「東京ミッドタウン日比谷」を商標的視点からみてみよう

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1.「東京ミッドタウン日比谷」とは

「東京ミッドタウン日比谷」は、地上35階、地下4階建ての大規模な複合施設で、延床面積は約18万9,000㎡にも及びます。

この施設はショッピングやグルメを楽しめる地下1階から7階までの商業エリアと、上層階に位置するオフィスエリアから成り立っています。

さらに敷地内には広場やテラスが設けられ、上層階からは隣接する日比谷公園を一望できるため、都会の中のオアシスのような雰囲気を感じられます。

また、商業フロアには日本初上陸のお店が多く出店しており、新しい体験が期待できる点も魅力の一つです。エンターテインメント要素も充実しており、4階と5階には13スクリーンを備えた映画館が入っているため、映画好きにもたまらないスポットです。

この場所の歴史を紐解く

現在の「東京ミッドタウン日比谷」の敷地には、かつて「日比谷三井ビルディング」と「三信ビルディング」というオフィスビルが立ち並んでいました。

日比谷三井ビルディング(1960年竣工)

竣工当時は「東洋一のオフィスビル」と呼ばれるほど規模と先進性を誇っており、三井銀行の本店が入居していた重要なビルでした。

三信ビルディング(1930年竣工)

この建物は、アールデコ調のデザインが特徴的で、曲線を多用した優雅な外観やアーケードが印象的なレトロモダンな様式を採用していました。

その独特の雰囲気は多くの人々の記憶に残っており、私自身も何度か足を運んだことがあります。オフィスビルとは思えないほど洗練された空間が、訪れるたびに心を惹きつけていました。

都会の進化と記憶の継承

「東京ミッドタウン日比谷」は、新しい都市文化を発信するランドマークでありながら、かつての歴史的な建築物の記憶を背景に持つ特別な場所です。

このような変遷は、都市が進化する中で過去の魅力をどう現代に生かすかを考えるきっかけにもなります。

<参考>
東京ミッドタウン日比谷サイト
https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/jp/

日比谷の歴史
https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/jp /about/history/

デザイン
https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/jp /about/design/

2.関係する商標はちゃんと出願(登録)されています。

「東京ミッドタウン日比谷」に関する商標は、しっかりと出願・登録されており、知的財産として保護されています。出願日や権利者情報を見てみると、これらの商標は、2007年に開業した「東京ミッドタウン(六本木)」に関連して出願されたものだと考えられます。

商標登録第4917072号

東京ミッドタウンの登録商標(その1)

特許庁の商標公報より引用
  • 商標登録第4917072号
  • 権利者:三井不動産株式会社 他
  • 出願日:2005年5月10日
  • 登録日:2005年12月22日
  • 指定商品・役務:
  • 第14類「身飾品」等
  • 第16類「印刷物」等
  • 第18類「かばん類」等
  • 第25類「被服」等
  • 第26類「頭飾品」等
  • 第35類「広告」等
  • 第36類「建物の貸与」等
  • 第37類「建設工事」等
  • 第38類「電気通信(放送を除く。)」等
  • 第39類「鉄道による輸送」等
  • 第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」等
  • 第43類「飲食物の提供」等
  • 第44類「美容」等
  • 第45類「ファッション情報の提供」等

商標登録第5317794号

東京ミッドタウンの登録商標(その1)

特許庁の商標公報より引用
  • 商標登録第5317794号
  • 権利者:三井不動産株式会社 他
  • 出願日:2009年6月5日
  • 登録日:2010年4月23日
  • 指定役務:
  • 第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

日比谷の商標デザインにも注目!

商標登録第6041861号

日比谷ミッドタウンの登録商標マーク

特許庁の商標公報より引用
  • 商標登録第6041861号
  • 出願人:三井不動産株式会社 他
  • 登録日:2018年5月11日
  • 指定役務:
  • 第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等
  • 第36類「建物の管理」等
  • 第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」等
  • 第43類「飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」等

「東京ミッドタウン日比谷」のロゴマークも商標として出願されています。このマークは、曲線を用いたデザインと緑を基調とした配色が特徴で、見る人にやわらかさや癒しを感じさせます。これにより、「都会の中のくつろぎ空間」というブランドイメージを視覚的に強く訴求しているのです。

このように、施設名やロゴマークが商標として登録されることで、施設そのもののブランド価値を守ると同時に、第三者による無断使用や模倣を防ぎ、独自性を確保する役割を果たしています。

3.「東京ミッドタウン日比谷」にはモデルがいる?

意外に思うかもしれませんが、「東京ミッドタウン日比谷」のデザインには、歴史的建物「鹿鳴館」からのインスピレーションが取り入れられています。

鹿鳴館とは?

「鹿鳴館」は1883年に完成した、レンガ造りの2階建て洋風建築です。当時の外務大臣である井上馨は、不平等条約の改正を目指す中で、西欧列強に対して「日本は西洋文化を理解し受け入れている」という姿勢を示す必要があると考えました。

その象徴として社交の場となる「鹿鳴館」を建設し、舞踏会や宴会を通じて外交の場として活用しました。

鹿鳴館といえば「舞踏会」のイメージが強いですが、実際にはホテルも併設されており、多目的施設として機能していました。

しかし、政府の期待とは裏腹に、外部からも国内からも高い評価を得ることはできなかったというのが歴史の教科書でよく知られるところです。

鹿鳴館から受け継がれたデザインの精神

「東京ミッドタウン日比谷」は、外観を「鹿鳴館」に似せたわけではありません。

しかし、「舞踏会で男女が優雅に踊るイメージ」から着想を得ており、全体に曲線を多用した柔らかなデザインを採用しています。

この曲線美が、都会の中でも「くつろぎ」や「優雅さ」を感じさせる空間づくりに貢献しているのです。

<参考>
一般社団法人千代田区観光協会サイト
鹿鳴館跡
http://www.kanko-chiyoda.jp/ tabid/741/Default.aspx

4.まとめ

「東京ミッドタウン日比谷」は、最新の複合施設でありながら、その根底にあるコンセプトからは、単なる利便性の追求だけではなく、この地に存在した歴史的建造物や街そのものへの深い敬意を感じ取ることができます。

歴史を振り返ると、かつてここには「日比谷三井ビルディング」や「三信ビルディング」、さらにはその前身として「鹿鳴館」があり、それぞれが時代ごとに異なる役割を果たしてきました。

それらの記憶を受け継ぎながら、新たなランドマークとして再生したのが「東京ミッドタウン日比谷」です。

この施設を訪れる際は、ショッピングやグルメ、映画を楽しむだけでなく、ぜひ日比谷という街の長い歴史にも思いをはせてみてください。

現代と過去が織りなす物語を感じることで、きっとより深くこの場所を楽しめるはずです。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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