商標手続きの押印は必要?最新情報を解説!

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(1)商標書類に押印は必要?

商標に関する書類には、「押印が必要なもの」と「不要なもの」があります。

コロナ禍をきっかけに、リモートワークの推進や対面業務の削減が進みました。従来、日本では稟議(承認手続き)の際に印鑑を押す文化が根強く存在していましたが、2020年以降、この習慣の見直しが本格化しています。

一方で、特許庁に提出される書類の真偽確認の観点から、すべての手続きで押印を廃止することは難しい状況です。そのため、重要な手続きについては、依然として押印が求められる場合があります。

ここがポイント

  • 押印不要の書類も増加中
  • ただし、一部の重要な手続きでは押印が必須

手続きの効率化が進む一方で、重要な書類には慎重な対応が求められます。商標登録をスムーズに進めるためにも、最新情報をチェックしましょう。

(2)押印が必要な商標手続きとは?ポイントを解説

商標の手続きでは、多くが押印不要になっていますが、一部の重要な手続きでは押印が求められる場合があります。ここでは、押印が必要な手続きを具体的に解説します。

1. 出願人名義変更届

内容

商標権を他人や会社に移す際に必要な手続きです。例えば、出願後に出願人を別の人や企業に変更する場合に提出します。

注意点

  • 名前の単純な誤り(例:タイプミス)は対象外
  • 他人名義で誤って申請すると、出願権を取り戻せなくなるリスクがあります

出願前に名義の正確性を必ず確認しましょう。

2. 氏名(名称)変更届

内容

結婚や社名変更などで、出願者自身の氏名や名称が変わった場合に行う手続きです。

注意点

  • ビジネスネームや存在しない名前で出願するのはNG
  • 特許庁が本人確認を行った際、証明できない場合は手続きが却下され、権利を失う恐れがあります

3. 住所(居所)変更届

内容

引っ越しや会社移転などで住所が変わった場合に必要な手続きです。

注意点

  • 住所変更を届け出ないと、特許庁からの通知が届かなくなることがあります
  • 特許庁の通知には返答期限があるため、期限内に手続きできない場合、申請が却下されるリスクがあります

引っ越し後は速やかに住所変更を届け出ましょう。

ここがポイント

押印が必要な手続きは、出願人名義変更届、氏名(名称)変更届、住所(居所)変更届の3つが代表的です。それぞれミスが許されない重要な手続きですので、事前に確認を徹底しましょう。

押印が必要な特殊な商標手続きとは?

商標手続きの中でも、専門的な手続きには押印が必要な場合があります。以下は、主な特殊手続きと注意点です。必要に応じて弁理士に相談しながら進めましょう。

1. 一般承継による商標権等の移転登録申請

内容

相続、合併、会社分割などにより商標権を引き継ぐ際の手続きです。

注意点

  • 利害関係者の許可が必要な場合、押印が求められることがあります

2. 特定承継による商標権等の移転登録申請

内容

商標権を第三者に売却する場合の手続きです。

注意点

  • 売買による移転時には、譲渡人の押印が必要です

3. 登録名義人表示変更登録申請

内容

商標権が発生した後、権利者の氏名や住所が変更になった場合の手続きです。

注意点

  • 出願中に行う「氏名(名称)変更届」と異なる点に注意してください

4. 質権設定登録申請

内容

商標権に質権を設定する際の手続きです。

注意点

  • 押印が必要なのは、質権設定者のみです

5. 専用使用権設定登録申請

内容

商標権に独占的なライセンス(専用使用権)を設定する手続きです。

注意点

  • 専用使用権設定者が押印する必要があります

6. 通常使用権設定登録申請

内容

商標権に通常使用権(非独占的ライセンス)を設定する手続きです。

注意点

  • 押印が必要なのは、通常使用権設定者のみです

7. 商標権分割申請登録

内容

商標権を指定商品や役務ごとに分割する手続きです。

注意点

  • 押印が必要なのは、商標権者(譲渡人)です

8. 商標権分割移転申請登録

内容

商標権を分割したうえで、その一部を他人に譲渡する手続きです。

注意点

  • 譲渡人の押印が必要です

ここがポイント

これらの特殊な手続きでは、権利の移転や設定内容が複雑になるため、押印の有無を確認することが重要です。

(3)印鑑証明が必要な点に注意

対象 選択肢 必要な押印 提出書類
個人 実印 印鑑証明書(※1)
法人 選択肢1:実印の場合 実印 印鑑証明書(※1)
選択肢2:法人の代表者印の場合 実印により証明可能な法人の代表者印(※2)
  • 法人の実印
  • 印鑑証明書(※1)

(※1):印鑑証明書は、実印が登録された公的機関(市区町村など)から発行される証明書です。
(※2):法人の代表者印についても、実印として登録されている場合に限り使用可能です。

令和4年1月1日以降の重要な変更

特許庁では、以前、届け出印のみで手続きが可能でしたが、令和4年1月1日以降は「印鑑証明が取得できる印鑑」のみが使用可能となりました。

注意点

1. 住所や氏名が印鑑証明と一致しているか確認

  • 印鑑証明に記載された内容と異なる場合、手続きが認められません
  • 例:住所や氏名に誤りや変更がある場合、統一が必要です

2. 早めの対応が重要

  • 手続きの遅延やトラブルを防ぐため、印鑑証明の内容に基づいて届け出を統一しましょう。

(4)まとめ

時間が経つと、どの住所を登録したかやどの印鑑を使用したかを忘れてしまうことがあります。令和4年1月1日以降、特許庁では実印の確認が必要となったため、以下の点を改めて確認しましょう。

確認ポイント

  • 1. 届け出住所や氏名が正確で最新か
  • 2. 印鑑証明が取得可能な印鑑を使用しているか

スムーズな手続きのために

手続きミスを防ぐため、定期的に特許庁に届け出た内容を確認し、正確性を保つことが重要です。適切な準備が商標権の円滑な運用につながります。

(5)商標手続きの押印に関するよくある質問

Q1. 商標登録出願の際、押印は必要ですか?

A1. いいえ、商標登録出願の際の押印は不要となりました。

Q2. 商標権の譲渡時に押印は必要ですか?

A2. 商標権の譲渡に関する手続きでは、譲渡証書に譲渡人の実印の押印が必要です。また、令和4年1月1日以降は、実印に加えて印鑑証明書の提出も求められるようになりました。

Q3. 商標権の名義変更や住所変更の際、押印は必要ですか?

A3. 商標権の名義変更や住所変更の手続きでは、申請書に名義人の押印が必要です。令和4年1月1日以降は、実印または実印により証明可能な法人の代表者印での手続きが求められるようになりました。

Q4. 押印が不要となった手続きでも、押印して提出した場合、問題がありますか?

A4. 押印が不要となった手続きにおいて、押印して提出しても手続き上の問題はありません。ただし、押印が不要な手続きでは、押印なしで提出することが推奨されます。

Q5. 押印を存続する手続きで、令和4年1月1日以降でも必要な印鑑は何ですか?

A5. 令和4年1月1日以降、押印を存続する手続きでは、個人の場合は実印、法人の場合は実印または実印により証明可能な法人の代表者印が必要となりました。これらの印鑑に対応する印鑑証明書の提出も求められます。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

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