索 引
1. 相続した商標権にも相続税はかかるのか?分かりやすく解説します!
商標権は、家や預金と同じ「財産」です。登録した商標権の名義人が亡くなったときは、相続人が引き継ぎ、相続税の課税対象になります。
ブランド力のある商標権は数百万円から1億円を超える価格で取引された事例もあり、放置するには惜しい資産です。ただし、相続手続きを忘れたまま放置すれば、更新料の支払い漏れで権利そのものが消滅することも珍しくありません。
商標権を相続する場面で必要になる手続き、相続税の計算、そして親族間で揉めないための実務ポイントを、弁理士の視点で整理しました。
2. 商標権は「承継できる財産」
商標権は、商標法上の独立した権利ですが、民法896条の一般承継の対象です。名義人が亡くなった時点で、当然に法定相続人へ承継されます。
注意したい3つの特徴
- 商標権を相続しても、特許庁の登録簿には自動で反映されない
- 無形財産のため、相続税評価額の算出が難しい
- 相続の途中で更新料の支払い時期がくると、失効するリスクがある
特許庁への「相続による移転登録申請」を経ることで、はじめて新しい権利者として商標権を行使できます。
3. 特許庁への移転登録申請の流れ
相続による移転登録は、通常の名義変更とは別の書式で申請します。手続き自体は郵送でも可能ですが、必要書類を1つでも欠くと補正通知が届き、時間を浪費します。
必要書類の基本セット
- 商標権移転登録申請書(相続用)
- 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
- 相続人全員を確認できる戸籍謄本一式
- 遺産分割協議書(相続人が複数で、ひとりに集約する場合)
- 登録免許税の納付(相続の場合は1件3,000円)
期限のある権利に注意
商標権には登録から10年ごとの更新料があります。相続手続き中に更新期限をまたぐと、支払い猶予期間(6か月)に入り、通常の倍額が発生します。被相続人が保有していた商標権の次回更新期限は、最初に確認しておきたい項目です。
4. 相続税の評価と計算
相続税は、被相続人の全財産から基礎控除(3,000万円+法定相続人数×600万円)を差し引いたうえで計算します。商標権も、この「財産」の一部として評価額を算出します。
評価のアプローチ
国税庁の財産評価基本通達に商標権固有の規定はなく、実務では次のいずれかを使います。
- ライセンス収入が継続している商標権は、将来のライセンス料を収益還元法で現在価値に割り戻す
- 自社使用のみで収入がない商標権は、登録料や出願費用を積み上げた取得原価で評価する
- 売買事例のある業界の商標権は、同種商標の取引実績を参照する類似取引比準法を使う
評価額が大きいほど相続税額に直結しますが、逆に評価を0円に近づけすぎると、後日の税務調査で否認される恐れもあります。弁理士と税理士が連携し、根拠資料を残しておくのが現実的な対応です。
5. 相続で起きやすい3つのトラブル
実務の現場で目にする揉めごとには、次のようなパターンがあります。
複数相続人での共有名義
相続人全員の共有名義にすると、更新・使用許諾・譲渡の全てで「全員の合意」が前提になります。ブランドを育てる意思のある1人に集約しておくほうが、経営判断を速く下せます。
会社の商標を個人名義で持っていた
創業家の社長個人名義で会社の看板ブランドを登録しているケースは珍しくありません。この状態で社長が亡くなると、会社と商標権の所有者が分離し、ライセンス契約の巻き直しが発生します。
更新料の支払い漏れ
相続手続き中は誰が支払うかが曖昧になりがちです。期限を過ぎれば商標権そのものが消滅し、他社に同じ商標を先取りされるリスクが出てきます。
6. 弁理士に相談すべきタイミング
次のいずれかに該当する場合は、早めに弁理士へ相談するとリスクを減らせます。
- 被相続人が複数の商標権を保有している
- 会社名義と個人名義の商標権が混在している
- 商標権にライセンス契約や使用許諾契約が付帯している
- 海外で登録している商標権がある(マドプロ、各国直接出願を含む)
ファーイースト国際特許事務所では、実務10年以上の所長弁理士・弁護士がお客さまを直担当します。相続後のブランド承継戦略まで見据えた提案が可能です。
7. まとめ
商標権の相続で肝心なのは、特許庁への移転登録、更新料の管理、相続税評価の3点を同時に進めることです。手続きを止めてしまうと権利を失い、早く動けば事業承継に直結する資産として次世代へ引き継げます。
商標の相続に関するご相談は無料の商標お問合せフォームから承ります。商標登録や更新の費用感を先に知りたい方は、商標登録費用のページもあわせてご確認ください。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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