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花びんの商標にガラス製容器は入っていますか?指定漏れと取り直し費用

1. 花びんの商標に、ガラス製容器も入っていますか

花びんのブランド名を商標登録するとき、願書で「花瓶」を見つけたところで確認を終えていませんか。同じ第21類にあるガラス製容器も出願時に併記していれば、区分数が増えないため、特許庁の出願料・登録料は増えません。ところが、その指定を落としてから別に取り直すと、1件1区分・登録料10年分一括納付の場合、特許庁料金だけで44,900円が必要になります。代理人に依頼する手数料は別です。

同じ店、同じブランドで売っていても、願書に書いていない商品には権利が及びません。最初の願書に何を書いたかが、その後の保護範囲を決めます。費用を払って登録した後に気付く前に、花びん以外の指定を外してよいのか、担当者に確かめてください。

当事務所は、2010年から2020年までの登録について、花びんを指定しながらガラス製容器を指定していない商標権を調べました。2021年の旧稿で紹介した集計と図を残し、指定漏れが起きる仕組み、取り直し費用、担当弁理士への確認事項を説明します。

2. 同じ第21類でも、花瓶とガラス製容器は別の商品です

ガラスでできた花びんを見れば、日常語では「ガラス製の容器」と考えるのが自然です。しかし、商標の指定商品は、素材ではなく用途と取引の実態で分類されます。日常語の「ガラス製容器」は、花びんと包装用の瓶を一つにまとめる商品表示ではありません。

特許庁の類似商品・役務審査基準では、第21類の「ガラス製包装用容器」と「花瓶」は別の類似群に置かれています。ガラス製包装用容器は18C02、花瓶は20C02です。同じ区分に載っていることと、同じ指定商品に含まれることは別です。出願する容器の用途に合わせて、実際に記載する商品名を確認してください。

上位の商品表示に下位の商品が含まれる関係なら、下位の商品名を一つずつ列挙しなくても指定に含まれます。花瓶とガラス製包装用容器はこの関係にないため、一方を書いただけでは他方は指定に入りません。旧稿の「ガラス製容器を指定すれば花びんがついてくる」という説明は、包含関係がある場合の話です。

「似た商品だから、いざとなれば権利を主張できる」と期待して、願書から隣の商品を落とすのは誤りです。類似群が違う商品に権利を主張するには、商標と商品の類似性を紛争の場で争うことになります。出願前に書いておけば要らなかった負担です。

3. 出願後の追加では、最初の日付に戻れません

出願前なら、同じ区分の商品の併記によって特許庁料金が増えることはありません。出願後は、当初の指定範囲を広げる商品追加は要旨変更となり、補正では認められません。指定商品を削る補正や、当初の範囲内で表示を明確にする補正はできますが、書き忘れた商品を後から足すことはできません。

例えば、花びんだけを指定して出願した後に、ガラス製包装用容器にも同じブランドを使いたくなったとします。その商品が当初の指定に含まれていなければ、追加の出願になります。追加分の出願日を、花びんの出願日にさかのぼらせることはできません。その間に第三者が同じ名前で出願していれば、その第三者が先願になり、追加分は登録できません。

この制限がなければ、先に出願して日付だけを確保し、競合の新商品や名称が発表された後で権利内容を入れ替えることができてしまいます。先願主義の下で出願時の内容が重視されるのは、そのような後出しを認めないためでもあります。

商標権は審査を経た設定登録で発生し、出願日が先願の順位を決めます。出願の時点で指定商品を確認するのは、その日に確保する範囲を決める作業だからです。

4. 2010年から2020年の集計で見えた指定の偏り

次の図は、当事務所が旧稿で掲載した、花びんを権利範囲に含みながらガラス製容器を含まない商標権数の推移です。調査期間は2010年から2020年までで、旧稿では2020年に指定漏れと考えられる登録が多く見つかったことを問題にしました。

ガラス製容器の権利が抜け落ちている、花びんを権利範囲にふくむ商標権数の推移を表したグラフ

花びんだけを売る事業もあります。しかし、ガラス雑貨や容器を扱う店なら、花びん以外に同じブランドを使う場面があります。願書を作る際にその確認をした上で外したのか、「花瓶」が見つかっただけで作業を終えたのか。登録件数の裏にあるのは、この違いです。

