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商標手続きの押印は必要?最新情報を解説!


商標登録の手続きで、書類にハンコを押す場面は年々減っています。商標登録出願そのものは、今では押印なしで完結します。一方で、商標権の売り買いなど大事な場面では、今も実印と印鑑証明書のルールが残る手続きがあります。

この記事では、押印が要らなくなった手続きと今も押印が残る手続きの区別、実印と印鑑証明書のルール、そして2025年4月に始まった印鑑証明書の提出省略の運用までを弁理士がご紹介します。

1. 商標書類に押印は必要?

商標に関する書類には、押印が必要なものと不要なものがあります。

コロナ禍をきっかけにリモートワークが広がり、稟議のたびに印鑑を押す日本の職場文化は見直しが進みました。特許庁も2020年12月に関係手続きの押印を大幅に廃止し、商標登録出願を含む多数の書類が、押印なしで提出できるようになっています。

一方で、書類の真偽確認という観点から、すべての手続きで押印をやめるわけにはいきません。商標権の持ち主が変わるような重要な手続きでは、なりすましや無断の名義変更を防ぐため、今も押印が残されています。

手続きの効率化が進む今だからといって、どの書類もハンコなしで出せるわけではない。この線引きを知っておくと、商標登録の手続きを迷わず進められます。

2. 押印が必要な商標手続きとは?ポイントを解説

押印が残っているのは、権利の帰属や本人の意思確認がからむ手続きです。代表的な3つの届け出から見ていきます。

出願人名義変更届

出願中の商標を他人や会社に移すときの届け出です。出願後に、出願人を別の人や企業に変更する場合に提出します。

注意したいのは、名前の単純な書き間違いの訂正はこの届け出の対象外という点です。また、他人名義で誤って出願してしまうと、出願人の地位を取り戻せなくなるおそれがあります。出願前に名義の正確さを必ず確かめてください。

氏名(名称)変更届

結婚や社名変更で、出願人自身の氏名や名称が変わったときの届け出です。

ビジネスネームや実在しない名前での出願は認められません。特許庁が本人確認を行った際に証明できないと、手続きが却下され、権利を失うおそれもあります。

住所(居所)変更届

引っ越しや本社移転で住所が変わったときの届け出です。

届け出を怠ると、特許庁からの通知が手元に届かなくなります。通知には返答の期限があるため、知らないうちに期限が過ぎ、申請が却下される事態も起こり得ます。引っ越しの後は早めに届け出てください。

特殊な商標手続きにも押印が残る

このほか、権利の移転やライセンスにかかわる専門的な手続きでも押印が残っています。誰の押印が要るのかもあわせて押さえておいてください。

  • 一般承継による商標権等の移転登録申請:相続、合併、会社分割で商標権を引き継ぐ手続き。利害関係者の承諾がからむ場合に押印を求められることがあります
  • 特定承継による商標権等の移転登録申請:商標権を第三者に売却する手続き。譲渡人が押印します
  • 登録名義人表示変更登録申請:商標権の発生後に権利者の氏名や住所が変わったときの手続き。出願中に行う氏名(名称)変更届とは別の手続きです
  • 質権設定登録申請:商標権に質権を設定する手続き。押印するのは質権設定者です
  • 専用使用権設定登録申請:独占的なライセンス(専用使用権)を設定する手続き。設定者が押印します
  • 通常使用権設定登録申請:非独占的なライセンス(通常使用権)を設定する手続き。設定者が押印します
  • 商標権分割申請登録:商標権を指定商品・役務ごとに分割する手続き。商標権者が押印します
  • 商標権分割移転申請登録:分割した商標権の一部を他人に譲る手続き。譲渡人が押印します

権利の移転や設定は、一度動かすと簡単には元へ戻せません。判断に迷う手続きは、弁理士に相談しながら進めると安心です。

3. 実印と印鑑証明書のルール

押印が残る手続きで使える印鑑には、決まりがあります。個人なら実印、法人なら実印か、実印により証明できる法人の代表者印です。

対象選択肢必要な押印提出書類
個人実印印鑑証明書(※1)
法人選択肢1:実印の場合実印印鑑証明書(※1)
選択肢2:法人の代表者印の場合実印により証明可能な法人の代表者印(※2)
  • 法人の実印
  • 印鑑証明書(※1)

(※1):印鑑証明書は、実印が登録された公的機関(市区町村など)から発行される証明書です。
(※2):法人の代表者印についても、実印として登録されている場合に限り使用可能です。

令和4年1月1日以降の重要な変更

特許庁では以前、あらかじめ届け出た印鑑(届け出印)でも手続きできました。この運用が改められ、令和4年(2022年)1月1日からは、印鑑証明が取得できる印鑑だけが使えるようになっています。

押印した書類は、印鑑証明書の記載と照合されます。届け出ている住所や氏名が印鑑証明書の内容と食い違っていると手続きが認められないため、結婚や引っ越しで変わった情報があれば、先に届け出を統一しておいてください。

2025年4月からは印鑑証明書の提出を原則省略可能に

令和7年(2025年)4月1日からは運用がさらに改められ、弁理士などの代理人が「押印された印鑑は実印である」と宣誓すれば、印鑑証明書の提出を原則省略できるようになりました。

押印そのものが不要になったわけではありません。それでも、依頼者が印鑑証明書を取り寄せて提出する手間は大きく減りました。なお、押印された印鑑に疑いがある場合には、従来どおり印鑑証明書の提出を求められます。

4. まとめ:正確な届け出内容が商標手続きの鍵

時間がたつと、どの住所で登録したか、どの印鑑を使ったかの記憶はあいまいになります。商標の手続きを滞りなく進めるために、次の2点を折にふれて確かめておいてください。

  • 届け出ている住所や氏名が、最新の内容と一致しているか
  • 印鑑証明が取得できる印鑑を使っているか

届け出内容の正確さは、商標権を守る土台です。名義や住所の変更が生じたら放置せず、その都度きちんと反映しておくと、いざ権利を動かす場面で慌てずに済みます。

5. 商標手続きの押印に関するよくある質問

Q1: 商標登録出願の際、押印は必要ですか?

A1: いいえ。商標登録出願の願書に押印は要りません。

Q2: 商標権の譲渡時に押印は必要ですか?

A2: 商標権の譲渡に関する手続きでは、譲渡証書に譲渡人の実印を押します。令和4年1月1日以降は印鑑証明書の提出も原則セットでしたが、令和7年4月1日からは、代理人の宣誓があれば印鑑証明書の提出を原則省略できる運用に変わっています。

Q3: 商標権の名義変更や住所変更の際、押印は必要ですか?

A3: はい。名義変更や住所変更の手続きでは、申請書に名義人の押印をします。令和4年1月1日以降は、実印または実印により証明できる法人の代表者印で手続きします。

Q4: 押印が不要となった手続きで押印して提出した場合、問題がありますか?

A4: 押印が不要となった手続きでは、押印して提出しても手続き上の問題はありません。もっとも、押印が不要な書類は、そのまま押印なしで提出するのが現在の標準です。

Q5: 押印を存続する手続きでは、どの印鑑を用意すればよいですか?

A5: 個人の場合は実印、法人の場合は実印または実印により証明できる法人の代表者印です。印鑑証明書の提出を求められる場面もあるため、あわせて準備しておくと確実です。

押印のルールは、令和4年の実印への一本化、令和7年の印鑑証明書の省略と、ここ数年で二度も大きく変わりました。商標権の譲渡やライセンスの登録を控えている方は、書類の準備に入る前に現行のルールを確かめるか、手続きに慣れた弁理士に任せてください。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘

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