索 引
1. 台風・集中豪雨等に被災された方々に謹んでお見舞い申し上げます
2018年7月に発生した西日本豪雨では、岡山県、広島県、山口県、愛媛県等を中心に甚大な被害が発生しました。これまで台風や集中豪雨等により被災された方々、そして被災された方々の関係者の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
災害が発生した場合、特許庁およびファーイースト国際特許事務所では各種の救済措置を講じています。本記事では、商標登録に関する救済措置について詳しく説明します。被災により手続きが困難になった方々が、権利を失わずに適切な保護を受けられるよう、関連情報を整理してお知らせします。
2. 台風や集中豪雨等に対する商標関連の救済措置
自然災害による被災は、商標登録に関する様々な手続きに影響を及ぼす可能性があります。適切な救済措置を活用することで、被災者の方々は権利を維持することができます。ここでは、商標に関連する主な救済措置について解説します。
審査官による指定期間について
商標登録出願の審査過程において、特許庁長官、審判官または審査官により指定された期間内に手続ができなかった場合でも、自然災害の被災者の方には救済の道が用意されています。
具体的には、台風や集中豪雨により手続をすることができなかった事情を書面で説明することで、指定された期間内に手続をしたのと同じ扱いを受けることができます。手続が可能になり次第、速やかに対応していただければ、期間経過による不利益を回避できます。
商標に関する法定期間について
法律で手続できる期間が定められている場合であっても、災害による被災者は救済される可能性があります。台風や集中豪雨により手続をすることができなかった事情を説明する書面を提出することで、法定期間を経過した後でも救済を受けられる場合があります。
ただし、救済を受けられる場合であっても猶予期間には上限が設けられています。具体的な期間については、各手続きの内容により異なりますので、個別の状況に応じた確認が必要です。
3. 救済を受けられる具体的な事例
商標登録の手続に関連して、商標法上救済を受けられる具体的な事例をご紹介します。これらの救済措置を理解しておくことで、万一の災害時にも適切な対応が可能になります。
商標審査合格後の登録料の納付手続の救済措置
商標登録出願の審査に合格すると、審査合格通知の謄本が送達されます。通常、この送達があった日から30日以内に登録料を納付する必要があります。しかし、台風や集中豪雨の影響によりこの期間内に納付できなかった場合でも、救済措置が用意されています。
納付できない事情が解消した日から14日以内であれば、登録料を納付することができます。なお、国外にお住まいの方は2ヶ月間の猶予期間が認められています。ただし、救済を受けられるのは本来の最終期限から6ヶ月以内に限られますので、この点は注意が必要です。
この救済措置は、商標法第41条第4項に基づいています。
同項では「登録料を納付する者がその責めに帰することができない理由により第一項に規定する期間内にその登録料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその登録料を納付することができる」と規定されています。
審査合格後の登録料の分割納付手続の救済措置
登録料は分割して納付することも可能です。分割納付を選択した場合、前半の分割分についても上記と同様の救済措置を受けることができます。災害により納付が困難になった場合でも、事情が解消した後に適切に手続きを行うことで、権利を維持することが可能です。
拒絶査定不服審判の請求時期の救済措置
商標登録出願の審査において、残念ながら合格とならず拒絶査定を受けた場合、拒絶査定不服審判を請求することができます。通常、拒絶査定の謄本の送達があった日から3ヶ月以内に審判を請求する必要があります。
台風や集中豪雨で被災された方は、この期間内に審判請求ができなかった場合でも救済を受けることができます。拒絶査定不服審判を請求できない事情が解消した日から14日以内であれば、審判を請求することが可能です。国外にお住まいの方は2ヶ月間の猶予期間が認められています。
ただし、この救済措置も本来の最終期限から6ヶ月以内に限られます。
商標法第44条第2項では「前項の審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により同項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる」と定められています。
4. 商標権の更新手続期間の救済措置
商標権は更新手続きを行うことで継続して保護を受けることができます。通常、商標権の存続期間の満了日までに更新手続きを行う必要がありますが、満了日を経過しても6ヶ月以内であれば更新の手続をすることができます。
台風や集中豪雨で被災された方は、この6ヶ月の猶予期間を経過した後でも救済を受けることが可能です。更新できない事情が解消した日から2ヶ月間以内であれば、更新の申請をすることができます。ただし、救済を受けられるのは本来の最終期限から6ヶ月以内に限られます。
商標法第21条第1項では「前条第四項の規定により消滅したものとみなされた商標権の原商標権者は、同条第三項の規定により更新登録の申請をすることができる期間内にその申請ができなかつたことについて正当な理由があるときは、その理由がなくなつた日から二月以内でその期間の経過後六月以内に限り、その申請をすることができる」と規定されています。
上記以外にも一定の手続について救済措置が設けられています。個別の状況に応じて適切な救済措置を活用することで、災害による不利益を回避することが可能です。
5. 特許庁最新情報
台風や集中豪雨に対する救済措置に関する情報は、随時、特許庁から発表されます。最新の情報を確実に入手することは、適切な権利保護のために重要です。
ファーイースト国際特許事務所では、特許庁から発表される重要な情報をホームページ、X(旧ツイッター)、フェイスブック等のSNSを通じて迅速にお知らせしています。災害時の救済措置に関する最新情報を逃さず入手することで、適切なタイミングで必要な手続きを行うことができます。
6. 被災された方々をファーイーストは全面バックアップします
台風や集中豪雨で被災された方々の権利保全を、ファーイースト国際特許事務所では全面的にバックアップしています。災害時における様々な状況に対応し、お客様の大切な権利を守るための支援を行っています。
ファーイースト国際特許事務所に連絡できない場合
当事務所では、台風や集中豪雨の発生以前にご依頼いただいた被災者の方々の権利を責任を持ってお預かりしています。台風や集中豪雨の影響により、営業継続に支障が生じているなどの緊急事態が発生している場合でも、ご安心ください。
連絡が可能になった段階で、すぐにご連絡をいただければ、適用できるあらゆる法律上の優遇措置を個別にご案内いたします。お客様の状況に応じた最適な対応方法をご提案し、権利の維持をサポートいたします。
関係書類や登録証が全て流されてしまった場合
大雨により関係書類や登録証が流されてしまった場合でも、直ちに権利が失効することはありません。弊所で取得した商標権には回復できる期間が設けられており、適切な手続きを行うことで権利を維持することができます。
個別の状況に応じて回復措置を講じますので、ご安心ください。まずは身の周りの安全の確保を優先していただき、落ち着いた段階でご連絡いただければ、必要な対応をサポートいたします。
ファーイースト国際特許事務所所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247