伊藤ハムが所有していた「女子高生」の登録商標はどうなった?

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もうずいぶん時間が経ってしまいましたが、以前、伊藤ハムが所有している「女子高生」という登録商標がネット等で話題になったことがあります。

1. 伊藤ハムが以前保有していた登録商標「女子高生」はどうなった?

残念ながら、現在では伊藤ハムの登録商標「女子高生」は権利更新されず、全ての伊藤ハムの登録商標「女子高生」の権利は失効しています。

現在では伊藤ハムではなく、別の会社が商標「女子高生」との商標権を保有しています。

ちなみに商標登録を行う際には商標のみを権利化するのではなくて、その商標を使用する業務範囲を指定する必要があります。

以前、伊藤ハムが「女子高生」について商標登録を受けていることから、「女子高生」という言葉そのものについて伊藤ハムが権利を独占しているような誤解があったようですが、これは正しくはありません。

商標権は、特許庁で登録を受けた際に指定されている商品・役務と関係がある範囲で権利が発生します。

既に権利が失効してしまった伊藤ハムの登録商標「女子高生」との商標は、伊藤ハムが登録の際に指定されている食料品の売買表示に絡んで「女子高生」という登録商標を使用することが制限されるだけで、これに関係なく「女子高生」という言葉を使用するのは自由です。

2. 女子高生という商標を登録して問題がないのか?

上記の説明の通り、現在の商標法では登録の際に指定されている商品役務に関連して権利が発生する制度になっていて、仮に女子高生という言葉に権利が設定されても、商売で食品を扱う際の業務上の表示として使用しなければ、商標権の侵害になりません。

ですので、一般の方が生活をする中で、会話の中で「女子高生」との言葉を使うとか、今年の全国の女子高生の入学数は何人になりましたとかの事実の報道も表記も会話も、商標権の侵害になることはありません。

女子高生との言葉が商標登録されても、一般の方が一般的な形で女子校生との言葉を使うところまでは商標権の効力は及ばないのです。

ところで伊藤ハムが「女子高生」について商標登録を受けたのは、20世紀の終わり頃の1999年12月のことであり、特段話題にならなかったと私は記憶しています。

それから20年間、伊藤ハムは商標権を保持して、2019年12月10日の権利満了日までに権利を更新せず、最終的に権利はなくなっています。

3. まとめ

商標権は10年毎に権利を更新することにより、いつまでも権利を保持することができます。考え方は自動車の運転免許と同じです。更新手続を忘れなければ、いつまでも商標権を保有することができます。

私としては伊藤ハムが「女子高生」という商標を用いて何をしたかったのか、是非聞いてみたいと思っていました。

残念ながらその機会は得られることなく、現在では伊藤ハムの登録商標「女子高生」は2023年7月時点でなくなった状態のままです。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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