ご当地キャラクターには、名称、イラスト、着ぐるみ、グッズなど複数の要素があります。商標登録を考えるときは、「キャラクター全体を一括して守る」と考えるのではなく、どの商標を、どの商品・サービスに使うのかを分けて考えます。
商標権は、登録した商標と指定商品・指定役務の組合せを基礎として効力が決まります。名称だけを登録した場合と、イラストを図形商標として登録した場合では、登録した商標の内容が異なります。
1. ご当地キャラクターを商標で守る範囲
ご当地キャラクターの名称やイラストは、商品やサービスの提供者を示す目印として使う場合に、商標登録の対象になります。たとえば、名称を菓子の包装、文房具、衣料品、観光イベントの広告に使うときは、それぞれの商品・サービスとの関係を検討します。
登録後に排除できるのは、原則として登録商標と同一または類似の商標を、指定商品・指定役務と同一または類似の商品・サービスについて使う行為です。登録した名称や絵を、用途を問わず全面的に独占できるわけではありません。
キャラクターのイラストには著作権が関係することもあります。ただし、著作権と商標権では保護の要件や範囲が違います。制作を外部へ依頼した場合は、著作権の帰属や利用許諾も契約で確認します。
2. 指定商品・指定役務の選び方
特許庁は、願書に記載する指定商品・指定役務を、出願商標を現在使用しているもの、または使用する予定があるものに限ると案内しています。「すでに販売中の商品だけ」ではなく、具体的な事業計画がある商品・サービスも対象です。
実際の事業から候補を洗い出す
- 地域の菓子や加工食品に名称・イラストを付ける
- 文房具、衣料品、ぬいぐるみなどのグッズを販売する
- 観光案内、広告、イベントの企画・開催に使う
- 第三者へ商品化を許諾する
このように用途を具体化してから、指定商品・指定役務の表示と区分を選びます。区分は商品・役務を分類する枠であり、区分番号だけで権利範囲が決まるわけではありません。願書に記載した具体的な指定商品・指定役務が基準になります。
着ぐるみを使うだけなら
自治体がイベントで着ぐるみを使う一方、着ぐるみ自体を商品として販売しないケースがあります。この場合、着ぐるみという物だけに目を向けるのではなく、キャラクターを使って提供するイベント、広告、観光案内、販売商品などを確認します。
反対に、着ぐるみの製造・販売や貸与を事業として行う予定があるなら、その商品・サービスも検討対象です。「着ぐるみは必ず指定する」「使うだけなら絶対に不要」と一律に決めず、事業内容に合わせます。
3. 名称・イラスト・着ぐるみの違い
名称を守る
キャラクター名を文字商標として出願すると、文字そのものを中心に審査されます。ロゴの書体や絵を変えても同じ名称を使い続ける予定がある場合は、文字商標を検討する理由があります。
イラストを守る
キャラクターの姿を図形商標として出願すると、願書に示した図形が登録対象になります。名称とイラストを組み合わせたロゴを出願する方法もあります。どの形で継続して使うのかを見て選びます。
立体的な形状を守る
キャラクター人形などの立体的形状も商標になり得ます。ただし、立体物であれば自動的に登録されるわけではありません。単なる商品の形状などとして識別力がないと判断される場合があり、出願する形状と使用実績を個別に検討します。
商標登録で問われるのは著作物としての「独創性」ではなく、商品・サービスの出所を識別する標識として登録できるかです。公益上の理由や先行商標との関係も審査されます。
4. 出願前に確認すること
- 誰が出願人となり、将来のライセンスを管理するか
- 文字、図形、結合商標、立体商標のどれを出願するか
- 現在使っている商品・サービスと、具体的な使用予定
- 同一・類似の先行商標がないか
- イラストの著作権やデザイン利用について必要な契約があるか
通常の商標登録願には、出願人、商標登録を受けようとする商標、指定商品・指定役務と区分などを記載します。指定が広い場合など、使用または使用予定を確認する資料の提出を求められることがあります。
キャラクターは、自治体、制作会社、デザイナー、商品化事業者など複数の関係者が関わりやすい題材です。出願前に権利者と運用責任者を決めておくと、後の許諾や更新で混乱を減らせます。
5. よくある質問
名称だけを登録すれば、イラストも守られますか?
名称の文字商標とイラストの図形商標は別の商標です。名称だけの登録で、イラストそのものが同じ範囲で登録されるわけではありません。実際の使用方法に応じて両方の出願を検討します。
まだ販売していない商品も指定できますか?
具体的に使用する予定がある商品・サービスは指定できます。確認を求められた場合に、事業計画書、カタログ、パンフレットなどで使用予定を説明できるよう準備します。
区分を多く取れば、キャラクターを全面的に守れますか?
区分を増やすだけでは十分ではありません。各区分で何を指定するか、実際の使用または使用予定があるか、相手の商品・サービスと類似するかが関係します。
似たキャラクターを見つけたら、すぐ差止めできますか?
登録商標、指定商品・指定役務、相手の表示と使用態様を確認して判断します。著作権、不正競争防止法など別の権利が関係することもあるため、外見が似ているという理由だけで結論は出せません。
登録後は何を管理すればよいですか?
更新期限、実際の使用、ライセンス先、類似表示の有無を管理します。長期間使っていない指定商品・指定役務は、不使用取消審判の対象となる可能性もあります。
参考:特許庁「商標制度の概要」、特許庁「商品・役務を指定する際の御注意」、特許庁「商標制度に関するよくある質問」
ファーイースト国際特許事務所
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