小売役務商標とは?初心者にも分かりやすく解説!

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1.「小売役務商標」とは何か?

「小売役務商標」とは、簡単に言えば商品をそろえて提供するサービスのことを指します。

日常生活でよく目にする以下のような業態が含まれます:

  • デパートやコンビニエンスストア
  • セレクトショップ
  • アマゾンや楽天といったネット通販サービス

これらのサービス全てが「小売役務商標」に該当します。小売役務商標には、卸売に使用される商標も含まれます。

2.おすすめポイント

商標法では、「小売役務商標」は第35類に分類されます。第35類には、次のような法定表記が準備されています:

被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

例:服や靴を販売するお店

この他にも、具体的なビジネス内容に応じて柔軟に記載をカスタマイズできます。例えば:

ダウンロード可能な映像の小売又は卸売

デジタルコンテンツの販売サービスなど

ここがポイント:自分のサービスに合った表記を選ぼう!

「小売役務商標」は広範なサービスをカバーしていますが、自分のビジネスに最適な表記を選ぶことが商標登録成功のカギです。

オンラインでもオフラインでも、「何を、どのように提供しているか」をしっかり整理して申請に臨みましょう。

3.小売役務商標の魅力的なポイントとは?

おすすめポイント

小売役務商標を商標登録する最大のメリットは、「1区分の登録費用で広い範囲をカバーできる」ことです!

その理由を詳しく解説しましょう。

商標権の効力は「似たもの同士」にも及ぶ!

商標権は、登録した商品や役務(サービス)だけでなく、それに似た商品や役務にも効力が及びます。

具体例を挙げると:

  • 第25類「被服」(服やアパレル商品)
  • 第35類「被服の小売役務商標」(服を販売するサービス)

これらは、同一ではないものの「似ている」ものとして扱われます。

具体例:AさんとBさんのケース

例えば、Aさんが商標「あいうえお」を第35類「被服の小売役務商標」で登録した場合、以下のような状況になります:

Bさんが「あいうえお」を第25類「被服」で商標登録しようとしてもNG!

商標権の効力が「似たもの同士」にも及ぶため、審査に合格できず、出願が拒絶されます。

一方で、Aさん自身が第25類「被服」を追加で出願することは可能です。

ここがポイント:効率的な保護が可能!

この仕組みにより、小売役務商標を商標登録することで、実質的に関連商品まで広く保護することができます。

例えばアパレルビジネスなら、小売役務商標を登録するだけで、服そのもの(商品)の商標まで間接的に守れる可能性が高まります。

4.ここにご注意!

小売役務商標は魅力的な選択肢ですが、うまい話ばかりではありません。

商標登録の成功や維持には、登録前後で注意すべきポイントがあります。ここで詳しく解説します!

(1)審査時の確認:「本当に全部使いますか?」

小売役務商標で出願する際、指定した役務が広範囲にわたる場合、特許庁から「本当に全て使うのか?」と確認(拒絶理由通知)が来ることがあります。

これは珍しいことではなく、多くのケースで起こり得ます。

解決策:

この確認に対しては、「数年以内に使用する予定がある」と書面で主張すれば問題ありません。

きちんと計画を示せばクリアできるため、過度な心配は不要です。

(2)国際登録出願の制約

日本で登録した商標を基に、外国で出願できる「国際登録出願」という制度があります。しかし、小売役務商標での登録には以下の制約があります:

すべての国に「小売役務商標」の制度があるわけではない

一部の国では、この制度が存在しない、もしくは日本と同じ効果が得られない場合があります。

指定商品・役務の一致が必要

外国に出願する場合、日本で登録した商標の指定商品・役務と全く同じ範囲でしか申請できません。

注意点:

外国展開を視野に入れている場合、「小売役務商標」に依存する出願は慎重に検討しましょう。

(3)不使用による取消:最も重要な注意点

商標登録後、一定期間その商標を使用していない場合、第三者から「不使用による取消審判」を請求されるリスクがあります。

具体例:

Aさんが「あいうえお」という商標を第35類「被服の小売役務商標」で登録したとします。

しかし、Aさんが実際に「あいうえお」を使用しているのは、自社製品のシャツのタグ(商品そのもの)だけ。

この場合は

  • Aさんの商標権は「被服を販売するサービス」についてのみ有効
  • 実際には商品(シャツ)の目印として使っているため、サービスとしての使用とは判断されません。

この隙を狙って、Bさんが「Aさんは役務に商標を使っていないから登録を取り消してほしい」と審判請求してくる可能性があります。

解決策:

  • 初期段階では「小売役務商標」で広範囲をカバーする。
  • 事業が軌道に乗ったら、商品の商標登録も追加で検討する。

ポイント:まずは広く、後で確実に!

小売役務商標は、事業スタート時に柔軟性とコストパフォーマンスを兼ね備えた選択肢です。

ただし、維持のためには実際の使用方法や国際展開の計画を考慮し、戦略的に取り組む必要があります。

5.まとめ

商標登録は、最初から完璧にすべてをカバーするのは難しいものです。

広い範囲で登録を受けようとすれば費用がかさみますし、事業が成長する中で当初想定していなかった分野に進出する可能性もあります。

初期段階では柔軟性を重視

「小売役務商標」を活用することで、事業スタート時に必要最低限の範囲をカバーしながら、コストを抑えることができます。これにより、将来の事業展開に対応する余地を残しつつ、商標を守る第一歩を踏み出せます。

事業成長とともに権利範囲を拡大

事業の進捗に応じて、次のステップとして個別の商品やサービスを追加で登録することで、より確実で広範な権利保護を実現できます。

最後に

「小売役務商標」は、コスト効率と柔軟性を兼ね備えた商標登録の選択肢です。まずはここからスタートし、事業の成長に合わせて戦略的に権利を広げていく方法をぜひご検討ください!

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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