更届の提出」が基本
✅ 将来の手続をスムーズにするなら、「印鑑変更届」を活用するのがベスト

会社の印鑑は 適切に管理し、特許庁に登録されている印鑑を把握しておくことが重要です。

3.特許庁における印鑑の取り扱い【個人編】

令和4年1月1日以降は、実印と印鑑証明書を提出する必要があります。

特許庁で一度認証された場合、以降は実印による押印で足り、都度印鑑証明書を提出する必要はありません。

適当に押印すると、どの印鑑を使ったか分からなくなり、後でとてもこまります。しっかり実印を管理しましょう。

4.過去に特許庁に提出した書面に捺印した印鑑を忘れてしまったら

残念ながら、特許庁に電話して実印がどれか聞いても答えてくれません。自分は本人と名乗っても、特許庁では電話をかけてきた人が本人かどうか、調べる手段がないからです。

困った場合には、専門家である弁理士・弁護士におまかせください。

5.おまけ

(1)「印」と「印鑑」

印鑑とは「あらかじめ市町村長や銀行その他取引先などに提出しておく特定の印影。」「印。印章。」
(広辞苑より引用)

そのため、今回はいわゆる「はんこ」そのものを指す場合にも「印鑑」の表記を使っています。

(2)「朱文」と「白文」

みなさんの印鑑は押したときに文字が赤く出ますか?それとも周りが赤くて文字の部分が白く表れますか?

朱肉を付けて捺すと文字が赤く出る彫り方の印鑑を「朱文」、朱肉を付けたときに文字が白く浮き出る彫り方の印鑑を「白文」といいます。

日常生活やビジネスシーンで見かける印鑑はほぼ「朱文」でしょう。

一方「白文」は書画の落款などで見かけると思います。

6.まとめ

代表者印に限らず、印鑑を押すということは、その行為に会社やあなたの「意思」が入っているということをあらわします。

そのため、印鑑はしっかり管理して適切に使いましょう。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

無料商標調査

あなたの商標が最短1ヶ月で登録できるかどうか、分かります
識別性を判断することで、商標登録できるかどうか、分かります
業務分野の検討が、商標の価値を最大化します

コメントする