ⅰ 本当に意匠登録でいいのですか?
商標権は、商品またはサービスに使われる目印を法律によって保護する権利です。
商標の対象は「文字」だけではなく、「ロゴタイプ」「シンボルマーク」「キャラクターデザイン」などのデザインも含まれます。
一方、意匠権は物品の見た目を保護する権利です。
例えば、自動車メーカーが「スポーツカー」のデザインを保護したり、運動具メーカーが新作の「スニーカー」のデザインを保護する際に利用されます。意匠権の効力は「デザイン」とそのデザインが施された「物品」によって決まります。
文房具メーカーが新たに創作した「ボールペン」のデザインを登録した場合、他人が類似したデザインの「ボールペン」を製造・販売すれば、その行為は意匠権の侵害となります。
「デザインの保護」=「意匠権」と考えてしまうと、「ロゴマークを意匠登録したい」という誤解が生じることがあります。
実際には、ロゴマークは商品またはサービスの目印として、商標として使われることがほとんどです。
意匠登録を検討している場合、そのデザインが「商品またはサービスの目印」なのか「物品の見た目」なのかをよく検討してください。
ⅱ キャラクターデザインと商標登録
「キャラクターデザイン」の保護についても多くの相談があります。
ゆるキャラブームの影響で、新たに考えたキャラクターのマネをされたくないために商標登録を希望するケースが増えています(余談ですが「ゆるキャラ」も商標登録されています「商標登録第5421696号」等)。
キャラクターデザインは著作権で保護されることもありますが、商品としての目印となることが多く、商標登録は有効な手段です。
ただし、商標権は「商品またはサービス」に使用する目印を保護する権利です。「キャラクターデザイン」そのものは目印になり得ますが、「グッズ」や「雑貨」は商標法上の商品でもサービスでもないため、対象として出願することはできません。
例えば、熊本県のゆるキャラ「くまモン」(商標登録第5540074号等)や彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」(商標登録第5104692号等)は、具体的な商品を指定して登録されています。
特許庁公開の商標公報より引用
特許庁公開の商標公報より引用
「キーホルダー」「印刷物」「文房具類」「クッション」「被服」などの具体的な商品を指定する必要があります。
商標法の費用体系は区分の数に従います。
指定商品の幅が広がると指定する区分数も増え、その結果、費用も増加します。キャラクターデザインの商標登録を検討する際は、費用対効果を考慮して出願することが重要です。
ファーイースト国際特許事務所
弁理士 秋和 勝志
03-6667-0247