【初心者向け】ロゴ(図形)商標の先行調査のやり方|ナイキ風レ形マーク×靴(25類・22A01)を例に解説

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文字商標であれば、J-PlatPatで文字列を入力して検索すれば候補を見つけられます。しかしロゴ(図形・マークのみ)の商標では、入力すべき「文字」が存在しないため、同じ調べ方では調査できません。

実務では、まず画像検索で似たロゴを拾い、そのロゴに付いている「図形等分類」を手掛かりにJ-PlatPatで網羅的に検索するという流れを使います。手順としてはGBD(Global Brand Database – 画像検索)とJ-PlatPatを組み合わせた3ステップとして実施します。

この記事では、具体例として次の条件で「調べ方」をそのまま真似できる形にします。

1. 今回は説明用のナイキマークで

マークのみ画像として、ナイキの図形だけのロゴ(いわゆる「レ」っぽいスウッシュ形)のようなマークを使用します。指定商品・役務は第25類・靴類(類似群コード:22A01)とし、範囲は国内(日本)だけを対象とします。

なお、ここでは調査手順の説明のために有名ロゴを例にしています。実際に似せたロゴを使うのはリスクが高いため、事業で使う前提であれば専門家にも確認してください。

2. 先に結論として、ロゴ商標はこの3ステップで探す

ロゴ商標検索は、次の3ステップを回すのが基本です。

  • GBDで似ている図形(ロゴ)を画像検索して当たりを付けます。ここで日本の登録案件を抽出します
  • J-PlatPat(特許庁ホームページから無料で使用できる特許情報プラットフォーム)で使う「図形等分類」を特定し、検索の軸を作ります。
  • 最後に、図形等分類と類似群コード(今回は22A01)でJ-PlatPat検索を実行し、国内の先行を洗い出します。

3. 準備として、まず「マークのみ画像」を作る

GBDの画像検索は、入力する画像の状態で結果が変わります。初心者の方は最初にここを整えると成功率が上がります。

検索用の画像を作る際のポイントとして、マークだけを切り出すことが重要です。文字が付いている場合は消すか除外してください。背景は白、マークは黒など単色でなるべくシンプルにします。また、余白は詰めてロゴの周りの空白を減らすと精度が落ちにくくなります。

