商標審査における実商品の取り扱い
商標登録の審査では、実際の商品自体は特許庁で確認されません。
例えば、化粧品を指定商品として商標「あおぞら」で出願した場合、特許庁の審査対象は商標「あおぞら」そのものです。指定された商品「化粧品」(第3類区分に該当)の商標法上の問題がないかどうかを調べます。
薬事法と商標法の関係
商標法には「薬事法に違反する商品は登録を認めない」といった条項はありません。
したがって、実際に販売されている商品が薬事法の要件を満たしているかどうかは、商標「あおぞら」の審査には影響しません。
「他の法律に違反しているかどうかを調べないなんて、特許庁の怠慢じゃないの?」と思われるかもしれませんが、重要なのは「審査の対象は願書に記載された商標に使用する指定商品であり、実際に販売されている商品は審査の対象外」という点です。
特許庁の審査官は、提出された願書に記載された商標が商標法の法律要件を満たしているかどうかを審査します。
実際に販売されている商品の現品を審査するわけではないため、その商品が薬事法の要件を満たしているかどうかは商標の審査対象外となります。
商標権と他の法律
仮に商標「あおぞら」が商標登録され商標権が発生し、その商標を使用して化粧品を販売した場合でも、販売した商品が薬事法に違反していれば、商標権が存在していても薬事法の罰則規定の適用を受けます。
商標権として特許庁に登録されている商標「あおぞら」は原簿に記載されているものです。
一方、薬事法に違反しているのは実際に販売された化粧品の現品です。両者は別のものであり、問題が発生するのは商標の使い方によるものです。
商標権が認められても、登録された商標の使い方によっては他の法律に違反し、罰則規定の適用を受けることがあります。
商標権を取得しても、他の法律を遵守することが求められます。商標権を取得すれば、他の法律をすり抜けられる、ということはないです。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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