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知らないと損する!商標と商品・役務の類否判断を解説

1. 商標は商品・役務と組み合わせて登録する

商標登録出願では、名称やロゴだけを提出するのではありません。その商標を使う商品またはサービス(法律上は「役務」といいます)を指定します。商標法6条1項も、商標を使用する一つ以上の商品・役務を指定して出願するよう定めています。

先行商標との関係では、商標同士が同一・類似か、商品・役務同士が同一・類似かを組み合わせて判断します。他人の先願登録商標と商標が似ていても、商品・役務が非類似なら、商標法4条1項11号に該当するとは限りません。反対に、商品名の表現が違っても、類似する商品・役務と判断されることがあります。

2. 区分と類似は別の仕組み

商品・役務の「区分」は、国際分類に沿って商品・サービスを45の類に分ける仕組みです。出願書類の作成や料金計算に使われますが、区分番号そのものが類似範囲を決めるわけではありません。

  • 同じ区分に属していても、非類似と推定される商品・役務がある
  • 異なる区分に属していても、類似と推定される商品・役務がある
  • 区分が同じという理由だけで、登録や使用を一律に止められるわけではない

「第○類を取ったので、その区分に入る商品を全部独占できる」という理解は正しくありません。権利範囲を確認するときは、登録原簿に記載された指定商品・役務と、その類似範囲を見ます。

3. 類似群コードは審査上の推定に使う

特許庁の「類似商品・役務審査基準」は、類似関係にあると推定する商品・役務をグループにまとめ、各グループに五桁の類似群コードを付けています。審査官が商標法4条1項11号を審査する際の統一的な基準です。

同じ類似群コードが付いていれば、審査実務では原則として類似すると推定されます。ここで使われるのは「みなす」ではなく「推定」です。取引の実情を示す資料によって、同じコードの商品・役務を非類似と判断する場合も、異なるコードの商品・役務を類似と判断する場合もあります。

類似群コードは検索にも使う

J-PlatPatで先行商標を調べるとき、完全に同じ商品名だけを検索すると、表現の異なる関連商品を見落とすおそれがあります。使用予定の商品・役務に付く類似群コードを確認し、そのコードを手掛かりに先行登録を探します。ただし、検索結果に同じコードがあるだけで拒絶や侵害が確定するものではありません。

4. 裁判所は取引の実情を確認する

商品類否の基本的な考え方を示した最高裁判例が、1961年6月27日の橘正宗事件です。判決は、商品そのものを取り違えるかではなく、同一または類似の商標を使ったときに、同じ営業主が製造・販売する商品だと誤認される関係にあるかを判断しました。

事件では清酒と焼酎が対象となり、同一メーカーが両方の製造免許を受けている例が多いという事情が考慮されました。商品の用途が違うかだけでなく、製造部門、販売部門、原材料、品質、需要者、販売場所などの共通性が判断材料になります。

現在の特許庁実務でも、生産・販売部門などの共通性を基に類似群が作られています。ただし、審査基準は取引の変化に合わせて改訂されます。過去の出願で使われたコードや、民間データベースの表示だけを根拠に結論を出さず、出願時に適用される最新版を確認します。

5. 出願前調査で見る範囲

指定商品・役務を決める前に、現在扱っているものと、近い将来扱うものを書き出します。商品名を広く書けば安心とは限らず、内容が不明確なら拒絶理由となり、区分数が増えれば特許庁料金も変わります。反対に、出願後の補正で新しい商品・役務を自由に追加することもできません。

  • 商標の文字、読み方、意味、図形の近さ
  • 指定したい商品・役務の区分と類似群コード
  • 同じコードと関連コードにある先行商標
  • 生産者、販売経路、需要者、用途などの取引事情
  • 既存事業と今後の事業計画に必要な指定範囲

調査で引用候補が見つかった場合は、商標と商品・役務のどちらが近いのかを分けて確認します。指定範囲の減縮、名称の変更、取引実情を示す意見書など、問題の内容によって対応が変わります。商品・役務の選定や先行調査については、事業内容を添えてお問い合わせください

6. よくある質問

Q1.同じ区分なら商品・役務も類似しますか?

必ずしも類似しません。区分は分類と料金計算の単位で、類否は類似群コードや取引の実情を基に判断します。

Q2.区分が違えば先行商標を気にしなくてよいですか?

区分が違っても類似と推定される商品・役務があります。著名商標との混同など、4条1項11号以外の拒絶理由が問題になる場合もあります。

Q3.類似群コードが同じなら必ず拒絶されますか?

コードの一致だけでは決まりません。商標自体が非類似なら11号には該当せず、商品・役務について取引の実情から推定を覆せる場合もあります。

Q4.類似群コードが違えば侵害になりませんか?

コードが違うことは判断資料になりますが、裁判所が具体的な取引事情から商品・役務を類似と判断する余地があります。商標としての使用や抗弁も含めて確認します。

Q5.J-PlatPatの検索だけで出願範囲を決められますか?

検索は出発点です。採用できる商品・役務名、事業計画、関連する類似群、検索漏れ、先行商標の経過情報を確かめて指定範囲を決めます。

まとめ

商品・役務の類否は、区分番号だけでも類似群コードだけでも決まりません。区分、審査上の推定、実際の取引事情を区別し、商標の類否と組み合わせて判断します。出願時は現在の事業だけでなく、登録後に使う範囲まで確認して商品・役務を指定してください。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

参考資料

  • e-Gov法令検索「商標法」(4条、6条) https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127
  • 特許庁「類似商品・役務審査基準〔国際分類第13-2026版対応〕」 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/ruiji_kijun13-2026.html
  • 特許庁「類似群コードについて」 https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/ruijigun_cord_reidai.html
  • 最高裁判所第三小法廷 昭和36年6月27日判決(昭和33年(オ)第1104号、橘正宗事件) https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/623/053623_hanrei.pdf

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ファーイースト国際特許事務所|弁理士 平野泰弘

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