数年後、あなたの商標が消える?無効審判の知られざる実態

無料商標調査 次回定休日2/24

ブランドを守る上で重要な「無効審判」制度について今回取り上げます。実は、これまで大切に育ててきた商標も、知らぬ間に無効とされるリスクがあるのです。

1.商標登録は完璧ではない?—過誤登録と無効審判の仕組み

1-1. 登録は厳正な審査を経ているはず…

登録された商標は、特許庁の審査官が「拒絶理由がない」と判断したものです。しかし、膨大な出願数を一人の審査官が処理する実務の中では、誤って登録されてしまうケースも避けられません。

1-2. 当事者間の紛争を解決する「無効審判」制度

特許庁の商標審査官の判断が正しいかどうかについては、教科書的な事例を除き、判断は専門家の間でも割れるのが普通です。権利者とそれ以外の者の見解の相違を修正するため、登録異議申立てとは別に「無効審判」という制度が設けられています。無効審判で登録が取り消されると、その商標は初めから存在しなかったものとみなされるのです。

1-3. 実際の件数から見る現状

2023年のデータでは、登録異議申立件数が304件に対し、無効審判の請求は96件と、決して多くはありません。しかし、ブランドを守る事業者は常に出願状況をウォッチし、異議申立てなどで誤登録防止に努めています。それでも、後になって「こんな登録があったのか」と気づくケースも散見されます。

1-4. 異議で認められなかったら…

異議申立てで取消が認められなかった場合、上訴ができないため、再度登録抹消を狙って無効審判に踏み切るケースも存在します。

2. 無効審判がもたらす衝撃—商標権の消滅とその影響

無効審判で商標登録が取り消されると、その商標に基づく権利は消滅します。これにより、例えば商標権侵害の警告を受けた相手が、逆に無効審判を請求するという事態も起こり得るのです。商標権が消えれば、侵害を主張する根拠もなくなってしまいます。

さらに、商標権者が裁判所に訴えを起こしている一方で、被疑侵害者が特許庁に無効審判を請求すれば、裁判所と特許庁で判断が分かれるという混乱も。公益のために必要な無効審判制度ですが、商標権者にとっては大きな負担となる場合もあるのです。

3. ここがポイント

商標登録は厳格な審査を経た正当なものですが、大量の出願の中で誤登録が発生するリスクは否めません。無効審判制度は、そんな過誤登録を正すための重要な仕組みであると同時に、場合によってはブランド戦略に大きな影響を与える可能性も。すべての事業者やブランド担当者は、この制度の存在とそのリスクをしっかりと把握し、常に最新の情報をウォッチすることが求められます。

2.無効審判制度とは?

2-1. ● 制度の趣旨

無効審判制度は、商標登録の有効性について「こうすべきではない」という相反する意見がある場合に、特許庁がその正否を判断する仕組みです。もともとは裁判所が判断する事項ですが、専門的な知識が必要なため、まずは特許庁で審理するのが適当とされています。審理にかかる期間は、2023年度実績で平均だいたい12ヶ月ほどです。

2-2. 無効審判の手続きの流れ

2-2-1. 審判請求

誰が申し立てるのか?

無効審判を申し立てられるのは、関係する利害関係人に限られます。

タイムリミットは?

商標登録から5年経過すると、一定の理由に基づく無効審判ができなくなります。これは、権利関係の安定を図るためです。

2-2-2. 請求書副本の受領と答弁書の提出

通知の流れ

無効審判が請求されると、まず商標権者に対して審判請求書の副本が送付され、審判番号などの通知が行われます。これにより、商標権者は早期に事態を把握できます。

対応の重要性

請求書の副本が届いた後、商標権者は原則として40日以内に答弁書を提出しなければなりません。事前に請求人との交渉が行われ、無効理由が予測できる場合は、迅速な証拠収集が求められます。

2-2-3. 本案審理

審理の方法

本来は公開の審判廷で口頭審理が行われることになっていますが、実際には書面審理が主流となっています。書面審理の場合、通知書を受け取ってから審理が進み、結果に応じた通知が送付されます。

2-2-4. 審決

手続きの最終局面

審決により無効審判手続は終了します。

  • 請求不成立の場合:商標登録はそのまま維持されます
  • 無効と判断された場合:審決が確定すると、商標登録は初めから存在しなかったものとみなされます

2-2-5. 出訴

審決に不服申し立ては可能か?

審決に不服がある場合、知的高等裁判所に対して審決取消訴訟を起こすことができます。

訴訟提起の期限

審決の謄本が送達された日から原則30日以内に訴訟を提起しなければならないため、速やかな判断が必要です。

2-2-6. ここがポイント

無効審判制度は、商標登録の有効性に関する争いを解決するための重要なメカニズムです。専門的な知識が求められるこの手続きは、商標権者にとって大きなリスクにもなり得ます。自身の商標戦略を見直す際は、無効審判制度の仕組みや手続きの流れをしっかり把握しておくことが大切です。

商標登録をしていても、将来的に「無効審判」によって登録が抹消される可能性があると聞くと、驚かれるかもしれません。実際、事案によっては数年後に商標が消えてしまうリスクも否定できません。そこで、万が一の時に備えて、私たちがどのように対応し、どのような費用が発生するのかを詳しくご説明いたします。

3.無効審判請求後の迅速な対応がカギ!

無効審判が請求された場合、早期に弁理士・弁護士の専門家へご相談いただくことが重要です。弊所では、スムーズな対応を実現するために、以下のような費用体系でサービスを提供しております。なお、コピー代などの実費も別途発生いたしますので、あらかじめご了承ください。

審判代理人受任手数料: 約200,000円~

→ 専門家があなたのケースを担当する際の基本料金です。

答弁書作成手数料: 約150,000円~

→ 必要な書面を作成し、審判手続きに臨むための料金となります。

成功報酬: 約100,000円~

→ 結果に応じた報酬として、成功報酬が発生いたします。

事案の複雑さに応じた柔軟な対応

もちろん、ケースによっては事情が異なり、口頭審理が必要になったり、書面を何度も作成する場合もございます。その場合、費用が変動することもありますので、詳しい状況に応じて個別にご相談いただければと思います。

まとめ

商標の無効審判は、将来的に思わぬリスクとして襲いかかる可能性があります。しかし、弁理士・弁護士の専門家による迅速かつ適切な対応で、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。もしも無効審判について不安や疑問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。あなたの大切な商標を守るために、全力でサポートいたします!

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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