商標の審査に通らないケースとはどのようなものでしょうか?特許庁に商標を出願しても、審査に通らないパターンは主に二つあります。
1. 他人の権利を侵害する商標
一つ目は、他人の商標権と抵触する商標の出願です。商標法には、他人の商標権に抵触するような商標は登録しないという規定があります。このため、既に登録されている商標と同じか似ている商標は、指定商品や指定役務が類似する範囲にある場合、審査に通る可能性は低いです。
2. 商品等の内容を説明しただけの商標
二つ目は、登録する商標として適切ではないものです。これは、商品やサービスを説明するだけの内容の商標です。例えば、サプリメントについて「ビタミンC入りサプリ」という商標は、商品の説明であり、審査に合格できない代表例です。
商品やサービスに付ける商標は、特定の商品やサービスを他と区別するためのものです。例えば、「元気な女の子」や「背の高い男の子」といった名前を自分の子供に付ける親はいないでしょう。
これは、そういった語句が一般的な説明に過ぎず、名前として適当ではないからです。同様に、商標も特定の商品やサービスを指し示す目印でなければなりません。
商品やサービスを一般的に説明するだけの語句では、お客さまがその商品に辿り着くことはできません。
例えば、ソニーの電池が優れていることが一般的に認知されていれば、お客さまは「ソニー」という商標のついた電池を購入します。
しかし、「電池」や「安い電池」といった表示だけでは、他の会社の電池と区別がつかず、売れる機会が減ってしまいます。
商品そのものの原料、品質、効能などを直接表示する商標は、商品説明に過ぎず、特許庁の審査に合格することはできません。
例えば、「安いドーナッツ」や「東京のドーナッツ」といった商標は、ドーナッツそのものの説明であり、誰もが使う必要のある言葉です。このような言葉を独占することはできず、特許庁もそのような登録を認めません。
ですので、特許庁に商標を登録する際には、単なる商品説明になっていないかをよく確認する必要があります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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