食品ロスと商標

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1.こんなに捨てられている

「食品ロス」という言葉を耳にしても、いまいち実感が湧かない方も多いかもしれません。実は、令和3年度には年間約523万トンもの“まだ食べられる”食品が廃棄されています。

これは国連WFP(世界食糧計画)が2021年に世界全体で行った食料援助量(約440万トン)よりも1.2倍ほど多い数字です。

「それってどれくらい?」と思いますよね。日本国民1人あたりに換算すると、“毎日ごはん1膳分”を捨てている計算になるそうです。

「ごはん1膳」と聞くと、急に“もったいない”気持ちが湧いてきませんか?

私自身もコンビニで弁当を買おうとした時、「販売期間が過ぎているのでお売りできないんです」と断られた経験があります。

ルールだから仕方がないとはいえ、お店の人も心苦しそうでした。その上、それが最後の1個だったので「欲しかったのにな…」と余計に残念に感じたものです。

私たちの日常に潜む「もったいない」は想像以上に多いかもしれません。

このままでは、実は自分自身も“食品ロス”に加担しているかもしれないと気づくきっかけになる話題ですよね。皆さんはどう思われますか?

2.「食品ロス」を減らすために、私たちができることは?

(1)政府の取り組み

実は、国も「食品ロス」を減らすために本腰を入れて動いています。内閣府・消費者庁・文部科学省・農林水産省・経済産業省・環境省の6府省庁が連携してつくる「食品ロス削減関係省庁等連絡会議」が中心となり、「食品ロス削減国民運動」を推進中です。

たとえば、

  • 事業者向け:販売期限や納品期限の緩和など、商慣習を見直す取り組み
  • 消費者向け:食べ残し防止策や期限表示についての分かりやすい情報提供

など、事業者と消費者の両方からアプローチすることで、食品ロス削減を目指しています。

(2)「ろすのん」とは?

ロスノンの登録商標

特許庁の商標公報より引用
  • 商標登録第5669697号
  • 権利者:農林水産省食料産業局長
  • 出願日:2013年10月2日
  • 登録日:2014年5月16日
  • 指定商品・役務:
    第29類「乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」
    第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,パスタソース」
    第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」
    第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告業,トレーディングスタンプの発行」
    第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」

この「食品ロス削減国民運動」にはシンボルキャラクターが存在します。その名も「ろすのん」。実はこのキャラクターは商標登録もされているんですよ。農林水産省の担当部署に申請し、認められると、

「私たちは食品ロスの削減に真剣に取り組んでいます!」

という意思表示として、「ろすのん」を使うことができるようになります。

もし今後、食品ロス削減の活動を行う際は「ろすのん」の活用も検討してみるといいかもしれませんね。シンボルを使うことで、周囲に分かりやすくアピールできます。

(3)消費者庁からの提案

「食品ロス」の約半分は家庭から出ているというデータがあります。つまり、私たち消費者一人ひとりが意識を変えない限り、食品ロスは大幅に減らせないのです。かといって、忙しい中で大きな負担がかかる取り組みは続きませんよね。

そこで政府や自治体、食品ロス削減に取り組むさまざまな団体が、日常生活の中で実践しやすいアイデアを発信しています。その中のひとつが宴会での食べ残し防止策です。日常生活の中で、つい料理を余らせがちな場面でも、ちょっとした工夫で無駄を減らせます。

  • 使いきれる分だけ買う
  • 家にある食材・食品をチェックしてから買い物に行く
  • 肉や魚の保存方法を工夫する
  • 調理で作りすぎない。余ったらリメイクを考える

こうした小さな心がけが、「まだ食べられるのに捨ててしまう」食品ロスを確実に減らしていきます。

3.まとめ

食品ロスの削減は、国や事業者だけでは解決しきれません。私たち消費者がちょっとした工夫をすることで、大きな変化が生まれる可能性があります。ぜひ、身近にできることからチャレンジしてみてくださいね。

もし、食品ロス削減に関する活動を広くアピールしたい方は、ぜひ「ろすのん」の利用についてもチェックしてみてはどうでしょうか?

「商標を上手に使って、社会のための活動を広める」これもまた、新しい食品ロス対策のカタチかもしれません。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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