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洋菓子店の商標登録では、店名や商品名を決めるだけでは足りません。その商標を、箱入りのケーキに使うのか、カフェの名称として使うのか、通販サイトのサービス名として使うのかによって、指定商品・指定役務が変わります。
区分は事業の業種を一つ選ぶ欄ではありません。販売する商品と提供するサービスを分解し、商標を使う予定の範囲を願書に記載します。
商標と商品・サービスを分けて決める
何をブランドとして守るのか
候補は、店舗名、会社名、シリーズ名、個別商品の名称、ロゴなどです。一つの出願で文字とロゴを別々の商標として取得することはできません。文字だけを広く使うのか、図形と一体のロゴを使うのかを決め、実際の表示方法に合う商標見本を選びます。
区分が同じでも権利範囲は同じとは限らない
商標権の範囲は、区分番号だけでなく、願書に記載した指定商品・指定役務によって定まります。「第30類」とだけ書けば全ての食品を保護できるわけではありません。候補を選ぶ段階から、商標と指定範囲を一組で調査します。区分全体の考え方は商標の区分を選ぶ方法も参照してください。
ケーキや洋菓子の中心は第30類
ケーキ、クッキー、チョコレート菓子など、一般的な菓子の中心は第30類です。特許庁の類似商品・役務審査基準では、第30類に「菓子(動物性食品又は野菜その他の食用園芸作物を主原料とするものを除く。)」が掲げられています。
同じ売場に並ぶ甘い食品でも、主原料や商品の性質によって第29類など別の区分になる場合があります。乳製品、加工果実、果実を主原料とするスナックなどを新商品に加えるときは、「甘い物だから第30類」と一括せず、商品ごとに現行の表示を確認します。菓子の具体的な分類はお菓子の商標区分でも説明しています。
商品名と品質表示を区別する
「チーズケーキ」「ショートケーキ」のように商品の普通名称をそのまま表示しただけでは、特定の事業者の商品を示す商標として識別力が認められないことがあります。独自の文字、語の組合せ、ロゴなどを検討し、品質や原材料を説明する表示とは分けます。
店舗・通販・カフェで追加を検討する区分
店内で飲食物を提供する第43類
持ち帰り用のケーキを商品として販売する場合と、客席でケーキや飲み物を提供する場合は区別します。カフェ、喫茶店、レストランなどの「飲食物の提供」は第43類です。第30類の商品について登録しても、店名を飲食サービスに使う範囲が自動で加わるわけではありません。
小売・通販サービスを示す第35類
第35類には、菓子及びパンの小売又は卸売業務で顧客に提供する便益などの小売等役務があります。実店舗やオンラインショップの名称として、品ぞろえ、注文受付、商品説明などの小売サービスに商標を使う場合に検討します。
自社製ケーキに商標を付けて販売することと、小売店のサービス名として商標を使うことは役割が異なります。製造販売だから常に第35類が必要、又は第35類があれば商品を保護できる、という関係ではありません。小売等役務の範囲は小売等役務商標の取扱いもご覧ください。
原材料販売と菓子教室まで広げる場合
牧場から仕入れた牛乳や乳製品、自家農園の果実や野菜、果実飲料などを独立した商品として販売するなら、菓子とは別に各商品の区分を確認します。例として、乳製品は第29類、未加工の野菜や果実は第31類、果実飲料は第32類が候補です。加工方法や商品の表示によって分類が変わるため、仕入先の業種ではなく、実際に販売する完成品から判断します。
パティシエが受講者へ製菓技術を教える教室は、教育・技芸の教授として第41類を検討します。動画講座、対面教室、イベントとしての実演など、提供方法と内容を出願前に列挙します。菓子の商品ブランドと教室名が同じでも、第30類だけで教室サービスまで保護されるわけではありません。
海外展開では、日本の登録だけで各国の権利を得ることはできません。出店、輸出、越境EC、ライセンスを予定する国と時期を決め、各国への直接出願やマドリッド制度の利用を比較します。
出願前に事業計画と指定範囲を合わせる
- 店舗名、商品名、ロゴのうち、実際に使う商標見本を確定する
- 持ち帰り商品、店内飲食、通販、小売、教室を別々に書き出す
- 完成品ごとに主原料、加工状態、販売方法を確認する
- 候補商標を、文字、称呼、外観と指定範囲の両面から調査する
- 開始時期が近い商品・サービスを優先して出願範囲を決める
- 海外計画があれば、公開・契約・輸出より前に対象国を検討する
出願後に指定商品・指定役務を追加して権利範囲を広げることはできません。新しい事業を始める際は別出願が必要になるため、数年先の計画まで無制限に入れるのではなく、使用予定と費用を見ながら優先順位を付けます。
よくある質問
Q1.ケーキ店なら第30類だけで足りますか?
事業内容によります。持ち帰り用の一般的なケーキは第30類が中心ですが、店内飲食は第43類、小売サービスは第35類、教室は第41類を検討します。
Q2.店名を登録すれば、全商品も保護されますか?
全商品が自動で保護されるわけではありません。登録した商標と、願書に記載した指定商品・指定役務の範囲から権利を判断します。
Q3.通販サイトを始めると第35類が必須ですか?
一律に必須ではありません。自社商品の商標としての使用と、通販・小売サービスを示す商標としての使用を分け、守りたい対象から判断します。
Q4.出願後にカフェ営業を追加できますか?
既存出願の指定範囲を広げる追加はできません。第43類を含めていなければ、営業計画に合わせて別出願を検討します。
Q5.日本で登録すれば海外でも守られますか?
日本の商標権の効力は日本国内です。海外で保護を求める国ごとに、直接出願又は国際登録出願などの手続を検討します。
洋菓子事業では、商品、店内提供、小売、教室が同じブランド名で展開されることがあります。名称だけでなく、その名称が顧客に対して何を示すのかを分けると、指定範囲の漏れを見つけやすくなります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247
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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘
