1. SKE48の商標権は誰が持っているのか
現在の運営会社とは異なる会社名で出願されている理由
SKE48というグループ名が商標登録されていることをご存知でしょうか。
実は、SKE48の商標登録の出願人を確認すると、現在の運営会社とは異なる会社名が記載されています。これには理由があります。
SKE48の商標登録の詳細を確認すると、登録商標は「SKE48/エスケーイーフォーティーエイト」として、商標登録第5407324号で登録されています。出願日は2010年9月16日、登録日は2011年4月22日となっており、出願人は株式会社ピタゴラス・プロモーションとなっています。
現在SKE48を運営している会社とは異なる名前が記載されていることに驚かれるかもしれません。
これは出願当時の状況を反映したものであり、法的には問題のない正当な手続きによるものです。
2. 商標権の出願時点での正当性
ピタゴラス・プロモーションが出願した背景
2010年の商標出願時点では、株式会社ピタゴラス・プロモーションがSKE48の正式な運営会社でした。商標権は、その商標を使用する権利を持つ者が出願するのが一般的であり、当時の運営会社が出願したことは適切な手続きです。
その後、SKE48の運営体制は変化し、株式会社AKSが運営を引き継ぎました。さらに2021年には、株式会社ゼスト(旧・株式会社SKE)が運営を担当することになりました。これらの運営会社の変更に伴い、商標権も適切に移転されています。
商標権の移転手続きとその重要性
商標権は、特許庁の商標原簿に登録されることで正式に移転が完了します。単に当事者間で契約を締結するだけでは、商標権の移転は法的に完了しません。この点は見落としがちですが、商標権を確実に移転するためには、特許庁への移転登録手続きが必須となります。
SKE48の商標権も、運営会社の変更に合わせて、ピタゴラス・プロモーションから株式会社AKSへ、そして現在の株式会社ゼストへと順次移転登録が行われています。これにより、現在の運営会社が正当な商標権者として、SKE48の名称を使用する権利を保有しています。
3. 商標権がなければSKE48の名称は使えないのか
商標権者以外がSKE48を使用する場合の条件
商標法上、登録商標を使用できるのは商標権者本人か、商標権者から許可を得た者に限られます。これは商標権の独占的使用権という重要な権利です。
仮に商標権が前の運営会社に残っていた場合でも、その会社から使用許諾を受けていれば、現在の運営会社はSKE48の名称を合法的に使用できます。商標権の所有と使用許諾は別の概念であり、適切なライセンス契約があれば、商標権者以外でも登録商標を使用することが可能です。
マンションの所有権と賃貸権に例えると
商標権の仕組みを理解しやすくするため、マンションの権利関係に例えて説明します。
商標権を前の会社から現在の会社に移転した場合は、マンションの所有権を売却したケースと同じです。現在の会社が大家となり、SKE48のメンバーがそのマンションで活動している状態です。大家である現在の会社の管理下で、SKE48の名称を使用することに問題はありません。
一方、商標権が移転されず使用許諾のみの場合は、マンションを賃貸している状態に相当します。前の会社が大家として所有権を持ち、現在の会社は管理会社として運営を担当します。この場合でも、大家の許可を得て適切に管理されているため、SKE48の名称使用に法的な問題は生じません。
4. まとめ
SKE48の商標権は、現在の運営会社である株式会社ゼスト(旧・株式会社SKE)が正式に保有しています。出願時点での運営会社と現在の運営会社が異なることは、時間の経過に伴う運営体制の変化を反映したものです。
商標権の移転は特許庁への登録手続きを経て正式に完了しており、現在の運営会社が適法にSKE48の名称を使用しています。過去の出願情報だけを見ると誤解を招く可能性がありますが、現在の登録状況を確認すれば、商標権に関する問題は存在しないことが分かります。
商標権の仕組みを正しく理解することで、SKE48のような有名グループの名称がどのように法的に保護され、管理されているかが明確になります。
SKE48の商標権は適切に管理されており、ファンの皆様は安心して応援を続けることができます。
ファーイースト国際特許事務所所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247