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商標権は、他人に使わせないだけではもったいない
商標権を取得すると、商標権者以外は許可なくその商標を使用することができません。
商標権は非常に強力に保護されており、侵害された場合には懲役10年以下、法人には罰金3億円以下の刑事罰が科せられるほか、差止請求や損害賠償請求といった民事上の救済も受けることができます。
このように、自分の商標を法律で保護しておけば安心です。
商標権の本来の活用方法
多くの方が商標権を取得する際には、「他人に勝手に商標を使われたくない」と考えますが、実は商標権は売却も可能です。
商標権は将来的に売却して利益を得ることができる資産でもあるのです。
商標権の売却を見据えた登録手続き
商標登録をする際には、将来の売却を見越して手続きを行うことが重要です。これにより、商標権の価値を最大限に引き出し、高額での売却が可能になります。
商標登録をする際には、特許庁に対しても将来的な売却を考慮した手続きを行いましょう。
商標登録の手続きを特許事務所に依頼する理由
商標権を得るための商標登録手続きは、自分一人でも特許庁に対して行うことができます。しかし、取得した商標権に欠陥があるかどうかを判断するのは容易ではありません。
商標登録を弁理士に頼まずに自分で行うことも可能ですが、多くの人がプロフェッショナルの弁理士や弁護士に手続きを依頼するのには理由があります。
商標権は将来的に売却可能な資産であり、その価値を最大限に引き出すためには、確かな権利を得ることが重要だからです。
例えば、自宅を購入する際に、前の住人が自分で建てた家と、プロの建築家が建てた家のどちらを選ぶかを考えてみてください。
ほとんどの人は、プロの建築家が建てた家を選ぶでしょう。素人が建てた家には、プロならしないミスが隠れているかもしれないからです。
商標権も同様です。
プロ以外が取得した権利や、低品質な手続きで得られた権利は、信頼性が低く、売却する際の価値が下がる可能性があります。最悪の場合、売却自体が難しくなることもあります。
そのため、商標権の資産価値を保つために、商標登録手続きは商標専門の弁理士に依頼することが推奨されます。
信頼できるプロフェッショナルの弁理士に依頼することで、将来の売却時にも高い価値を維持できる確実な商標権を手に入れることができます。
「東京ガールズコレクション」の商標権を8億円で売却
少し前になりますが、日本経済新聞の記事によると、アニメ「鷹の爪」で有名なディー・エル・イー(DLE)が「東京ガールズコレクション」の商標権を8億円で取得したと報じられています(2015年6月8日付け日本経済新聞電子版:「東京ガールズコレクションの商標取得」より)。
商標権が売却できることをご存知の方は少ないかもしれませんが、実は商標権は自由に移転できます(公益上一定の制限はあります)。
商標権者から第三者へ商標権を有償で移転する形で、法律上適法に商標権の売買を実行することが可能です。
商標権の売買の自由
当事者同士が合意すれば、商標権をいくらで売買するかは自由に決めることができます。
法律上、商標権を特定の価格で売買しなければならないといった縛りは一切ありません。そのため、「東京ガールズコレクション」のように、商標権が億単位の金額で売買されることもあります。
考え方はオークション形式の売買
オークションの商品売買と同じく、商標権をどうしても欲しいと考える希望者が多ければ多いほど、その入手額は吊り上がる傾向があります。
商標権の価値は需要と供給に左右され、適切なタイミングで売却すれば高額な取引が可能となります。
どうすれば高値で商標権を売却できるか?
高値で商標権を売却するためにはどうすれば良いのでしょうか?
その答えは一つ、あなたの商標権を他人から「ぜひ売ってください」と言われるほど魅力的なものに育てることです。
自分から買ってください、というのでは、いらないものを廃棄する行為と変わらなくなります。自分から購入をお願いするのは、廃品回収に出すのと変わらなくなります。
魅力的な商標権の育て方
「商標権を魅力的に育てる」とは、あなたがビジネスで成功し、そのビジネスを示す登録商標を他の人が見た瞬間に、そのビジネスがすぐに思い浮かぶ状態にすることです。
つまり、ビジネスの規模を拡大し、その商標が業界内で広く認知されるようにすることです。
ビジネスの成功が鍵
「どうすればこの商標権は売れるだろう」と考えるのは間違った方向です。
他人はあなたが売りたいと思っているものに関心はありません。重要なのは、他人が「この商標権を手に入れれば自分もビジネスで成功できる」と感じることです。
実感を持たせることの重要性
商標権を取得した登録商標を見ただけで、そのビジネスの成功が外部からも感じ取れるようにすることが大切です。
登録商標を見れば誰でもあなたのビジネスを想像できる状態にまでビジネスを育てるのです。
目標とするレベル
このレベルにまでビジネスを育てれば、自然と「商標権を売ってください」と申し出てくる人が現れます。
お金を払ってでもライセンスを取得したいという人が出てくるのです。
そのためには、あなたのビジネスを日々成長させ、商標権の価値を高めることが一生をかけて取り組むべき課題の一つです。
まとめ
高値で商標権を売却するためには、まずビジネスを成功させ、その商標権を業界内で魅力的かつ重要なものに育てることが必要です。これにより、自然と高値での売却が可能になります。
ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247