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商標権侵害の警告にどう対応すればよいか?


ある日突然、「貴社の商標は当社の商標権を侵害している」という書面が届く。商標権侵害の警告は、会社の規模を問わず起こります。届いた瞬間にどう動くかで、その後の展開は大きく変わります。

今回は、商標権侵害の警告を受けたときに確認すること、専門家への相談と回答の進め方、費用の目安を弁護士・弁理士がご紹介します。

1. 商標権侵害の警告とは

警告はどのような形で届くのか

商標権侵害の警告は、メールや手紙で届くこともあれば、内容証明郵便で届くこともあります。差出人が商標権者本人のこともあれば、代理人の弁護士や弁理士の名義で送られてくることもあります。

形式はさまざまでも、書かれている中身はおおむね共通しています。

  • 根拠となる登録商標の番号
  • 使用している商標が商標権侵害にあたるという主張
  • 商標の使用をただちに中止せよという要求

このほかに、これまでの販売数量の報告を求める内容や、ライセンス契約の交渉を持ちかける内容が加わることもあります。

「知らなかった」では通りにくい

登録商標は特許庁の公報で公示されていて、誰でも調べられる状態に置かれています。そのため、損害賠償の場面では、侵害した側に過失があったものと推定される仕組みになっています(商標法39条、特許法103条)。他人の商標権を知らずに使っていた、という言い分だけで責任を免れるのは難しいと考えておいてください。

また、商標の使用をやめるよう求める差止請求は、故意や過失があったかどうかを問わずに認められます(商標法36条)。警告を放置したまま使用を続けるほど、事業への影響は積み上がっていきます。

2. 警告を受けたときに最初にすること

あわてて相手に連絡しない

警告書を読むと、驚いてすぐに商標権者へ電話やメールをしたくなります。ここは一度立ち止まってください。商標権者の主張が正しいとは限りませんし、こちらの発言が後から不利な証拠として扱われることもあります。使用をやめるのか、反論するのかを決めるのは、事実関係を確かめてからで間に合います。

登録商標を確認する

警告書に書かれた商標登録番号をもとに、特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)で登録の内容を確認します。権利者は誰か、どの商品・サービスを指定して登録されているか、権利がいまも有効かを見て、警告の内容と実際の登録情報に食い違いがないかを確かめます。

自社の使用状況を確認する

警告の対象になった商標について、自社のどの商品やサービスに、いつから、どのような形で使ってきたかを洗い出します。あわせて、その商品の販売数量、販売額、販売先も調べておきます。これらは、侵害にあたるかどうかの検討にも、後の交渉にも使う基礎資料になります。

回答期限を確認する

警告書には回答期限が書かれていることがほとんどです。期限が1週間以内など短い場合は、検討に時間がかかる旨を先に伝えておくと、期限を延ばしてもらえる場合もあります。何も反応しないまま期限を過ぎることだけは避けてください。

3. 専門家への相談と商標権者への回答

相談の準備

商標権侵害の判断には、権利範囲の分析と、裁判になった場合の見通しの両方がかかわります。事実関係が単純ならメールや電話で済むこともありますが、基本は面談での相談です。法律事務所の面談には事前の予約が要りますので、回答期限から逆算して早めに日程を押さえてください。

面談には、警告書の写し、商標の使用状況が分かる資料、商標権者とやり取りがあればその記録を持参します。かさばる資料は面談の前に事務所へ送っておくと、当日の相談が具体的に進みます。

対応方針の決定と回答

相談の結果をもとに、使用を中止するのか、反論するのかを決めます。どちらを選ぶ場合でも、商標権者への正式な回答は欠かせません。

回答を自社名義で行うか、専門家名義で行うかも判断の分かれ目です。争う余地がある場合や、論点が複数ある場合は、専門家に回答を任せたほうが安全です。

反論した後の流れ

こちらが反論すると、商標権者側から再反論の書面が届くのが通常です。書面のやり取りの中で歩み寄りの余地が見えてくれば、ライセンスや使用条件の交渉に進むこともあります。

交渉が決裂すれば、最終的な決着の場は裁判です。裁判には時間と費用の両方がかかりますので、争う判断をする前に、そのコストと得られるものを冷静に比べます。

4. 対応にかかる費用

相談の費用

警告を受けて弁護士に相談する場合、相談費用の目安は次のとおりです(消費税別)。

事務所における相談業務の費用(面談)メールによる相談業務の費用
30,000円/1時間以内10,000〜20,000円/1往復(※通常の分量)

商標権の問題は論点が絡み合うことが多いため、基本は面談をおすすめします。遠方にお住まいの場合や、事実関係が単純な場合は、メールでの相談も選べます。

回答書の作成費用

弁護士に商標権者への回答書の作成を依頼する場合の目安です。

回答書の作成・送付
80,000~円/1通

回答書は内容証明郵便で送るため、郵便の実費が別にかかります。

交渉・裁判に進んだ場合

商標権者との交渉を弁護士に依頼する場合の費用は、着手金と報酬金で構成され、事件の経済的利益の大きさによって変わります。移動をともなう場合は、日当や交通費も加わります。

商標権侵害の案件では、初期の段階で経済的利益を正確に算定できないことも珍しくありません。そのため実際には、案件の難易度やご希望をうかがった上で、個別にお見積りを提示する形になります。裁判の費用も同じく、案件の内容ごとの提示になります。

5. よくある質問

警告書を無視するとどうなりますか?

商標権者が次の手段に進み、差止請求や損害賠償請求の裁判を起こされる可能性があります。裁判所からの書類まで放置すると、反論の機会を失ったまま判決に至ることもあります。回答期限内に、何らかの対応を返してください。

警告のとおり、すぐに使用をやめるべきですか?

即断は禁物です。商標権者の主張が正しいとは限らず、権利範囲と自社の使用が実際には重なっていない場合や、相手の登録に問題がある場合もあります。使用をやめる判断も、続ける判断も、権利範囲の分析を済ませてからにしてください。

知らずに使っていた場合でも、責任を負うのですか?

差止請求は、故意や過失の有無を問わずに認められます。損害賠償についても、登録商標は公示されているため過失が推定され、「知らなかった」という説明だけで免れるのは難しいのが実情です。もっとも、賠償額や今後の使用条件には交渉の余地があります。

回答期限までに専門家の予約が取れません。どうすればよいですか?

検討に時間がかかる旨を、期限の前に商標権者側へ伝えてください。それだけで期限を延ばしてもらえる場合があります。伝える際は、侵害を認めるともとれる発言をしないよう、連絡の内容は最小限にとどめます。

こちらから反撃する手段はありますか?

相手の登録商標が3年以上使われていなければ不使用取消審判、登録自体に問題があれば無効審判を請求する道があります。相手の出願より前から商標を使っていて、その時点で広く知られていた場合には、先使用権を主張できることもあります。どの手段が現実的かは証拠しだいですので、専門家と一緒に検討してください。

参考:特許庁「商標制度の概要」特許庁「商標制度に関するよくある質問」

ファーイースト国際特許事務所
弁護士・弁理士 都築 健太郎
03-6667-0247

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