図の画像と調査期間は旧稿のものです。無料で併記できた商品が外れている登録がこれだけあるのですから、自分の願書ではどうだったかを確かめてください。登録証が届いたことと、必要な商品の指定を検討し尽くしたことは別です。

5. 2020年以降に増えた背景をどう考えるか

当事務所は、2020年を境にこうした狭い指定が増えた背景に、権利範囲を絞って審査を通す実務の広がりがあると考えています。お客さまには早く登録を得たい、拒絶理由への対応を避けたいという希望があります。受任側にも、拒絶査定になって費用を回収できなくなる事態を避けたいという事情があります。

指定を狭くすれば、先行する他人の商標との抵触を避けやすくなる場合があります。その結果、登録に進むことを優先し、同じ区分の隣の商品まで調べて提案する作業が省かれていないか。当事務所が問題にしているのは、この順序です。登録を早く得ても、花びん以外の商品でブランドを守れなければ、お客さまの目的を十分に果たせないからです。

広告で依頼を集め、経験の浅い担当者や外注先が定型の処理を大量に進める体制では、商品一覧から一つ見つけて終える誤りが繰り返されます。外注費を抑えれば受任側に残る利益は増えますが、担当弁理士の確認を省いた分の負担は、依頼者に回ります。

指定を外す判断に理由があるなら、その理由を依頼者に説明しなければなりません。「早く登録になりました」という報告だけでは、外した商品に権利が及ばないことは伝わりません。

旧稿には、当時の審査に1年以上かかるため、登録の集計が過去の出願実務を遅れて映しているという指摘もありました。2021年執筆時の審査期間の話です。集計に現れるまで待たず、これから出す願書を確認してください。

6. 取り直しの44,900円と、空白期間の負担

1件1区分を改めて出願すると、特許庁への出願料は3,400円に1区分分8,600円を加えた12,000円です。登録料を10年分一括で納める場合は32,900円で、合計44,900円になります。代理人に依頼する場合の手数料、紙の出願で必要になる電子化手数料などは別途かかります。

同じ第21類の商品を最初から併記しても、区分数が変わらなければこの追加の特許庁料金は生じません。代理人の手数料は依頼先の料金体系によります。「商品が一つ増えるから特許庁料金も増える」という制度ではないのです。

旧稿では、取り直しを「倍額の費用」と表現していました。特許庁料金は同じ第21類にもう一度払うので二重払いです。代理人手数料や納付方法で総額は変わりますが、最初の願書に含めていれば不要だった別出願の費用と時間が発生することに変わりはありません。

登録のない範囲で商品を売り始めれば、第三者の登録と衝突します。相手の登録内容、商標と商品の類似性を調べ、交渉することになります。最初に確認しておけば要らなかった調査や交渉を、事業が動き始めてから行うのは負担です。

追加の依頼をすれば、再び手数料を受け取るのは受任側で、支払うのはお客さまです。説明を受けずに外された商品なら、追加費用を払う前に、当初どのような確認をしたのかを尋ねてください。

7. 販売、ライセンス、売却にも指定範囲が響きます

花びんの販売でブランドが知られるようになり、同じ名前のガラス製容器を他社が販売したらどうでしょうか。その容器が指定商品にも類似商品にも当たらなければ、花びんの商標権だけを根拠に販売を止めることはできません。不正競争防止法など別の保護をあてにして指定を落とすのは遠回りです。

「この名前をガラス製容器にも使わせてほしい」と取引先から頼まれても、持っていない範囲の商標権を許諾することはできません。権利の裏付けのない使用契約は、第三者の登録があれば取引先ごと巻き込みます。

商標権は有償で譲渡することもできます。買い手が展開したい商品が指定から外れていれば、追加取得の費用と第三者の権利を調べる負担を織り込んで値段が付きます。旧稿の土地の例えも、必要な範囲が欠けると利用や処分がしにくいという趣旨です。

