登録商標を使わせたい。登録商標のライセンス契約は?

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1. 商標ライセンスが生み出す新たなビジネスチャンス

あなたが苦労して取得した商標権。それは単なる権利証明書ではありません。実は、その商標権が思わぬ収益源になることをご存知でしょうか。

商標ライセンスという仕組みを活用すれば、自社で使用するだけでなく、他社に使用を許諾することで継続的な収入を得ることができるのです。

商標権者は、登録商標を指定商品やサービスについて独占的に使用する権利を持っています。

長年の努力により消費者の信頼を獲得したブランドは、それ自体が貴重な財産となります。このブランド価値を最大限に活用する方法の一つが、商標ライセンスなのです。

ライセンスを提供する側(ライセンサー)にとっては、使用料という形で安定した収入が得られるだけでなく、自社ブランドの市場浸透を加速させることができます。

一方、ライセンスを受ける側(ライセンシー)は、ゼロからブランドを構築する時間とコストを大幅に削減できるという大きなメリットがあります。

また商標ライセンスの対象は必ずしも有名ブランドに限られません。

まだ使用されていない商標であっても、将来的なトラブルを避けるためにライセンス契約を結ぶケースもあります。

つまり、あなたが保有している商標権は、思っている以上に価値があるかもしれないのです。

2. ライセンス契約を成功させる3つのステップ

ステップ1:戦略的な交渉の進め方

商標ライセンス契約の第一歩は、相手方との交渉です。ここで重要なのは、単に条件を話し合うだけでなく、お互いのビジネス目標を理解し、Win-Winの関係を構築することです。

交渉を始める前に、ライセンシー候補は必ずライセンサーの商標権の保有状況を詳細に確認します。商標がきちんと登録されているか、更新手続きは適切に行われているか、第三者との紛争はないかなど、デューデリジェンスと呼ばれる調査が行われます。

交渉の場では、まずライセンスの対象となる商標を明確に特定します。

その上で、使用権の種類について話し合います。使用権には大きく分けて「専用使用権」と「通常使用権」があり、さらに通常使用権は「独占的」なものと「非独占的」なものに分かれます。

専用使用権は最も強力な権利で、ライセンシーが商標権者と同等の権利を持つことになります。一方、通常使用権は使用する権利のみを与えるもので、独占的か非独占的かによって、他社への同時ライセンスの可否が変わってきます。

使用権の範囲についても、地域的な制限(例:関東地方限定)、期間の設定(例:3年間)、使用する商品・サービスの限定(例:アパレル商品のみ)など、細かく取り決める必要があります。これらの条件設定は、両者のビジネス戦略に直結するため、慎重な検討が求められます。

ライセンサーとして特に注意すべきは、ライセンシーの管理監督体制の構築です。

ロイヤリティが正確に計算され、適切に支払われているかを確認するための帳簿監査権、商品の品質管理のための定期的な報告義務、商標の使用方法に関するガイドラインの遵守など、ブランド価値を維持するための仕組みを契約に盛り込むことが不可欠です。

ステップ2:契約書作成の重要性

「口約束でも契約は成立する」という法律上の原則は確かに存在します。しかし、商標ライセンスのような複雑な取引において、契約書なしで進めることは、まさに地雷原を目隠しで歩くようなものです。

契約書の作成が必要な理由は明白です。

ライセンス契約には、使用料の計算方法、支払い時期、品質管理基準、契約違反時の対応、契約終了後の在庫処理など、多岐にわたる条項が含まれます。これらを口頭で正確に合意し、記憶しておくことは実質的に不可能です。

実際、契約書がないために起こるトラブルは後を絶ちません。

「そんな条件は聞いていない」「解釈が違う」といった争いは、ビジネス関係を破壊し、場合によっては訴訟に発展することもあります。契約書は、このような紛争を未然に防ぐ最も効果的な手段なのです。

優れた契約書は、単に合意内容を記録するだけでなく、将来起こりうる様々な状況を想定し、その対処法を明確にします。

例えば、ライセンシーが倒産した場合の処理、第三者が商標権を侵害した場合の対応、為替変動によるロイヤリティの調整方法など、あらゆる事態に備えた条項を設けることで、安心してビジネスを進めることができます。

ステップ3:特許庁への登録手続きの意義

商標ライセンスにおいて、特許庁への登録手続きは必須ではありませんが、その重要性を理解しておくことは極めて重要です。

専用使用権を設定する場合、特許庁への登録が法律上の効力発生の要件になっています。これは、専用使用権が商標権者とほぼ同等の強力な権利であり、第三者に対しても差止請求ができるためです。登録により、その権利の存在を公に示すことで、取引の安全が図られています。

一方、通常使用権の場合、登録は任意です。しかし、登録をしないことのリスクを軽視してはいけません。

例えば、ライセンサーが商標権を第三者に譲渡した場合、登録されていない通常使用権は新しい商標権者に対抗できません。つまり、せっかく築いたビジネスが、ある日突然使用差止めを受ける可能性があるのです。

登録手続きは確かに手間とコストがかかりますが、それは将来の安心を買うための必要な投資と考えるべきでしょう。特に、長期的なビジネス展開を考えている場合や、商標の使用に多額の投資を行う場合は、登録による保護を真剣に検討すべきです。

3. プロフェッショナルサポートの活用で成功確率を高める

商標ライセンス契約は、その複雑さゆえに専門的な知識と経験が求められます。弁理士や弁護士といった専門家のサポートを受けることで、契約の質は格段に向上します。

交渉段階での専門家の関与は、特に重要です。経験豊富な専門家は、見落としがちなリスクを指摘し、有利な条件を引き出すための戦略を提案できます。また、相手方も専門家を立てている場合、対等な立場で交渉を進めるためにも、専門家の存在は不可欠です。

契約書の作成においても、専門家の価値は計り知れません。インターネット上には様々な契約書のひな形が存在しますが、それらをそのまま使用することは危険です。

なぜなら、商標ライセンス契約は個々の事情に応じてカスタマイズする必要があるからです。専門家は、クライアントの具体的な状況を踏まえ、オーダーメイドの契約書を作成します。

費用面での投資を躊躇する方もいるかもしれません。しかし、不適切な契約によって生じる損失や、紛争解決にかかるコストを考えれば、初期段階での専門家への投資は、むしろコストパフォーマンスの高い選択といえるでしょう。

商標ライセンス契約書の作成費用は、一般的に10万円から30万円程度、既存の契約書のレビューであれば5万円から15万円程度が相場です。

また、特許庁への登録手続きについては、事務所手数料が2万4000円程度から、特許庁への印紙代が3万円、収入印紙が200円程度となります。これらの費用は、契約の複雑さや関係者の状況により変動しますが、得られる安心と比較すれば、決して高額とはいえません。

項目 費用
商標権のライセンスの契約書の作成 100,000〜300,000円
商標権のライセンスの契約書のレヴュー 50,000〜150,000円

商標ライセンスは、適切に活用すれば、ライセンサーとライセンシーの双方に大きなメリットをもたらす素晴らしい仕組みです。

あなたの商標権を眠らせておくのではなく、積極的に活用することで、新たなビジネスチャンスを掴んでみてはいかがでしょうか。専門家のサポートを受けながら、慎重かつ戦略的に進めることで、成功への道が開く可能性を高めましょう。

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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