商標登録と著作権は、知的財産の保護手段として役立ちますが、その性質や適用範囲には明確な違いがあります。
それぞれの特徴と、どのような場面で効力を発揮するのかを理解することで、効果的にこれらの権利を活用できます。
1. 保護対象の違い
商標登録は、商品やサービスの名称、ロゴなどを保護の対象とします。一方、著作権は、文学、音楽、アートなどの創作物を主に保護します。
2. 権利発生のメカニズム
商標権は、特許庁への出願とその後の審査を通過することで権利が認められます。それに対して、著作権は創作物が完成すると自動的に発生します。登録や審査は不要です。
商標権は特許庁における審査を受けるため権利を発生させることが著作権に比べて困難です。
これに対し、著作権の場合は審査手続によらず権利が発生するため、商標権より簡単に権利が発生します。
3. 権利行使の注意点
商標権を有する者は、他社が同じまたは類似の商標を使用することを制限できます。
侵害者側が商標権の存在を知っていたかどうかの知識の有無に関わらず、商標の侵害は禁止されています。
しかし、著作権の場合、他者が同じ内容を独自に創作した場合や、原著作を知らなかった場合は、権利の行使が難しくなります。
原著作を侵害者が知らない場合には、原著作の複製のしようがないからです。このため著作権侵害を主張する場合、侵害者側がこちらの著作物を知っていたことを裁判所で主張立証して、裁判所で認めてもらう必要があります。
4. メリット・デメリット
商標登録のデメリットとしては、登録費用や審査が必要である点が挙げられますが、いったん権利が確立すると、侵害者側が商標権の存在を把握しているかどうかに関係なく、強固な保護が受けられます。
著作権は、手続きや費用が不要で簡単に権利が発生するな反面、権利行使の際に相手が原著作を知っていることを主張立証して裁判所で認めてもらう必要がありますが、これが難しいという制約があります。
つまり商標登録の場合は審査があるため簡単に権利は発生しないが、相手が権利侵害になる範囲で商標を使用するだけで権利行使ができる利点があります。
著作権の場合は逆で、簡単に権利は発生するが、権利行使が難しい面があります。
以上の点を踏まえ、商標登録と著作権の違いを理解し、適切に活用することが求められます。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
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