数年後、抹消されることも‐無効審判

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1.過誤登録と無効審判の制度

登録商標は、特許庁の審査官の審査を経て、拒絶の理由がないと判断された商標です。

そのため、商標登録は適法なものであるのが通常であるものの、審査官は大量の出願を審査しているため、違法な過誤登録も生じるのは避けられないのが実情です。

そうした過誤登録を是正するため、登録異議の申立制度とは別に無効審判の制度が設けられています。
無効審判の審決により無効とされた商標登録は原則初めから存在しなかったものとみなされます。

登録異議の申立ての件数は、2017年(平成29年)では、426件であるところ、無効審判の請求の件数は92件であり、それほど多いわけではありません。

事業者のうちブランドを重視している者は、商標の出願状況をウォッチングしており、出願中の情報提供や登録異議の申立てにより、過誤登録を防止・抹消しようとしています。

そのため、無効審判の請求がなされるケースは、後日、過誤登録にたまたま気付いたケースが主なものとなります。

また、登録異議の申立てにおいて、取消しが認められなかった場合、上訴ができないところ、あくまで登録抹消を目指して、無効審判を請求するケースもあります。

また、無効審判の請求により、商標登録を無効とできれば、商標権も消滅するところ、商標権侵害の警告を受けた被疑侵害者が商標権者に対する反撃として無効審判を請求することもあります。

商標権が消滅すれば、当然、商標権侵害を主張することができなくなります。

商標権者が裁判所に民事訴訟を起こす一方、被疑侵害者が特許庁に無効審判を請求すれば、商標登録の有効性につき裁判所と特許庁との間において判断に矛盾が生じる事態も生じ得ます。

無効審判の制度は、公益上必要なものですが、商標権者の立場からすると、負担に感じるのも致し方ないところです。

2.無効審判の制度

(1)無効審判制度の趣旨

無効審判の制度は、相対立する当事者の存在を前提としたものです。

当事者に商標登録の有効性につき争いがある場合、無効審判の制度により、特許庁が商標登録の有効性を判断します。

本来、商標登録の有効性の判断は、裁判所が判断するものですが、商標登録の有効性の判断には、専門的な知識を必要とするところ、まずは特許庁に審理させることが適当であると考えられているためです。

無効審判の審理期間は、概ね9~11ヶ月程度とされています。

(2)手続のおおまかな流れ

ア 審判請求

無効審判の請求は誰でも可能というわけではなく、利害関係人のみ可能です。

また、商標登録を無効とする無効原因は複数あるものの、商標登録後5年が経過すると、一定の無効原因を理由として、商標登録を無効とすることはできなくなります。権利関係の安定が要請されるためです。

イ 請求書副本受領と答弁書の提出

商標権者には審判請求書の副本が送付されます。

無効審判が請求されると、商標権者への審判番号通知などを通して、商標権者は無効審判の請求を先行して把握することができます。

他方、無効原因や証拠を把握するには、審判請求書の副本の送付を待つ必要があります。

ただ、無効審判の請求に先立って、商標権者と請求人との間に交渉が持たれることがあるため、無効原因をある程度予測できる場合もあります。

商標権者は、審判請求書発送の日から、原則40日以内に答弁書を提出する必要があるところ、無効原因をある程度予測できる場合には、証拠収集に着手するなど、早急に対応するのが望ましいといえます。

ウ 本案審理

無効審判の審理は口頭審理を原則とし、審理は公開の審判廷において行われます。

ただ、現在の実務は書面審理によるのが一般的であり、口頭審理はほとんど開かれないのが実情です。書面審理による場合、書面審理通知書が当事者に送付され、審理の結果、審決に適当となれば、審理終結通知書が送付されます。

エ 審決

審決により無効審判の手続は終了します。

審決が請求を不成立とするものであれば、商標登録は維持されます。

他方、審決が商標登録を無効とするものであれば、無効審決が確定したとき、商標登録は初めから存在しなかったものとみなされます。

オ 出訴

審決に不服がある場合、知的高等裁判所に審決取消訴訟を起こすことになります。

審決取消訴訟は、審決の謄本送達日から原則30日以内に起こす必要があり、出訴の要否につき、速やかに検討しなければなりません。

3.費用

無効審判が請求された後、弊所に速やかにご依頼いただいた場合、費用は概ね以下のとおりです。また、コピー代など実費のご負担も生じます。

  • 審判代理人受任手数料:200,000~円
  • 答弁書作成手数料  :150,000~円
  • 成功報酬      :100,000~円

事件が複雑であったり口頭審理に対応したり書面を複数回作成したりする場合には、ご負担いただく費用は変わります。個別にお問い合わせいただければ幸いです。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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