今販売している花びんだけでなく、そのブランドで隣の商品へ進む可能性を、出願時に担当者と話してください。登録後に売上が伸びてから確認するより、願書を出す前に併記しておく方が、費用面でも選択肢の面でも有利です。

8. 不使用取消を理由に、隣の商品を外してよいか

「今使っていない商品を入れると、不使用取消審判が心配です」と説明されることがあります。しかし、それは花びんの隣の商品を最初から外す理由になりません。不使用取消は、継続して3年以上国内で使われていない登録商標について、指定商品・指定役務ごとに請求される制度です。

使用している花びんを含む複数の指定商品が、一つの請求の対象になった場合、その対象のいずれかについて、審判請求の登録前3年以内の適切な使用を証明できれば、その請求による取消しを防げます。使っている大切な権利まで攻撃されたなら、販売記録やカタログなどで守ります。攻撃されたのですから、防戦は当然です。

一方、未使用のガラス製容器だけが請求の対象なら、放置すればよいだけです。失うのは請求されたその部分だけで、花びんの登録はそのまま残ります。使っていない商品を失っても事業に実害はなく、反論しなければ代理人費用もかかりません。

将来使う隣の商品を最初から外し、後から44,900円と手数料を払って取り直すことと、未使用部分への請求を放置することを比べてください。追加費用が生じるのは前者だけです。取消審判という言葉だけで最初の併記を諦めさせる説明は、権利を狭くして審査を通す側の都合です。

9. 願書に記載された担当弁理士に確認してください

出願前に、実際に提出する願書を見せてもらい、担当弁理士に「花びん以外に、同じ区分で併記できる商品は何か」「ガラス製容器を外す理由は何か」と尋ねてください。受付担当者の説明だけでなく、専門家本人が商品の関係と権利範囲を確認したかが要点です。

出願代理人の氏名は願書に記載されます。現在の商品、これからの販売、ライセンスの予定を伝え、どの記載に反映したのかを確認しましょう。未使用の商品を外したなら、取消審判への心配だけが理由なのか、先行商標との具体的な抵触があるのかまで尋ねてください。

担当弁理士への連絡を求めてもつないでもらえない場合は、氏名と連絡方法を確認してください。日本弁理士会の登録情報で確認できます。依頼内容を専門家に確認できないまま提出を急ぐ必要はありません。

弁理士等の資格のない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として出願代理を行うことは弁理士法で禁じられています。誰が代理人として責任を持ち、誰が願書を確認するのかを確かめてください。

提出後は、控えの指定商品が説明された内容と一致しているかも確認します。登録になった後の報告書だけを保管するのではなく、商品を選んだ理由が分かるやり取りも残しておくと、後の追加費用の話を検討しやすくなります。当事務所へのご相談は相談フォーム、費用の説明は商標登録の費用ページをご覧ください。

10. よくある質問

Q1. 花びんとガラス製容器は、同じ第21類なら一緒に保護されますか?

されません。区分が同じでも、花瓶とガラス製包装用容器は別の商品表示で、類似群も違います。併記できる商品を最初から記載すれば、権利範囲を後から争う負担がなくなります。

Q2. まだ登録前なら、書き忘れた商品を足せますか?

足せません。当初の指定範囲を広げる補正は認められず、別の出願になります。書き忘れが分かったら、すぐに追加の出願を担当者に相談してください。出願日はその日からです。

Q3. 取り直し費用の44,900円には何が含まれますか?

1件1区分の出願料12,000円と、登録料10年分一括32,900円です。代理人手数料などは含みません。同じ区分で出願前に併記しておけば、区分数が増えないので、この別出願の特許庁料金を避けられます。

Q4. 不使用取消審判が心配なので、花びんだけにすべきですか?

外す理由になりません。不使用取消審判は商品ごとに請求されます。使っている花びんへの請求は使用証明で守り、未使用のガラス製容器だけへの請求は放置すればその部分が消えるだけで、実害も追加費用もありません。

Q5. グラフに該当する登録なら、担当者のミスですか?

花びん以外の商品に、本来なら追加料金なしで追加できるものが存在します。弁理士と一度も直接相談することなく、機械的に処理されていることはないですか?出願前に、個別に直接弁理士に再度確認することが重要です。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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