相続において、商標権も立派な財産です。
会社名や商品名の独自のネーミングは商標権として特許庁に登録できます。商標権を持てば、他社はこちらの登録商標を無断で使用できなくなります。
盲点は、有償移転の形で商標権を事実上売買できる点です。実際に、商標権は数千万円、1億円を超える値段で取引されることもあります。
googleとかマイクロソフトの商標権を持てば、ライセンス料だけで、年間の売上高の数%を手にすることができる、と聞けば、その破壊力が分かると思います。
そんな価値のある商標権ですが、次世代に財産を引き継ぐ相続の際にも商標権の関係してきます。
今回は、商標権を相続する際の手続きと税金について、ポイントを押さえながら解説します。
1. 商標権の相続手続きについて
もし家族が商標権を持っていた場合、それをどうすればよいのか?以下のステップを確認しましょう。
商標権は財産の一つ
商標権は他の不動産や現金と同じように「財産」に該当します。そのため、相続の対象となり、適切な手続きが必要です。
手続き方法
商標権を相続する場合は、「相続による商標権移転登録申請書」を作成して特許庁に提出します。通常の商標権移転手続きとは異なる申請書ですので注意が必要です。
必要書類
- 1. 法定相続人の場合:戸籍謄本を提出。
- 2. 他人が相続する場合:被相続人の遺言書が必要。
- 3. 複数の相続人がいる場合:遺産分割協議書も忘れずに提出しましょう。
相続人がいない場合
商標権は引き継がれず、消滅してしまいます。そのため、相続人がいる場合は早めに手続きを進めることが重要です。
2. 相続税はどうなる?
商標権を相続した場合、相続税の対象となります。ただし、相続税の計算は「相続財産全体」に基づいて行われるため、商標権単独の税額を具体的に割り出すのは難しいです。
相続税の基礎控除
次の計算式で、一定額までは控除されます。
- 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円
例えば、相続人が2人いる場合、基礎控除額は 4,200万円 となり、それを超える財産がなければ相続税は発生しません。
注意点
商標権も「相続財産」として申告が必要です。計上を忘れると後でトラブルになる可能性があるため注意しましょう。
ここがポイント!
商標権の相続は、他の財産と同じように大切な手続きが必要です。さらに、相続税の計算においても計上を忘れないことがポイントです。
特に手続きに必要な書類や基礎控除額のルールをしっかり押さえておくことで、スムーズに対応できます。
注意点
商標権を贈与された場合、手続きと税金に関して次のポイントを押さえましょう。
1. 手続きの際、「無償譲渡」の明記を忘れないこと。
記載漏れがあると、不必要な税金が発生する可能性があります。
2. 贈与税の非課税範囲を把握すること。
年間110万円以下の贈与なら税金はかかりませんが、それを超える場合は早めに税額を計算しておきましょう。
3. 直系尊属からの贈与なら特例を活用する。
贈与税の特例を適用することで負担を軽減できます。
「親から商標権を贈与されるなんてどうすればいいの?」と思ったらこの記事を参考にして、スムーズに対応してくださいね!
3. まとめ
商標権の相続や贈与は、法律的な手続きや税金の負担などが関わる重要なテーマです。事前にしっかりと準備をすることで、スムーズに進められるだけでなく、家族間のトラブルも防げます。
1. 商標権の売値を知ることの重要性
商標権は財産の一部であり、その価値を把握することが大切です。商標権の売値を簡単に知るためには、以下のような視点で評価すると良いでしょう。
商標の市場価値
その商標が持つブランド力や知名度、ビジネスでの利用価値を基に判断します。
収益性
商標権が生み出す収益(商品やサービスの売上)から価値を割り出す方法も有効です。
専門家の査定を活用
特許事務所や商標専門のコンサルタントに相談することで、より正確な評価額を得られます。
詳しい方法は「商標権の売値をシンプルに求める方法とは?」をご参考ください。
2. 相続の準備は「今」が大事
相続は突然やってくる場合が多く、事前準備が不足しているとトラブルになりがちです。
財産のリスト化
生前に商標権を含む財産の内容を明確にしておくことで、遺産分割の際に混乱を防げます。
親族間での話し合い
「生前に相続の話をするのは不謹慎」と思う方もいるかもしれませんが、話し合いをしておくことがトラブル防止につながります。
専門家への相談
弁護士や税理士、商標の専門家の弁理士に相談することで、法律や税金の問題もスムーズに解決できます。
3. コミュニケーションが最善の防御策
相続や贈与の際に家族間で揉めるケースは少なくありません。しかし、事前に話し合いをしておくことで多くの問題を回避できます。
- 「いざという時」のために、遠慮せずに意見を共有しましょう。
- 法律や税金に関する不明点は専門家に依頼することで、家族全員が納得できる形で解決できます。
最後に
商標権の相続や贈与は、一歩間違えると大きなトラブルを招く可能性があります。しかし、事前準備や適切な手続きを踏むことで、リスクを最小限に抑えることができます。
特に適切に相続をしないと、権利が失効して後で困ることもありえます。そうならないように、先手で対策を考えるようにしましょう。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247