今回の例ならナイキの図形だけのロゴ「スウッシュ形だけ」の画像をPNG等で用意します。

4. STEP1:GBDで「似ているロゴ」を画像検索する(国内に絞ってスタート)

GBD(Global Brand Database)は、WIPO(世界知的所有権機関)が提供する商標データベースで、日本語表示もでき、画像検索も可能です。

J-PlatPatからGBDへ入る方法

J-PlatPatの上部メニューで「商標」から「商標検索」へ進み、ページ内の「GBD画像検索」リンクを使います。

Fig.1 「GBD画像検索」リンク

「GBD画像検索」リンク

この入口を使うと、最初から検索対象を日本に絞った状態でGBD検索できるのがポイントです。今回は国内だけを対象とするため、この方法が効率的です。

マーク画像をアップロードして検索する

GBD画像検索ページで、用意した「スウッシュ形だけ画像」をドラッグ&ドロップ(またはアップロード)して検索します。

Fig.2 検索画像をアップロード

検索画像をアップロード

Fig.3 結果から「似ている」ものをクリックする

検索画像をアップロード

結果一覧から、今回のマークと共通点があるロゴ(例えば「曲線の流れ」「先端の尖り」「太から細への変化」など)を選んで開きます。

似たのが出ないときは「検索方法」を変えて再検索する

結果がイマイチであれば、GBD側の「検索方法」を変えて再検索します。

画像を少しトリミングし直したり、白黒反転してみたりすることも効果的です。

5. STEP2:見つけたロゴから「図形等分類」を特定する

GBDで見つけた「似ているロゴ」を起点に、J-PlatPatで図形等分類を抜き出します。この工程が国内網羅検索の鍵となります。

Fig.4 GBDで「出願番号 or 登録番号」をコピーする

GBDで「出願番号 or 登録番号」をコピー

GBDのロゴ詳細画面で、出願番号または登録番号を確認してコピーします。

Fig.5 J-PlatPatの「商標番号照会」で検索して、図形等分類を見る

J-PlatPatの「商標番号照会」で検索 J-PlatPatの「商標番号照会」で検索して、図形等分類を見る

コピーした番号を、J-PlatPatの「商標番号照会」で照会し、案件に付与されている図形等分類を確認します。

図形等分類は「図形の分類コード」で、1つのロゴに1つだけではなく、特徴に合わせて複数付与されることが多い点が重要です。

図形等分類は、いわば「ロゴのパーツ辞書(カテゴリ)」のようなものです。ここを押さえると、J-PlatPatで同カテゴリのロゴを一気に探せます。

番号照会でヒットしないときの対処

番号照会で出てこない場合は、画面をスクロールして表示される「番号」をコピーするか、「国際登録番号」を選んで照会するという回避策があります。

図形等分類の「数字」をクリックして、分類の意味を確認する

商標詳細で図形等分類が表示されたら、その数字をクリックすると「図形等分類表」に遷移し、分類の内容を確認できます。

さらに、分類表を見るときは上位概念、同階層、下位階層も念のため確認して「より適した分類がないか」をチェックするのがコツです。分類は階層構造になっています。

そして、最初に見た分類が自分の探したい図形とズレる場合は、他の図形等分類も同様に確認します。

6. STEP3:図形等分類 × 類似群コード(22A01)でJ-PlatPat検索する

ここからが「国内の先行ロゴを漏れにくく拾う」本番です。調べ方としては2パターンあります。

パターンA:図形等分類「1つ」で検索する(まずは広めに拾う)

図形等分類表で分類を選ぶと、「商標検索にセット」できる導線があります。

そこから商標検索画面へ移動したら、類似群コードを入力して検索します。

今回の例(靴類)での入力として、図形等分類にはSTEP2で見つけたコード(例:検索結果の画面に出た数字)を入力し、類似群コードには22A01(靴類)を入力します。

これで「その図形カテゴリ × 靴類」で一気に絞れます。

パターンB:図形等分類「2つ以上」を組み合わせて検索する(似ている度を上げる)

ロゴは要素が複数あることが多いため、複数の図形等分類を組み合わせると、ノイズ(関係ないロゴ)が減って精度が上がります。

図形等分類のコピーは「数字部分のみ」にする点に注意

図形等分類には先頭に「A」や「*」が付くことがありますが、公報や検索では省略される記号のため、数字部分だけをコピーして使います。

7. 実際の検索(J-PlatPat商標検索)の操作

J-PlatPatの「商標検索」画面で、検索項目プルダウンで「図形等分類」を選びます。コピーした図形等分類を入力し、さらに類似群コード(22A01)も入力して検索を実行します。

Fig.6 図形カテゴリ × 靴類で一気に絞る

図形カテゴリ × 靴類で一気に絞る

入力の実務イメージとして、条件1で図形等分類にコードAを設定し、条件2でAND条件として図形等分類にコードBを設定し、条件3でAND条件として類似群コードに22A01を設定します。こうすると「見た目が近い要素を複数満たすロゴ」かつ「靴類」に絞れます。

8. 検索結果でやること:似ているロゴを「目で確認」して拾う

検索ができたら、最後は結果一覧から「自分の探したい図形に似ているものがないかチェック」します。

Fig.7 自分の探したい図形に似ているものがないかチェック

自分の探したい図形に似ているものがないかチェック

このときのチェック観点として、スウッシュ系では特に以下の点が効きます。シルエットでは曲線の角度、反り具合、端の尖り方を確認します。太さの変化では、太から細、細から太への流れを見ます。向き・配置では、右上がりか右下がりか、反転しても似て見えるかを確認します。そして指定商品で、本当に22A01(靴類)にかかっているかも確認します。

9. この記事の例(ナイキ風マーク×靴)で、初心者が迷わない実務の回し方

最後に、今回の条件(国内/25類靴類=22A01)での回し方を紹介します。

まず、GBDでスウッシュ形の「近い見た目」を2〜5個拾います。1個で決め打ちしないことがポイントです。

それぞれについて、J-PlatPat番号照会で図形等分類をメモします。複数付くことが多いので注意してください。

メモした分類を使って検索します。まずは「1つ」と靴の類似群コードの22A01で広く検索します(パターンA)。

次に「2つ以上」と22A01で絞り込みます(パターンB)。

最後に目視で類似ロゴを拾います。

10. まとめ:ロゴ商標の先行調査は「画像 → 分類 → 国内検索」で再現できる

ロゴは文字検索できないので、GBD画像検索を入口にします。

似ているロゴを起点に、J-PlatPatで図形等分類を取ります。複数付くことが多い点に注意してください。

図形等分類と類似群コード(靴=22A01)でJ-PlatPat検索して、国内先行商標を洗い出すことができます。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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