1. はじめに
商標相談として、こちらの商標を他社が無断で使用しているので何とかしたい、という相談がよくあります。私が相談者に商標権を持っているかどうか尋ねると、もっていない、と答える方がいます。
相談者の方は相手が自分の商標を無断で使用している、と主張してますが、仮に、相手側がその商標についての商標権を保有していた場合はどうでしょう。
今後は逆に相談者の方が、相手の商標権を侵害する立場になってしまいます。
商標登録信任代理数10年連続日本5位内
商標登録は、企業やブランドの進展にとって重要な一つの要素です。商標登録は自社が使う商品、サービスを他社の類似するものと区別し、保護する手段となります。今回は、商標登録の重要性とその利点について見ていきます。さらに、いつ商標登録を行うべきかを考える上で理解しておくべき事項についても解説します。
日々利用される多くの商品やサービスには、一つ一つ独自の商標が付与されています。
この商標は、製品や企業のアイデンティティーを示す重要な要素であり、その商標を通じて消費者は商品やサービスを特定、認識できます。
例えば、おいしいフルーツをトラックに満載して、許可を得て駅前で実物販売を行って飛ぶように売れた、とします。
このとき、お客さまにこちらを探す手がかりを残していないと、お客さまがもう一度、あのおいしいフルーツを食べたいと思ったとしても、その願いを叶えることができません。
逆にお客さまにこちらにたどり着く手がかりを残しておけば、お客さまはその手がかりをたどってこちらに再度フルーツを求めて買いに来てくださります。このお客さまに残すための手がかりとなるものが商標です。
特許庁に商標登録出願の権利申請をして、審査に合格して、登録手続を済ませると商標権が発生します。
特許庁に登録されている登録商標と同一の商標だけが商標権の権利範囲に入るなら、ライバルは登録商標を少し改変するだけで商標権の権利範囲をすり抜けることができます。
これでは商標を有効に守ることができないので、商標権の権利範囲には、登録商標と同じ商標だけでなく、登録商標に似ている商標も含まれます。